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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

イトシャジン

 今からする話は独白。
それは僕の罪悪感を減らす為のもの。
いや、違いますね。
皆様への挑戦状とでも言うべきでしょうか?
いや、誰も解ける事はないでしょうから僕の独り言みたいなものです。
それに元々ミステリー要素皆無ですから。
あるのは真実か虚実か。
それの二択ですからね。
だから今からする話は僕の身に起きた物語。
僕だけが知っている物語。
そんなものです。エンターテイメント性の欠片も無い、僕の7割ノンフィクション、3割フィクションのおはなし。

では、おはなしを語り部であるこの僕、葵がさせて頂きますと言いたい所だけど、もう少しだけ僕の戯言を聞いてもらいたい。

 例えばの話だ。
人が道端に倒れていました。
貴方はその人を助けますか?
読者の方々に言っておくが、これに答えというものは存在はしない。
あるのは真実か虚実か。
そう言ったけど、この場合は正義か悪か。
そう考えてもらっていい。

――そんなものは分からない。
――時と場合によるだろ!

普段の僕ならばそう答えるだろう。
 でも今回は『助ける』か『助けない』の二択にしよう。
さぁ、皆様考えてくれるとありがたい。
ちなみに今回は独白。
だから自分の気持ちを答えるべきだ。
じゃあ、僕の答えから先に述べさせてもらおう。

――助けない。
これが僕の解答である。
そしてこれが正義だと考えるのが僕だ。
元々、正義と悪に置き換えて貰いたいと言ったけど、どちらが悪か正義か決まっているとは言ってはいない。つまり、自分が正しいと思ったことが正義である。正義という定義が人それぞれあると思うけど、僕にとっての正義はそれなのだ。だから必然的に選んだ方が正義なのである。
 まず選んだ理由は色々とあると思うけど、僕の場合はメリットがあると考えられないからという意見と僕じゃなくてもいいだろうという意見があるからだ。
 僕はそう思っている。それにメリットがあったとしても僕が欲しいものが手には入らないから。
だって僕が欲しいものは自分の力で手に入れたいから。
他人の力を使って、手に入れるものは偽物だから。自分の力を使って手に入れるからこそ、それは輝きを持ち続けるものと僕は思うから。
だから、僕はそんなものは要らない。
なら、無償で助けてやれよという意見がでるかもしれないけど、僕はそんなにお人好しでは無い。だから、助けない。
 自分が自意識過剰系のクズ人間であるという事は承知の上なので周りからの評価は気にしない。
 今、皆様方はなんだ? こいつ? 
と思っているかもしれないけれど、僕はそれを軽くスルーする。
でもね、そんな僕にもまだ無垢でピュアな時代があったんだ。今回はそんなお話。
僕がこんな自意識過剰のクズ野郎になった、なってしまった事件のお話。

スタートです。

***
 中学三年生の冬。
お正月ぐらいだっただろうか?
学校が無かったので多分冬休みだったと思う。
その時、僕はとても退屈していた。前にも上げた通り、全てが完璧な僕にとって勉強という概念は無かった。周りの奴等は塾に行って勉強。
勿論この時の僕は女の子を誑かす事などはまだしていない時期である。
付き合った女の子なんてものもいなかった。
でも、学校内で自分がモテているという事は良く自覚していた。ならば、付き合っていなかったのかという疑問ができる訳だけど、僕は別に女の子に興味が無かったとか言うオチは無い。
ただ、好きになるような女の子がいなかった。
それが答えである。
完璧主義者の僕はやはり、完璧さを女の子にも求めていたようだ。
まぁ、そのせいで僕の人生はグチャグチャになっていくわけだけど。
勉強についての疑問に戻るわけだけど、僕は塾に行かなくても常に勉強はできる奴だったのでしなかった。というか、受験に推薦で入学が決定し勉強などしなかった。
その影響でとても退屈していたわけなんだけどね。
 そこでふと思いついたのが、チャットだった。僕はどちらかと言えば思いついたらすぐに行動するタイプの人間だったので、スマホの電源をつけ、アプリ検索したよ。

