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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

責任

「だ、旦那様?」

「う、うん……そうだよ。渚君。
だって、渚君は私を孕ませた。
だから責任は取ってもらわないと……」
彼女がうっとりした瞳で俺を見つめていた。

「お、お前……まさか出産するつもりなのか?」

俺が尋ねると彼女は満面の笑みで言った。

「勿論。だって、私渚君の事好きだし」 

ふ、ふざけるな。
俺が彼女を孕ませた?
そんな訳はない。そんな記憶はない。
それなのに……俺が責任を持って、夫になる? ど、どうしよう。
そんなこと言われても俺は自覚も無ければ、覚悟も無い。
残念ながら……俺は出産してほしくない。
だって、その子供が生まれた所で俺は彼女と俺達の子供を養う程の金が無い。

それに俺も彼女も学生だ。
それなら俺はもう逃げるしかないだろう。

「お前さ。冗談なら本気で止めてくれ」
俺が少し大きな声で言うと、彼女は顔を手で隠し泣き始めた。

「な、渚君……やり逃げとか酷いよ。
私……ずっとずっと心配だったんだよ。
それなのに。それなのに。なぜ、そうやって私から逃げようとするの? ねぇ、私の何がいけないの?」

彼女がブツブツと何かを言い出す。

だが、俺の耳には早口過ぎて何も聞こえない。

だけど、最後の言葉だけははっきりと聞こえた。

「そっか。いい事思いついちゃった。

『邪魔な奴は消しちゃえばいいんだった』」

彼女はぼそりと小さな声で言った。
その声はいつもの彼女とは違い、トーンが低かった気がする。

「消しちゃう? どういう意味だ?」
俺が声を上げると彼女は言った。

「ううん。渚君には関係の無い話だよ。
それよりさ、これからの事を考えよう!
私達は恋人同士なんだから……」

彼女が顔を上げ、少し赤くなっている事に気づく。だけど、それとは裏腹に俺の顔は真っ青になるのを感じた。
こいつと俺は一生一緒に居なければならないのか?
記憶が無いとは言え、孕ませてしまった。

「なぁ、本当にそれって本当なのかよ?」

彼女がビクリと肩を震わせる。

「ほんとだよ。っていうか、私のこと信じてくれないの?」

信じれない。

本来ならば、そう言うべきだった。

だけど……この時の俺は彼女にこう言ったんだ。

「信じるよ。俺が責任を持つから……」と。

多分、俺は自分の幼馴染である恵梨香が全く俺の所に来ない事に不信感を抱いていたんだと思う。

俺の事、どうでもいいのかな? ってね。

こうして俺と真弓は正式に付き合うことになった。

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