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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

33 足踏み

 ミスコンについての説明をまだやっていなかった気がするので先に教えておく。帝星高校のミスコンは文化祭の1日目に予選があり、ここで5人に絞られる。そして翌日の2日目に本選という形だ。予選と本選の大きな違いはまず初めに盛り上がりが全然違う。予選の時は男子生徒の票だけなのだが……本選では生徒全員参加の投票となるからだ。それも無記名投票では無く、記名投票となる。それなので誰が誰を可愛いと思っているのか丸わかりになるが、それがこれの醍醐味なのだ。この他にも色々とミスコンのルールはあるが細かい説明は後々させてもらう。

「じゃあ、私が朱里には伝えておきます! じゃあね、ハーレム王、ふふっ……」

ハーレム王とは……悪い気もしないが、今の場合は敵を増やすだけだと思うんだけど。まぁ、別に気にすることは無いか。

「あぁ、よろしく頼むよ!」

俺がそう言うと彼女はどこかに行ってしまった。

あ、彼女の名前……聞いてなかった。

「ほら、何ぼっーとしてんのよ! ほら、行きなさいよ!」

岬が俺の背中を叩いてきた。

「どこにだ?」

「もちろん、決まってるじゃない。貴方が向き合わなければならない人の所よ」

岬はニヤリと笑い、そう言った。

「俺が……向き合わなければならない人……」

「夕君、ちゃんと言わなきゃ伝わらない事だってあるんだよ……ほら、ちゃんと行かなきゃ」

恵梨香も俺の背中を叩く。

「そうか。そうだな。俺も行かなきゃな」

「そうだよ……夕君」

「そうよ。渚君。今日の貴方は死んだ魚の様な目だったからイライラしてたの。だけど、やっと目が覚めたみたいね」

「あぁ、ありがとう。恵梨香、岬……。俺、行ってくるよ」

こうして、俺は脚を動かす。
どこに七海がいるかなんて分からないけど。

だけど、奴が俺をストーキングしているのなら近くにいるはずだ。

俺の近くに……いたはずだ。

それなら……俺は奴の顔を一度は見たことがあると言ってもいいだろう。

「さぁ、頭脳戦ゲームを始めようか?」

俺と七海の失われた時間を取り戻す為に。

 七海がどこにいるのかなんて分からない。おまけにあいつの情報はほぼ皆無。だけど、会えば分かると思うんだ。あいつの俺に対する殺気的なものを気づくと思うんだ。あいつは俺に会えば、確実に何かを起こす。だから、今は校舎を回りまくってあいつに会う事が必要だ。

それか……チャットを使って相手をおびき寄せるしか無いな。

だが、これは最終手段にしよう。

 その後、俺は一人で色々な場所を回った。しかし、七海に出会う事は無かった。

俺の推測が甘かったのか?

そう思いながら、自分の教室に戻る。

今日室には真弓を筆頭としたクラスメイトが焼きそばパンを作っていた。意外と人も多くて、売り上げが気になる。そんな風に思っていると健一が俺に気づいたらしく、俺に喋りかけてきた。

「よっ! 夕! さぼりか?」

「さぼりじゃねぇ~よ。寧ろ、今働いている感じだ」

「そっか……お疲れだな」

そう言って間が開く。

そして健一が口を開く。

「それで……見つかったのか?」
その険しい顔を見る限り、俺を本気で心配しているのだろう。こんな友達を持っていて本当によかった。

「まだ……だ。わかんねぇーんだよ」

「だよな。そんな一筋縄ではいかないよな」

「あぁ……」

「それより、俺も手伝うよ」

そう言って、俺は真弓の元に駆け寄る。

「ありがとうね。でも、見回りとかがあるんじゃないの?」

心配そうにこちらを見つめ、俺に語りかけるように言った。

「あるけど……明日は行かなければならない場所があるから」

「へぇ〜そっか。なら、ちゃんと今日は働いてもらうから」

「お、おう」と弱々しく返事をして、クラスの為に働くことにした。

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