【チャット】と。

すると、そこには沢山のチャットアプリと分かるものがあった訳なんだけど、『友達作りチャット』というものを選んだ。
その理由としては、他のチャットが出会い系みたいな感じだったから。
ただ、それだけの理由。
案外僕はピュアである。でも実際を言えば、R18という文字にびびっていただけだろう。
もしも親や警察にバレたら……人生が終わる。
第六感がビンビンに働いてくれて良かった。
ちなみにこのアプリの売り文句は『友達ができること間違いなし!』と書かれていて、如何にも怪しいサイトだった。おまけに評価も☆5が多くてびっくりだ。

 そんな煽り文句に乗ってくる奴がいるのかよ……と思いながらアプリをダウンロードし、いざ開き、ホームに来ると『お陰様で700万人突破!?』と書かれていた。どうやら中々凄いチャットのようだ。
ホームに飛ぶとすぐに会員登録をしろとしつこくせばまれる。
これはもう脅迫罪で訴えてやるぜ! というクレーマー思考を馳せながらも胸が高鳴っていた。会員登録欄に『全国チャット』と『地元チャット』というどこからどう見ても出会い系かよ! と思う様な選択肢があった。
当初は全国チャットにするつもりだったのだが、地元にしていても顔さえみせなければ大丈夫と思う気持ちがあり、、そちらを選んだ。
画面をスクロールしてみると、地元ユーザー欄に『薫』という名前があった。
自己紹介には『アニメ、漫画、ラノベ、ボカロ、ゲーム実況など二次元関連が大好きです!』などと書かれており、こいつ確実に三次元捨ててるんだなと思ってしまい笑ってしまった。別に人の趣味にとやかく言うつもりは無いけど、僕にとって彼はとても新鮮だったんだ。
僕と同じ現実を捨ててる奴がいる。
まぁ、嬉しかったというべきかな。
だけどまだこの時の僕は気づいてなかったんだ。
 この先僕の軽はずみな発言によって飛散したことが悲惨な未来を待ち受ける事になるとは……
そして僕の人生をぶっ壊した、僕の人生観を変えてくれた女の子は天使でも神様でも救世主でもなく、ただの悪魔だったと気づくのはまだ先の話である。
 前述で述べた通り、悪魔に僕は出会った。
悪魔みたいな女の子、いや人間の皮を被った化物、そう呼ぶに等しいだろう。
僕はそんな女の子に出会った、出会ってしまった。利用された。利用されてしまった。

勿論、僕がその女の子に出会ったのはチャットだったわけだ。
今までチャットの話をしていて、原因が違っていたらただの文章のかさ増しだ! と批判を受けることになるよね。

って言うわけで、その話は終了。

そしてヒトリゴトを再開しよう。

 チャットと言えど、色んなものがあるわけだけど、僕の場合は匿名掲示板的なものだった。
簡単に説明するならば、ラインのタイムラインとかTwitterみたいな感じ。鍵とかをつけている人はフォローを了承された人しか見れないわけ。『今、時間空いてる人ー!』とか『アニメとかのお話ができる人ー!』と書かれているものをタッチするとそのチャットに飛び、色んな人とお話ができるものだ。その他にも一対一でできる個人チャットや複数人数でするチャット、フレンド同士でしかできないグループチャットなどもあった。

勿論、チャット初心者である僕はそんなグループチャットに入る事はできず、それに一対一のチャットなども入る事を迷っていた。
チキンな僕にはそんな大それた事はできないからね。

 それから数週間が過ぎた頃。
僕にとってチャットというものの存在すら忘れていた頃、物語は動き始める。
アプリの表示欄に『友達作りチャット』の所に1と数字が書いてあった。

