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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

20 岬の解答

「はぁ? お前、ふざけるのもいい加減にしろよ! あの時、俺は言ったよな! 恵梨香は、犯人じゃないって!」

人気の無い場所なので、俺の声が響く。


「うん、確かに聞いた。だけど、恵梨香ちゃんが犯人じゃないと辻褄が合わないのよ」

岬は冷静に、俺が怒っている事を小馬鹿にするように話を続ける。

「私も最初は犯人を恵梨香ちゃんじゃないと思っていた。信じたかった……私と同じ不遇の存在と思いたかった。なら、どういう事だと思う?」

彼女が俺に問題を問いかけるように尋ねてきたので、俺は口を開く。

「わかんねぇーよ」

彼女は「そう」と呆れたような顔をして、話を続けた。

「はっきり言って、ターゲットはどう考えても『私』だけだった。だけど……邪魔が入った」

「じゃ、邪魔?」

俺の疑問に答えるように岬が頷く。

「そう、邪魔。それが誰か……はもうわかるんじゃない?」

彼女が間を開けて、

「そう、貴方よ」と言った。

「お、俺? どういうことだよ。全く理解できねぇーよ」

「はぁ………」と深い溜息をつかれ、俺の気分も悪くなる。

「貴方は性格上、絶対にクラスメイトがいじめとかにあったら助けるでしょ? それが問題な訳よ」

なるほど、少しは理解できた。

「それで?」

「恵梨香ちゃんはある人に私と渚君が付き合っている事を聞いてしまった」

「その人とは?」
俺は唾を飲み込む。

「貴方の恋敵というべき相手、つまり葵君よ」

「なるほどな……でもどうやって、こんなにも話が飛躍するんだよ!」

「まぁ、話を最後まで聞いてから反論はしてくれるかしら?」

「は、はい……」

弱々しく俺が答えると岬はこの事件の真相を語り始めた。

「私が葵君から、告白されたっていうのは前に話したと思うのだけれど、あの時、私は葵君に告白されて、断ったの。そして、彼に『なぜ? 付き合ってくれないのか?』と尋ねられたわ。その時に私は好きな人がいると伝えた。それがこの事件の始まりであり、物語の原点よ」

「それで、その好きな人って誰なんだよ……」
クラスの中で、いや学年の中で1位と言ってもいいぐらいの彼女の好きな人が気になったという気持ちが半分、この物語の真相を知りたいという気持ち半分で、俺は彼女に尋ねた。

彼女は俺の方を見て、本当に呆れている。

「それは……私が貴方の事を好きだからよ」

俺の世界が止まった。時間が止まった。
息が止まった。全てが止まった。

そして、時間が動き出す。

「えっ? はいっ? あの……? ちょっ、と、待って!」

かなり変な返事をしたと思う。

岬が俺の事を好き? どういうこと?

