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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

天文学部と謎の美少女 後日談

「ど、どういうことですか?」
アレックスさんの突然の言葉に焦ってしまった。
「言葉の通りです。貴方と朱里様では釣り合うことはできないと言っているのです。
もし、よろしければ朱里様には今後近寄って欲しくない」
「……………………」
俺は言葉を見失った。
「では、これで……」
アレックスさんが俺に別れの挨拶を告げ、歩いていく。
俺はそんなアレックスさんの後ろ姿を見て変な感情を抱いた。
今までに感じたことがないような感情だ。
俺はこのまま逃げたくないと思い、アレックスさんを呼び止めた。

「すいません。ちょっと待って下さい」
俺の言葉を聞き、アレックスさんが立ち止まり後ろを振り返る。

「何ですか? 渚さん」

「あの……何で俺は朱里の側に居てはいけないんですか?」

「それは簡単なことですよ。貴方と朱里様は住んでいる世界が違うのです。
では、これで……」
アレックスさんは早く戻りたかったようだったので、俺はもう呼び止めることはしなかった。

 俺が走って朱里の元に戻ると朱里は俺を優しい笑みで待っていてくれた。俺はかなり嬉しかった。人の温もりを感じた。カフェオレを差し出すと朱里はそれを美味しそうに飲んでくれた。彼女のそんな姿を見れて良かったと思う反面、あることを俺は疑問に思っていた。
朱里がカフェオレを飲み干す前に、俺は無糖をどうにか飲みきった。めっちゃ、苦かった。
しかし悲しいことに朱里が俺の飲んでいた無糖に何も興味を示すことが無かった為、一人無駄な金を使ってしまったと後悔。

朱里が時計を見て、時間を確認する。

「あ!? ちょっと、やばい!」
普段はあまり声を荒げない朱里が声を荒げ、俺は少し驚いた。

「どうかしたのか?」
俺が朱里に尋ねるが、彼女は何も言わない。
何かやはり俺に隠していることでもあるのだろうか。

「あ、その言いたくないことだったら言わなくていいよ」
俺の言葉に救われた顔をした朱里は安堵する。
人には誰しもが隠したいことがあるのだ。
俺もそれを知っているからこそ分かる。

「その、あの、ごめんなさい」
朱里が俺に頭を下げて、謝罪をしてきた。
彼女の髪が風に煽られ、雪がぽつぽつと降ってきた。

「ゆ、雪?」
朱里も驚いていた。

「そうみたいだな。こんな時期から雪とは今年はどんだけ寒いんだ」

「確かにそうだね。こんな日からとなると……」

俺が朱里の方に顔を動かすと朱里も俺の顔を見ていた。
そして、お互いに笑った。

「あのさ、朱里。さっきは上手く聞けなかったけど、何て願ったんだ?」
俺が尋ねると朱里が困ったような顔をした。
でも、何かを決心をしたのか朱里は口を開く。
「渚君は良い人なので周りからの評判が上がって欲しいですね」

「そ、それは余計なお世話だな」

「あの、渚君は?」

「あぁー、俺? 俺は本当に心の底から好きと言える相手に会えるようにって願ったよ」
俺がそう言うと、朱里は俯いたまま何も言わなかった。
俺の言ったことがあまりにも馬鹿馬鹿しかったのか?

「ふふふ……」
朱里が不気味に笑い出す。

「ど、どうしたんだ?」
朱里が顔を上げる。

「あのですね。願い事を他人に言ったら流れ星の効力は無くなるんですよ?」
朱里が笑って、真実を告げる。

「はぁ? 嘘だろ。でもそれならお前も一緒だろ!」

「いや、本当です。私がさっき言ったことは嘘ですよ。
でも渚君を心の底から好きと言ってくれる相手は会える気がしますよ」

「俺の事を好きと言ってくれる人? ないない、俺って嫌われてんだぜ?」
なぜ、俺はこんな自虐をこの女の子に言ってるんだろう。

「そうですかね? 私的には渚君自体が避けてる気がしますけどね……」

「そうか……ってか朱里何か急いでいたんじゃないのか?」
俺がそう言うと何かを思い出したように慌ててカフェオレを飲み干した。

「じゃあ、私もう行くね」
朱里はそのまま望遠鏡を持ってアレックスさんの待つ車へと戻って行った。

***
 あれから俺と彼女が出会うことはなかった。
彼女を探してみたがいなかった。元々いなかったみたいに。
だが、俺は彼女と共に過ごした日々を覚えている。
だけど……それが本当にあったことなのか、疑問に思う。
俺と一緒に居たあの女の子は誰だったんだろう、と。

そして、月日が経ち俺も三年生になった。

「だぁーれだ?」
視界を奪われ、声を掛けられた人を思い浮かべる。

「朱里か?」
俺がそう声を掛けると、俺の視界を奪っていたものがゆっくりと動く。

「ねぇ、朱里って誰? 夕君?」
後ろを振り向かずとも俺はこの声が誰かを知っている。
この相手は……
椅子に腰かけていた身体を動かし、後ろを振り返りながら
「あぁ、ごめん。ぼぅーとしてた、恵梨香」

「もう、なんだよ。夕君の癖に……」
恵梨香は腹を立て、顔を背けた。

「悪い悪い。じゃあ、行こうか? 生徒会に」

「そうだね。じゃあ、行こうか? 生徒会長さん」
恵梨香が俺に微笑む。

「そうだな……じゃあ、行こう」
俺と恵梨香は生徒会室へと向かう。

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