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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

健一の物語(続) その1

文化祭から二週間後――
 今回は夏休みに入っても進学校ということもあり、つまらない毎日をルーピングしていた俺の話。そんなどこにでもいる仮面を被った男の話。悲劇を喜劇と勘違いした青春という言葉が大好きな偽者よわむしの話をしよう。

まぁ、それが俺こと健一の話なんだが……

「健一君、私貴方に頼みがあるの……」

それは唐突の出来事だった。
後ろから急に殴られる程に理不尽で、道端の石ころを蹴るほどの好奇心で助けてやると言った自分への天罰なのかもしれない。

俺の目の前には正真正銘の美少女がいた。

「あぁ……あの……俺になんかようっすか?」

陽キャラを演じてきた自分の仮面が剥がれそうになったが、それをどうにか隠すことができたのかは定かではないが、言うことができた。

「半分正解で半分不正解」

俺は今、何か用かと訊ねただけでそんなことを言われても意味が分からない。

「あぁーごめんなさい。名前がまだだったわよね」

「そう思えば、そうっすね」

それより前にさっきの謎を解決して貰いたい所だが、仕方がない。

「私の名前は朱里よ。これからよろしくね」

朱里……どこかで聞いた気がする。

「あ、朱里ちゃんね。えっーと、俺の名前は」

「知ってるから自己紹介は要らない。
じゃあ、それじゃ話の本題に戻る」

彼女は文化祭で起こった出来事。
つまり、夕と真弓ちゃんの話を始めた。
あまりにも朱里ちゃんが言うことはカオス過ぎて意味が分からなかったが、一連の出来事の説明を聞かされ、なんとなくだが理解することができた。

「それで……健一君には頼みがあるのよ」

「た、頼みってのは?」

「今から私と家に来てもらいます!」

はぁ? もしかして、フラグ立った?

「あぁぁ、ちょっと待ってください!
語弊があります! 私と一緒に真弓ちゃんの家に来てもらいます!」

「真弓ちゃんの家に何をしに?」

「証拠探しです。いいえ、答え合わせの欠片ピース探しと言ったところですかね」

朱里ちゃんはきっぱりとそう言った。

「そうか……まぁ、いいだろう。
俺を頼ってきたと言うことは、それだけ俺が朱里ちゃんに頼られているということだからな」

「いいえ、違いますよ。貴方を頼っているのは夕君の方ですよ」

「夕が俺を頼っている?」

「そうです。夕君は貴方を頼っているんです。だから、夕君は私に言いました。
困ったら、健一の所に行けと」

夕がそんなことを言った?

そ、それは……嬉しい限りだ。

「そ、そうか。あんまり信じれないが、そういうことにしておこう。で、それで真弓ちゃんの家に行く理由は?」

俺が訊ねると朱里ちゃんは少し邪悪な笑みを零して、「それは行ってからのお楽しみです」と答えた。

行ってからのお楽しみ?

どういうことだろう?

俺はそんな疑問を抱く。

「では、そろそろ行きましょうか?
真弓ちゃんの家にでも」

彼女はそう言って後ろに振り返り、歩いていく。

「あ、ちょっと待ってくれ。
靴箱はあっちだぜ?」

「コホンコホン……間違えました」
彼女は顔を朱色に染め、テヘッと笑ってみせる。

これだけの美貌があれば、ミスコンでも優勝できただろうに。

それなのに……なぜ出場しなかったのか?

俺は疑問になる。

それに恵梨香ちゃんも岬ちゃんもだし。

おまけに会長さんも。

本当に世の中ってのは分かんないねぇー。

俺はそんなことを思いながら、スタスタと歩く朱里ちゃんの後ろを追いかけた。

***

「で……ここが真弓ちゃんの家なのか?」

凄く大きな家の前に連れてこられ、驚いてしまう。

「はい……ここが真弓ちゃんの家です。
それじゃ、入りましょうか?」

朱里ちゃんはそんなことを言いながら、インターホンを押す。

インターホンを押すとすぐに若い女性の声が聞こえた。

「あの、どちら様でしょうか?」

「あぁ、はい。私達は真弓ちゃんのクラスメイトで……あの真弓ちゃんに借りていたものを返してもらおうかと……」

「そ、そうでしたか……それでしたら、お上がり下さい」

その声に反応するかのように門が開いた。

「それじゃ、行こっか」

朱里ちゃんに促されるままに後を追い、家の中に入っていく。

ドアを開けるとそこには美人がいた。

「あら、どうも初めまして。
真弓の姉の七海です」

あまりの美しさに動揺した。

というか、姉妹揃ってどんだけ可愛いんだよ。

「七海さん……ですか。やはり……私の思っていた通りです」

朱里ちゃんの目は何かを確信したようだった。


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