「そんな、返事しなくてもいいじゃない」
岬が恥ずかしそうに顔を紅くしてそう答える。

「本当ですか?」
彼女の顔を伺いながら、俺は尋ねる。

「恐縮ながら、本当です」彼女ははっきりとそう答えた。

「あの……いつからですか?」
なぜか、さっきから敬語になっているけれど、もしかしたら昔のお見合いみたいだ。

「出逢った時からです」

「あの、それって俗に言う……一目惚れってやつですか?」

恥ずかしがって、俯いている彼女に俺は尋ねる。

「そ、そういうのかも……ハハハ」

岬が不気味に笑い始めた。何かを隠しているようだが、俺には何も分からない。

「まぁ、話はわかった」

大体、話が分かってきたし、俺に甘えてきた理由も分かってきた。


「それで話を続けてくれるか?」と言う前に俺は一つ気になっていた事を尋ねてみた。

「あのさ、なんで俺の携帯電話番号知ってたの?」

俺がそう答えると岬は顔をきょとんとして、俺の質問に答えた。

「それは、真弓ちゃんに聞いたのよ」

岬は他人事の様に言ったが、それは有り得ない。

なぜなら……俺の携帯電話番号を知っている人は、恵梨香と母親しかいないからだ。


「なぁ、おい。もう一度、聞くぞ。お前は、どうして俺の携帯電話番号を知ってるんだ?」

俺にとっては、かなり重要な事だと思い、俺はもう一度訊いた。

だけど、返ってくる返事は「真弓ちゃんから聞いた」という答えだった。

 話によると、岬が休んでいた時に真弓が岬の家に行ったらしい。そして、俺の携帯電話番号を教えたらしいのだが……そうなると真弓がなぜ、俺の携帯電話番号を知っているのか? という疑問が残るだけである。

「ねぇ、深刻そうな顔をしているけれど、大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ」

余程、俺の顔色が悪かったらしく、岬が少し心配している。いつもは心配などしない奴なのに……

「って、何か私に隠してるでしょ?」

そして、俺は携帯電話番号の事を岬に伝えた。

「それは確かにおかしいわね……でも、それは今はどうでもいいんじゃない?」

「まぁ、まぁ……確かに今はどうでもいいな。話を続けてくれ」

「じゃあ、話を続けるわね」

そして彼女はこの物語の真相を語り始めた。

彼女から聞いた話を簡単に俺が説明をしよう。

この物語の一番最初は、葵が岬に告白した事から始まる。

しかし、彼の恋は実る事は無く、悲恋となってしまった。でも彼の岬に対する愛情は告白する前よりももっともっと強くなっていった。
でも、岬は自分には興味が無いと知ってしまった彼は『岬が好きな男と岬が結ばれてほしい』という風な気持ちになった。

しかし、そんな彼の願いが上手くいくはずが無く、無慈悲にも時間だけが過ぎる日々が続いていた。
そんなある日。彼は偶然にも文化祭実行委員になってしまった。そして、彼は文化祭の集まりで岬と再会することになる。

そして、岬の横にいる存在。渚夕という存在にも気付いた。彼は岬という存在が渚夕という存在と共に居たことが本当に嬉しかった。

そして集まりが終わり、自分の教室に戻ると泣いている恵梨香を発見した。

そして、彼女に何があったのか尋ねてみると自分の彼氏がすなわち、渚夕が岬とキスをしていたという事を教えられた。彼の心の中では、とてもとても幸せな気持ちになっていた。

だが……彼にとって邪魔者ができてしまった。
それは『江川恵梨香』という存在だ。

彼女が渚夕の彼女ならば、岬は幸せになる事はできない。

それならば……彼は考え、答えを導き出した。

それは『江川恵梨香の気持ちを自分に向ければいい』という考えだった。

そして彼は泣いている恵梨香に歩み寄り、恵梨香の支えになった。

そして彼は恵梨香の事をずっと好きだったという事を伝えた。

その時の恵梨香は自暴自棄になっていたため、あっさりとそれに了承してしまう。

そして彼の仕事はこれで終了のはずだった。

しかし、恵梨香がTwitter事件を起こしてしまう。

「なるほど、確かに辻褄が合うな。もし、これがお前の創った小説とかなら100点上げても良いところだが……俺は違うと思うぞ」

「そ、そう。確かにこれは私の推測。それにまだ、繋がらない事だらけ」

岬は皮肉に笑いながらそう言った。

「まぁ、俺も分からないことだらけだ。俺も葵は何らかの形で関係していると思うんだが……あまりにも岬の言っている事は複雑過ぎる気がするんだ」

そう、あいつの見ている目は恵梨香を女として扱っている様な目だった。

「それなら、どういう事だと思うの?」

「葵は元々、恵梨香の事を好きだった。それじゃ、ダメなのか?」

「なら、葵が私に告白した事はどうやって説明するのかしら?」

「そ、それは……」

俺が何も言える言葉が無かった。

「そ、そう……なら仕方ないけど、私が言っている事が正しいと思うわ。じゃあ、授業戻るから」

岬はそう言って、教室に戻っていった。

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