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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

彼女の告白

「七海? それ誰かな? 夕」
キョトンとした表情で真弓が俺を見つめてくる。俺はまだ真弓に七海のことを教えてないから言わなければならない。

「真弓……俺はお前に言わなければならないことがある。俺は真弓と付き合う前に……七海という女の子と付き合ってたんだ。まだその女の子と縁が実の所、全くついてない。だから……その」

言葉が途切れる。
それは別にこの話を詳しく教えたくないというようなやましい気持ちは全くない。

ただ、今まで黙っていた自分への背徳感と真弓に嫌われてしまうかもしれないという焦りが俺をそうさせたのだ。
頭を下げ、真弓にお願いする。

最初は俺もいやいやながら彼女と付き合い始めた。だけど俺は真弓をいつの間にかにこんなにも大事になってしまった。

本当に馬鹿である。

恵梨香を守ってやると言ったのに……これじゃ、俺は嘘つきじゃないか。

そんな気持ちが波のように押し寄せ、胸が傷む。それが分かっているかのように真弓が俺の身体にそっと手を寄せ、抱きしめてきた。
彼女の皮膚が直に当たり、人間の温かさと胸の膨らみを僅かながら堪能できた。絹の様なサラサラとした髪からは甘い匂いがする。

「夕、わたしね。そろそろ貴方に言わなければならないことがあるの」

俺の身体に顔をうずくめて、彼女が言った。

さっきの解答をまだ貰って無いんだけど……まぁ、いっか。

「どうしたんだ?」

身体を握りしめる手の力がより一層強くなる。
それほど、その話をするのが嫌なのだろうか?

だけど俺も最低の行為をした。

お互い様のはずだ。

「実はわたしが七海なの」

その言葉は俺の世界をひっくり返すのには充分だった。

健一もその言葉に顔を唖然としている。

「ごめんなさい……」

涙ながらに謝る彼女に俺が掛ける言葉はこれしかなかった。

「そ、そっか。それでも俺は君が好きだ」ってね。

どうやら、俺は偽善者ウソつきさんらしい。




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