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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

19 不の連続

俺は彼女の頬を引っ張ったり、抓ったり、そしてぷにぷにしたりして遊び尽くした。

これでもか、という程に遊び尽くした。

という事は無かった。

実際的な話をすると、俺が遊んでやろうと目論んでいた事が分かっていたかのように警察が駆けつけた。

俺は犯人と間違われたが、朱里の証言によって無罪を証明することができたのであった。

 もう、家に帰宅する頃には既に21時を過ぎていた。そして親に今日あった事、昨日あった事まで全て話すことになった。まぁ、女の子との絡みについてはあまり触れないようにしたが。

母親は不自然な事を言い出した。

「でもさ、夕に何か関係してる人だね。それは」

「そうなのかなぁ……」

俺も心の中ではそんな気持ちがしていたが、あまり信じたくなかったのである。だって自分が知っている人があの不審者だったら嫌だと思うから。

それにこの時の俺は何となくだが、犯人の大方の予想はついていたから。

だから、俺は尚更、犯人探しというモノをしたくなかったのだ。

だけど、今回の件についてはそれは例外だ。

だって、犯罪なのだから。ちゃんと事件を問題を解決するべきなのだろうと思うのだが、俺が取った行動によって、その不審者が、その女の人生が狂っていくのは見たくなかった。

自分の一言で、一人の女の人生を狂わす。

そんな事が俺はできるのだろうか?

そんな覚悟はあるのだろうか?

そんな疑問を持ちながら、俺は悩み悩み悩み続けた。

何日も何日も。

俺は悩み続けた。

 そして、あの不審者の女とのファーストコンタクトから1週間が過ぎ、文化祭まで残り1週間に差し掛かっていたある日の放課後。

俺以外のメンバーも集まり、皆で文化祭に向けての準備をしていた。俺達、1年A組は皆で最初の頃はあまりにも酷いチームワークだったのだが、俺を中心に、そう、俺を中心にまとまっていったのである。

俺は、もしかしたらリーダーシップ性があるのかもしれないと思い込んでいた。

そんな楽しい文化祭の準備中。
カッターを手に持って、ダンボールを指定の大きさに切っている真弓を見ながら、俺は不思議な事に気づいたのであった。

「なぁ、真弓。なんで、お前今でも長袖のTシャツ着てんだよ?」

俺は前々から、気になっていた事を訊ねてみた。

本当に何となく、喋る事が無かったから。

ほんの少しの俺の好奇心だった。

なぜだろう……なぜ、彼女はこんなに暑いのに長袖を着ているのか?


唐突に喋りかけられ、少し戸惑いながらも俺の方をしっかり、見つめ彼女は口を開いた。

「あのねぇ……渚君。Tシャツじゃなくて、女性の場合は『ブラウス』って言うんだよ」

「へぇ〜そうか。それでなんでこんなにも暑いのにそんなもの着てんだよ」

彼女は顔色を一瞬も変えなかった。

「ちょっと……手を怪我してて」

彼女は笑いながら、そう言ってた。そして俺になぜ、その怪我ができたのかなどの説明をしてくれたが、俺は納得することができなかった。

俺が真弓の異変、(違和感と言うべきか)に気づいた翌日。

岬が学校に来た。何の前触れもなく。

来たって言っても、俺が学校に登校するのはいつも遅かったのでその日も遅刻ギリギリに登校したのだが、その時にはいた。彼女は自分がずっと休んでいたという事を何も感じていないように座っていたんだ。そこに居るのが彼女の当たり前のように。そんな彼女を見ていると、彼女はずっと休んでいなかったように思えてくる程に彼女の姿は新鮮では無かった。

岬が学校に来たという訳は、裏を返せば、Twitter事件についての情報が集まったと考えていいと思うのだが……

「おい、夕。岬ちゃんが復活してるぜ!」

健一は岬が学校に復帰した事をかなり喜んでいた。

「なぁなぁ、岬ちゃんって謎のクラスメイトって感じで萌えるよな」

萌えるじゃなくて、お前は本当に燃えろ。

「あ、そうだな……」

適当に健一の話を流しつつも俺は岬にアイコンタクトを送っていた。

すると、岬が俺のアイコンタクトに気づいた。

「わるい、健一。ちょっと用事ができた」

俺は健一にそう言い残し、1時間目の英語をサボる事が決定した。

俺と岬は以前、俺に二股疑惑をかけられていた階段に来ていた。

「それで、わざわざ私にアイコンタクトを取ってきて何かようかしら?」

授業を受けれない事に苛立ちが隠せない様子だ。まぁ、それも仕方ないだろう。元々、優等生な奴だったし、それに岬が来なかった内に授業はかなり進んでいからな。

「本当にそれはすまない。だが、1つだけ聞きたいことがあるんだ。あのさ……」

俺の言葉を察した様に岬が口を開く。

「Twitter事件の犯人が分かったの、か? ってことかしら?」

「あぁ、そうだよ」

俺がそう言って、頷く。

すると、岬は困った顔をしながら言った。

「もう、私的に私が犯人でしたってことで終わったんじゃないのかしら?」

「い、いや。終わってない」

「そう、それなら私が犯人と言う事にしましょう」

「はぁ? 何言ってんだよ! 犯人を見つけるんじゃなかったのかよ!」

彼女が俺を呆れたように見つめながら、口を開く。

「まぁ、私がそう言ってるからいいじゃない。別に渚君には関係無いことだと思うのだけれど」

「あぁ……確かにそうかもしれない。だけど、俺は、俺は……犯人じゃない奴が犯人に仕立てられるのが嫌いなんだよ……」

だって、冤罪じゃないか。それに俺は岬がやっていないと分かっているのにそれを見過ごす事ができる訳無いだろ。

「ふふっ、そう。それはよかったわね。余計なお世話ってやつよ。それは」
岬はいつもと同じ様な冷淡な口調であっさりと答える。

「確かに俺がやっている事は、ただのお節介だ。だが……俺はお前が1人で苦しむ様な青春を見たくない。本当は、わかってんだろ? 誰が犯人かってこと……」

岬は俯いた。

まるで、現実から逃げるように。

「なぁ……聞かしてくれよ」

俺がそう言うと、岬は俺をまじまじと見つめ、悲しい顔を見せる。

「本当に、どんな結果になったとしても貴方は、渚君は、後悔しない?」

岬は俺に何かを必死に語りかけるように。俺に何かを忠告しているように。そう、尋ねる。

「あぁ、後悔はしない。もう、俺は逃げないと決めたからな」

俺がそう言うと、岬は何かを決心したかのように重々しく口を開いた。

「Twitter事件の犯人は、江川エガワ恵梨香エリカ。貴方の元カノであり、貴方のお、幼馴染と言うやつかしらね」

彼女は悲しそうにそう、俺に告げた。

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