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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

全てを終わらせましょう!

 う、うっ……ここはどこだ?
目を擦っーー擦れない。
俺の手は手錠がされていた。
これはどういうことだ?
とりあえず、辺りを確認しよう。
辺りは真っ暗だった。
何も見えない。
手錠をされている手を器用に使い、ポケットからスマホを取り出す。
電源を付けて、スマホの明かりで少し見えるようになった。
 これじゃ、埒があかないな。
バッテリーの消費が激しいが懐中電灯モードにしよう。手慣れた手つきでぱぱっとモード変更してもう一度辺りを確認する。

ここは……体育館倉庫か?
そして俺が何故か横になっていたマットには黒い血痕があった。

どういうことなのだろう。

「おーい、助けてくれぇー」

 助けを呼んでみる。
しかし返事は無い。
っていうか……さっきスマホの電源を付ける時に時間確認したけど、19︰20分という表示だったよな。でも俺の見間違いの可能性もある。
そう思い、スマホでもう一度確認した所、やはりそうだった。

「これはやばいな……」
 19時に生徒達一般生徒は完全下校となっているのに対して、20分もオーバーしている。
不良生徒じゃあるまいし、そんな問題を起こしたく無いのだが……ドアが開かないので仕方がない。どうやら、外側から南京錠みたいなモノをかけられているのだろう。生憎、秘密の抜け穴も何も無い。但し、窓があった。そこから抜け出すのは至難の業だ。だって窓の外側に鉄格子があるのだから。なるほど、理解はできた。
どうやら、俺は閉じ込められたわけだ。
理解が早いのか遅いのかそれはさておき、どうしてこの状況になってしまったのか、思い出せない。それに喉がとりあえず痛い。
誰かに首を締め付けられた、そんな痛みだ。

「全く……思い出せねぇー。それよりも助けを呼ぶのが先決だな」

そう思った矢先だった。

トントン!?

体育館倉庫の外側からノックの音がしたのだ。

「おい……誰か居るのか? 俺を助けてくれ」 
 外側にいる人に声を掛ける。

「わ、わたしです。渚くん! 朱里です! 助けに来ました」
 助かった。どうやらこれで助かりそうだ。
それよりも助けに来たってどういうことだ。
元々俺が危険な目に合うことを分かっている様な口ぶりは何故だ。

「なぁ〜、助けに来たってどういうことだ?」

「だからその言葉通りです! 助けに来たということですよ」
 色々と引っかかるものがあった。
だが、今はそんな場合ではない。
早く助けてもらう方が先決だ。

「なぁ、早く助けてくれよ」

「分かりました。でもちょっと待ってください。南京錠を壊すまで時間が少しばかりかかるので……」
 彼女の言葉を後は信じるしかない。
ガチャガチャと南京錠を動かす音が聞こえる。
果たしてどうやって壊すつもりなのだろう。

「できるだけ早めに頼む」

 壁越しで二人で言い争うのは恥ずかしいものだ。だけど壁越しだからこそ言える言葉もあった。

「なぁー朱里。空を一緒に見に行こう!」

「とっ、唐突ですね。良いですよ、勿論」
 ガチャガチャと南京錠がドアにぶつかる音が響く。耳障りだ。

「今度は自転車の後ろに乗せて君を連れて行くからさ」
 南京錠の音が止まる。
静寂な夜にふさわしい静けさになった。

「こ、今度? 私と渚くんは一緒に空を見に行った事は無いですよ。ははは、おかしいですねぇ〜」
 そんなはずはない。
思い出したんだ。
朱里の正体は……中学時代、俺に勇気をくれた人だってことを。俺に希望を与えてくれた人だってことを。

「謎の天体美少女さん。ここで言うのもなんだけど……俺は君のことが好きだった。普段は眼鏡を掛けていたから全く気づかなかったけど……外してる姿を見た時から引っかかってたんだ」
 ふふっと笑い声が聞こえた。

「全部、お見通しというわけですね。ふふっ、それは困りましたねぇ〜。それで今はどうなんですか? その……恋愛感情というのは」

 壁越しだけど朱里が顔を真っ赤にしている姿が思い浮かんだ。

「それは……」
 こんな言葉を言ってもいいのだろうか。
一度戸惑ってしまう。
だけど、もう正直に言おう。

「俺は恵梨香が好きだ!」

「……ふふっ、でしょうね。お似合いです」

「そっか……ありがと」

 その時、ガチャガチャと更に鍵の音が酷くなった。

「狂った人同士」

「ん? 何か言ったか? 朱里?」

「いいえ、何も言ってませんよ。すぐに助けますから」

 何か言った気がしたんだけど、俺の勘違いだったようだ。

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