言わなくても分かると思うが、それは誰かが僕にメッセージを送ってきてくれたということである。
心臓のドキドキが止まらない。
別に相手の顔が見えるはずは無いのに。
それはガチャガチャ機をやってみると行為と同じである。何かが当たるという事は分かっているが、何が当たるか分からない。
だから胸がドキドキする。
自分が好きなキャラクターが当たればいいなという幻想を抱く。そんなものである。
そんな感覚が僕の胸一杯に広がっていた、まだ体験した事が無い境地。
それがこんなにも身近なモノで、体験できる。
それを知ったのが今日であり、僕の人生がめちゃめちゃにされる序章に過ぎなかったと言うべきであろう。

『nanami:少しお話しませんか?』

メッセージ欄を確認すると1と表示されていた。ちょっと怖かったので彼女のプロフィール画面を一通り確認する。
【中3。女】
かなり簡単なプロフィールだ。
ちなみに僕のプロフィールも『暇人。男』だけだったので同じ種類の人間だろうと親しみを持ってしまう。

それにしても僕に何か用だろうか?
そんな疑問を持ちつつも暇潰しにこの人とチャットをしてみようと思った。

『Aoi:いいですよ!?』
僕はそう打ち込んだ。
分かると思うけど、僕はチャットでは本名を使っていた。今考えると恐ろしいことだ。
こういう時にはコードネームとかチャットネームとかニックネーム的な何かがいいよねとしみじみ思う。
それとラインなどと違い、僕がやっていたチャットには既読機能というものはない。
だから相手が僕のメッセージを読んでくれたのかという不安が募る。
だけど、すぐに返事が返ってきた。

『nanami:ありがとうございます!』

それはとても嬉しかった。
何というか、新鮮。初めての事だったから、それはしょうがないと思うけど、知らない相手と話すのって意外と気楽なんだよね。
リア友と話す時よりも、とってもとっても。

『Aoi:こちらこそです!』

『nanami:いいえ、あのすいません。ボイチャに切り替えてもいいですか?』

 ボイチャ――とはボイスチャットの略。
ボイスチャットというのはマイクを使ってお互いに話すということである。その為、声がバレてしまうがとても軽快に話すことができる。
 僕はボイチャをするか悩んだが、声だけならどうにかなるだろうと思った。っていうか、声だけで身元がバレるはずは無いからな。
僕はそう思い、チャットに打ち込む。
いいですよ、と。

そうすると相手からのボイチャ通信を示すものが届き、手元の近くにあったイヤホンを耳元につけ、『ボイチャを開始する』をタッチした。
 この時の興奮っぷりは今でも覚えている。
知らない相手と会話。会話。会話。会話。
それも声で。声で。声で。声で。
おまけに女の子。女の子。女の子。
ん? 女の子と確証を持てるわけじゃないけど、プロフィールには女と書いていたしそうだろう。それにしても僕と同じ年齢の女の子とボイチャだなんて……緊張する。

ガザガザと言う機械音が鳴る。ネット回線が悪いのだろうか? それとも……相手側が意図としてそんな音を流しているのだろうか?
僕はそう考えた。すぐにその音は消えた。
さっきの音は何だったのか?
そんな事を思っていると相手の声が聞こえてきた。

「き、聞こえますか?」
イヤホンだと言うのに蚊が鳴くように小さな声だった。
でもその声はとても聞き取りやすく、耳に残る。そして何より可愛らしい声だと思った。

「聞こえるよ」

「あぁ……良かったです」
彼女が溜め息をつく。マイク越しで聞こえてきて興奮してしまう。
我ながらピュアで健全だ。

「そ、その……チャットとかってよくするの?」

「よく、しますよぉー。生きる意味になってきてます」

彼女の声は小さかったけど、とても心がこもっているようだった。

「そ、そっかー……」

会話が続かない。
これが僕の限界だった。

「あのぉ〜何歳ですか?」
彼女の声は少し震えていた。
緊張しているのだろう。
 僕は自分の本当の年齢を言おうか迷った。
でも相手の声を察するに悪い人には思えない。

