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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

負けられない戦い

 彼女から渡されたスマホを受け取り、連絡先を一通り確認した。
彼女の連絡先には岬や健一の名前があったが、俺はまだ電話を掛けるべきではないと判断して掛けるのを中途してしまったわけだ。

「なぁ、元彼女さん。頼みがある……」
場を誤魔化そうと思ったのと、彼女のご機嫌取りをしようと思い喋りかけたが言葉が思いつかない。
俺が先を言わないのが疑問に思ったのか体育倉庫のマットに寄りかかっていた彼女が嫌々そうな顔をして口を開いた。

「なにかな?」
彼女の表情が暗くてよく見えないが、時折光が射し彼女の透き通るような肌が見える。

「あぁ……そのだな。その……」
先が思いつかない。これが七海に対する恐怖感からのものだろうか?

「あぁ、もういいよ。何もないんでしょ?」
彼女は全てオミトオシということらしい。

「いや、そんなわけは……」

「嘘だね。嘘だよ。嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘、だよね?
私、分かるんだもん。だって、夕は嘘を吐くときに必ず鼻を触るから」

え? 俺が鼻を触る?
いつ、触った? 分からない。
無意識の内に触れていたのだろう。

「それは驚きだ。分かってたんだな」
俺がそう言うと、彼女は誇らしげに「夕の事なら何でも」と言った。

「あ、それよりもいい話があるんだ。俺達が好きだったアニメの二期が決定したんだぜ。
本当に面白かったよな。あ、そうだ。今度一緒に見ないか?」
俺は思いついたことを勢いで押し切った。

「へぇーそうなの。懐かしいわね、だけど……そんな話をしても何も楽しくないわ。
私が楽しかったのは6話辺りまでだった。なぜか、わかる?」
俺が彼女が言いたいことが分かる。

「それはね、貴方が私から逃げたからよ……あぁ、辛かったな。
悲しかったな。私は寂しかった。それなのに、貴方は私に連絡によこさなかった。
本当に彼氏失格よね。もう、ほんとに……。おまけに新たな女を作るわ、他の女の子達にも手を出して、私は本当に可愛そうだわ。そして、今になって全てを解決しようと私の所に来たものの、文句ばっかり。もしかして、謝りに来たんじゃなくて、説教しに来たんじゃないのかしら?」

 確かにそうだ。俺は彼女が苦しんでいた半年間何をしていた?
一度でも、彼女の心を考えたことがあっただろうか?
チャットの人間だから別にいいや。ネットの人間だし、遊び気分でいいや。
そんな風に思っていたかもしれない。アニメでも一緒だ。
今期の○○たんをこれからも一生愛す。
でも、来期になると△△リンを愛す。という男なのだ。
本当に俺は信念が無い。
ただのクズ男だ。だから、何回も何回も失敗を繰り返した。
選択を間違えた。
間違うことを青春を決めつけ、自分の間違いを失敗と認めなかった。
だから、こんなことが起きた。
いや、俺の人生はこんなことが起き過ぎた。
だから、中学二年生の時に生徒会を逃げるように天文学部を作った。
そしてある女の子と出会った。その女の子はいつの間にか居なくなったけど、彼女から俺は一生懸命頑張ることの大切さを、勇気をもらった。

だから、今ここに居る。
だから俺はここに居るんだ。

ゲームでいう所のお前のターンは終わりだ。

ここからは俺のターンだぜ、七海。

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