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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

天文学部と謎の美少女 その4

 俺は謎の美少女もとい、俺の部活の居候人に促され彼女の後ろを歩いている。彼女が歩くたびにカツカツと音がするのでハイヒールでも履いているのだろう。
彼女のお兄さんの車と思われるトランクから天体望遠鏡を取り出して、それを俺が持っているので彼女よりも遅いということだ。
あぁー疲れる。それにさっきチャリを漕ぎまくったせいで汗が出てきている。おまけにその汗が冬を感じさせる風により冷やされる。まじ、これは風邪ひくぞ。
「ってか、どこまで行くんだよー」
彼女に気になっていたことを尋ねてみると、彼女は顔を後ろにくいっと向け、俺にふと笑みを浮かべた。
「あそこ!?」
彼女が指さした方向を確認する。
すると、そこにはちょっとした展望台があった。階段を少し上らないといけないが仕方あるまい。
俺はてくてく歩く彼女の後ろを一人重そうに望遠鏡を持って追いかけた。
この望遠鏡がスーパーの袋だったら片方ずつ持ちたいが望遠鏡なのでできないのが悔やまれる。
ってか、俺何言ってんだか……この女の色香にかかるところだったぜ。


どうにか、展望台を上りきることができた。階段はちょっとだけ、あいつが助けてくれたので嬉しかった。というのは、墓場まで持っていくつもりだ。
展望台から見える景色は思っていたものより美しかった。我が町の各家庭から見える明かりが夜の夜景にぴったりとマッチングしていた。
「きれーー」
俺の横にいる居候人がそこまで嬉しそうに言っているならば、さぞかし綺麗なのだろう。
まぁ、普通に綺麗だったけど。
「確かに綺麗だな」
こんな綺麗な景色を見させてくれてありがとうと言いたいが、これが今回の目標ではない。
そう、俺は彼女に会う為にここに来たのだ! って、違う。
今回の俺の、いや俺たちの目標は流星群を見る為だ。
 光り輝く空を仰ぐ。あ、一番星みっけとか、アンドロメダかなとか思い、星を見る事数十分。
「見れませんねー」
彼女が口を開いた。
「確かにそうだな」
身体が寒い。あぁー家の炬燵に入っていればよかった。
俺何でこんなところいんだろうとか、ネガティブ思考になる。
ってか、風吹くな! まじで今の俺の体温がガンガン下がってんだよ。
俺は横で天体望遠鏡を覗き込む彼女を一瞥する。
そしたら彼女を身体を震わせていた。足がガクガクブルブルだ。
ったく、しょうがないな。
俺は自分が着ていた上のジャケットを脱いで彼女に差し出す。
「ん!」
傘を渡せずに「ん!」を連発していた男の子の気持ちが分かる。
しかし、そんな俺の優しさに気付いていない彼女は今もスコープをむさぼるように見ていた。
何を見ているのか……全く分からんな。
彼女が覗き込みでながらにやにやしていたので何を見ていたのかかなり気になる。
彼女がやっと顏をスコープから離した。
そして俺の方を満足げな表情で言った。
「寒いですー」
彼女の口が展望台の反対側にある街灯で少しだけ見える。
唇が紫になっている。
「ほら、これ着れよ」
一丁前いっちょまえにかっこぶってみた。
「え? いいんですか?」
彼女の丁寧な他人行儀に近い敬語を聞き頷く。
彼女は俺からさっと服を奪い取り、肩にポンチョのようにかけた。
最近の女子中学生は寒いときでもファッションに拘るようだ。
「それにしても――あ!? 流星群ですよ」
彼女が顔を赤くして、指を指す。
俺はそちらに顔を向けた。
そこには、真っ暗な闇に光輝く矢みたいだった。
現れては消え、消えては新たに現れとても綺麗だ。
「あ! 渚君! 何かお願い事しましょう!」
彼女の提案に俺は賛同した。
そして、少し考える。俺は何を望んでいるか、俺は何が欲しかったのか。

「あぁー消えちゃいますよ!」
彼女に急かされ、俺はあることを願う。
三回願い事を心の中で念じた。これで叶えばいいな、ってか俺何気に青春してる。

「朱里は何か願ったのか?」
彼女は凄く驚き、目をぱちくりさせている。

「なぜ……私の名前を?」
彼女の声色が少し低い気がするが俺の勘違いだろう。

「いや、さっきお兄さんが朱里って呼んでたからな」

「あ、そうですか……」
彼女は困った顔をしたが、すぐに笑顔になった。

「さぁーもっと、星をみましょう!」
彼女に言われ、慌てて俺も望遠鏡を覗き込んだ。



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