「15歳だよ」

僕がそう答えると彼女は「やっぱり」と何かを確信したかのように呟いた。
でも僕にとっては何の意味だったのかも解らない。ただ言うのだとするならば、獲物を見つけたかの様なものだっただろうか?
彼女にとって、僕の存在は。
違うね、僕の存在は獲物では無く、駒だ。
それも捨て駒。
要らなくなったら捨てられる駒。
今なら確信を持ってそう思える。

「やっぱり、声とかですぐに分かるんですか?」

チャットのプロは流石だなぁ〜とか関心を持ちながら訊ねる。

「い、いえ……そういうわけでは無いんです」

「ん? じゃあ、どういうこと?」

僕がそう訊ねると彼女が突然笑いだした。 

「ハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハはハハハは」

耳がキーンとする。
あまりの恐怖でイヤホンを取り、投げ捨てる。

しかし、スマホ本体のスピーカーから流れ出す笑い声は未だ止まらない。

「な……んだよ……これ、どういうことだよ」

背筋が一気に冷めていく。
怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。

「あハハハはハハハはハハハは…………………………君、まだ気付いてないの?」

どうやら僕が何かにまだ気づいてないから笑っているのか?

「ど、どういうことだよ?」

「まだ、君気づいてないんだ?」

彼女の声が可愛らしい声からドスのきいた声に変わる。さっきと同じ言葉なのに聞こえ方が全く違った。

「気づいてないって何だよ……?」

怖さで口調が少し荒くなる。

「個人情報が漏れてるってことだよ……」

個人情報が漏れてる?

どういうことだ? そんな訳ないだろ?

「何言ってんの? そんなわけ無いだろ?
そんなウソぐらいすぐに分かるって」

苦笑が漏れる。

どうやら彼女は僕を驚かせたかったみたいだ。
そんな風に僕は解釈した。

「そっか……ウソか。じゃあ、これを見ても?」

『misaki:写真が送信されました。』という文字がボイチャ中の黒い画面に映し出された。

どういうことだよと呟きながらメッセージ欄に飛んだ。

すると、そこにあったのは僕の写真だった。

「えっ……?」

僕はこんな風に間抜けな声を上げていたと思う。

「はは、間抜けな声だね。で、どうかな?
信じてくれた?」

彼女の声は如何にも僕を馬鹿にしているようだった。おまけに哀れんでいるようにも聞こえた。でも、僕にとってはどうでも良かった。

「お、お前……僕の写真をどこで手に入れた?」

「ぼ、僕? 何それ? おこちゃま?」

ぷぷっという笑い声が漏れる。

こいつを殴りたい。そんな感情が生まれた。

「僕は僕だ! それ以上、喋るな。
僕が質問してるんだ。先に聞け」

「ああ、ごめんね。あまりにも面白くて、ちょっと笑っちゃったよ。ごめんね、ぼく」
彼女は僕を馬鹿にして、
「それで、どうやって手に入れたとか言ってたね?」

「あぁ、言った。教えろ」

「ははぁ〜ん、教えろかぁー。生意気な人は嫌いだよ?」

随分、人格が変わってるがこっちのほうが本性なのだろう。
こんな性格が悪い奴を見たことがない。

「それでどうしろと?」

「今からビデオ通話にして、あんたは顔がばれてるから大丈夫でしょ?」

彼女はふふふと不気味に笑いながら言った。

これはしょうがないことだと腹をかため、僕はビデオ通話をタッチした。

すると、自分の顔が画面に映し出された。

「おい……言われる通りしたぞ。これでどうしろと?」

「ふふぅ〜ん。そうね。土下座して、すいませんでしたって謝って」

はぁ? こいつどんな神経してんだ?

