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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

天文学部と謎の美少女その5

 俺と朱里は望遠鏡で思う存分星を観察し、展望台の端にあるベンチに腰掛けた。
ベンチは木でできているが、二人座っても大丈夫な程頑丈である。
風が吹き、体温が奪われる。それにしても寒い。
俺の横に座る朱里は顔を朱に染めて空を見上げている。

「お、俺……飲み物買ってくるわ」
俺がそう言うと朱里も一緒に行くといったので
「俺が買ってきてやるよ」
と口が滑ってしまった。俺はあの時以来、人に接することを嫌っていたのに馬鹿だと思う。
 俺は乳酸が溜まった足を動かし、自販機へと向かった。
自販機には朱里のお兄さん、確か名前はアレックスさんがいた。
ていうか、朱里は日本人っぽいのにアレックスとか名前変わってんな。
そんなどうでもいいことを思いつつ、自販機に歩みよっていくと俺の気配に気づいたアレックスさんが俺の方を見てきた。何か言葉を出そうと思ったが気の利いた言葉を出せるような中学生ではない俺は喋りかけることができなかった。どうやら、俺はコミュ力が無いっぽい。

「あ、渚君。朱里様のパシリかい?」
アレックスさんが俺に喋りかけてきた。
見た目はイカツイけど、中身は良い人そうだ。

「いや、違いますよ。俺の独断です」
きっぱりと俺はパシリではないことを証明しておいた。
俺の言葉を聞いて、アレックスさんは高らかに笑う。
何か、変なことでも言ったのか気になるがどうでもいい。
アレックスさんは自販機から缶コーヒーを二つ取り出した。
一つは微糖でもう一つは無糖だ。

「アレックスさんって二つもコーヒー飲むんですか?」

「いや……違うよ。車にもう一人いるんだ」
アレックスさんの表情はとても寂しそうな顔だった。
だけど、その表情はほんの一瞬だったので本当にそんな顔をしていたのか、疑問が残る。

「それだったら、パシリじゃないですか?」
俺が冗談っぽく言うと、アレックスさんは言った。

「パシリかぁー。考えたことは無かったが、そうかもしれないな」
 ポケットに入れた財布から小銭を数枚取り出し、投下する。
お金のチャリンという音が静かということもあり、よく聞こえた。
そして無糖を一つとカフェオレを一つ買う。
冷えている手に缶コーヒーは至福の時を味合わせてくれた。

「じゃあ、俺もう行きますね。朱里の所に」
俺がそう言って、手を振るとアレックスさんが笑いながら言った。

「はい、分かりました。では、車で待っていると言ってください。
あ、それと……もう一つありました」
急に表情が真剣になり、アレックスさんが言葉を続ける。

「貴方には朱里様の側にいる資格など無い」




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