「い……だ」

「ん? 聞こえないんだけど? もっとはっきり言ってくれる?」

「嫌だ! っていってんだよ!」

「あぁ〜そう。じゃあ、いいわ。あんたの個人情報悪い人達に垂れ流すからぁ〜。バイバイー」

本当にこいつ、性格が悪い。

僕は足を床につけ、斜め45度に上半身を向け、俗に言う『土下座』というのをやってのけた。

そしてそのまま
「すいませんでした」と謝罪した。

 パシャパシャと音がする。

「お、おい! お前……今、スクショしただろ?」

「勿論。だってまだ……貴方には働いてもらうから」

 根が腐ってやがる。このクソ女。

「働いてもらう? どういう意味だ? 教えろ。それ次第では僕は……」

どうするんだ?
警察にでも訴えるか?
でもそうすると僕はまず親に怒られる可能性が出てくるし、学校での評判も落ちる。
それにもしもこの事が他の人にバレれば、高校生活に死亡フラグが立つこと間違いなしだ。
 噂というものは怖いもので「出会い系を使ったやつだぜ」とか「警察沙汰になったやつだ」
と言われる可能性だってある。

最悪だ。そんなのなんてまっぴらだ。
僕は普通の人の様に暮らしたいんだ。
普通に恋をして、部活をして、勉強をして、友達と遊んだり、そんな青春を味わってみたいんだ。それなのに……こんな所で地雷を踏んでしまうとは……情けない。
それに自分がそんなに運がついてないのかと後悔してしまう。

「あれ? どうしたの? 
っていうか、貴方に選択肢なんてものは二択しかないのよ? 早く選びなさい。
やるか? それともやらされるか? どっちがいい?」

どっちにしろ、やれってことかよ。

だけど仕方がない。
今回はこいつの口車に乗ってみるとしよう。
自分を守る為に。自分の将来を守る為に。

「あぁーやってやる。だけど、一つだけ条件がある。僕の高校生活を壊すな。それだけだ」

「あぁーいいわよ。それで。
たけどしっかり働いてもらうから、覚悟しといて」

それが彼女と僕の初めての契約だった。
いや、脅迫というべきか。
そして僕が彼女の傀儡になった物語の始まり。

***
 高校の入学式。
朝からスマホに一件の連絡が入っていた。
「約束通り働いてもらうから」
という簡単なメッセージ。
勿論、相手は『nanami』である。
そして学校から家に戻ってスマホを確認するとメッセージがまた一件。
「わたしは貴方を監視している」
というメッセージと共に学校の中で僕を撮った写真が一枚。
それが僕の高校生活最初の始まりだ。
最悪であり、不幸だ。

 その後、彼女から色々な事をやらされた。
全て渚夕という男に関する事である。
僕は渚夕の事を彼女に聞いてみた。

すると、彼女は言ったんだ。

「あの人はわたしの彼氏よ。だけど、他の女に手を出すような卑劣な人なの。だからちょっと懲らしめてやろうと思って」

 そんな風に彼女は渚夕という男の事をどれだけ愛しているかという様な事を話し始めた。
そうさっきも述べた通り言うが、『好き』では無い。『愛している』である。
中学3年生の女子がそんなことを言っているのである。あまりにも重すぎる。
異常過ぎる程の彼に対する愛の執着。

僕はそれが怖かった。

 あ、そう思えばまだ脅迫の手口を言ってなかったね。彼女に教えられる前まで知らなかったけど、あの手のアプリは設定上位置情報サービスが勝手に起動されるものがあるらしい。
彼女はそれを知っていて、それを上手く利用して僕の家の近辺を探した。そして僕を発見したというわけ。おまけに僕の家は表札に家族全員の名前が書いているからすぐに本名とチャットを同じにしていた僕は格好の餌食とされたわけだ。
これが彼女に聞いた僕を選んだ理由である。
僕がチャットを初めて2週間という時間が経って、メッセージが届いたわけは僕を探していたというわけなのだろう。
考え方が普通の人間では無い。
末恐ろしい考えの持ち主である。
僕はそんな風に思いながら、自分の物語に終止符を打とうと思う。

「僕は……七海に復讐がしたい」と。

 そして渚夕という彼女を狂わせた男に対する逆恨みを晴らそうと。

これぞ正に毒吐くである。 

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