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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

14 黄色信号

「こ、これは……なんだよ……」

俺はあっけに取られ、ipod touchを床に落とした。

なぜなら、+999のチャットの正体がわかったから。

七海からの異常な、一般人からの通知以上の返信が来ていたからだ。

そして、俺は七海という存在を知る事になるのが、それはまだ先の話だ。

順序よく話していきたいので、ほんの少し長話をさせてもらうとでもしよう。

✽✽✽
恵梨香と公園で、愛の誓い的な、友情の誓いというべきな"幼馴染"というのを超えてしまった関係になってしまったあの日。俺はもう、彼女ではない恵梨香を家まで送らなくてもいいのに、『女の子を夜に歩かせる事はできない』というちょっとした心遣いにより、家まで送ってあげた。

それから、1週間の間は本当に何も無かった。

何も無かったという事を俺が知らないだけで他の人には何かあっていたのかもしれないけれど、そんなのはどうでもいい。

そんな、あの日から1週間後から少しずつ俺の人生は狂っていく。

文化祭まで、残り2週間になったある日。

俺は文化祭実行委員だった為に夜遅くまで自分達の催し物を作っていた。

俺達、1年A組がする事になったのは、喫茶店だった。喫茶店だと言っても、メニューは焼きそばパンだけだ。焼きそばパンだけってのは、本当は物足りないのだが、たくさんのメニューになると、材料の補充が大変になったり、時間効率が悪くなったりとするらしく、俺達は焼きそばパンということになった。

喫茶店というよりも、焼きそばパン屋さんにしろと言いたい所だが、女子の皆様方が喫茶店の方が可愛らしいという事らしく、名前は喫茶店ということになっている。

俺が作っていたのは、『喫茶店』という文字が入った看板で、結構苦労した。

だって、手伝ってくれる奴がいなかったから。(一人の文化祭準備とか、本当に残念な青春である。)健一は部活があるから、今日は無理と言われたし、佐藤君には岬の事を恨まれているので声をかけづらかった訳だ。真弓に声をかけたのだが、家の事情と言われ、逃げられてしまった訳だ。

そんな普段とあまり変わらない日の帰り道。

もう、外は暗くなっていて、結構怖い帰り道。

俺は変な人物に出会った。

言葉に表わすとするならば、『不審者』ともいうべきなその人物は手に包丁を持ち、うろついていた。

身体のシルエットを見るに、女性という事で間違い無いだろう。

身長は170センチぐらいで、華奢な身体をしている。顔はフードを被っていて、分からなかった。靴はハイヒールを履いているようなので、身長は170センチというよりも、160前半の方が正しいだろう。


そんな不審な人物を見て、恐怖に怯えつつも裏道に入り、陰を潜めた。

俺は奴を見たときに、変な感情を感じた。

危ない奴だ。という感情が。

俺は恐怖を感じつつも奴を尾けた。

好奇心というものだ。

奴は、俺の存在に気づいていない様で、うろうろと歩き続ける。

そして、奴はある場所で立ち止まった。

その場所は恵梨香の家の目の前だった。

そいつは10分間ぐらい、恵梨香の家の近くを行ったり来たりを繰り返した。

本当に怖かったが、恵梨香が変な奴に付きまとわられていると思い、俺は逃げなかった。

奴の顔だけでもいいから、見ておきたいと思ったからだ。

しかし、奴はそのままスマートフォンのカメラで家を撮影した後、そのまま闇夜に消えていった。

 家に帰ると母親が上機嫌そうにビールを飲んでいた。
母親は病院勤めなので日頃家には全くいない。
だから嬉しかった。俺は、あの包丁を持った不審人物について母親に言っておいた方がいいかと思ったが、心配はさせたくなかったので言うのはやめておいた。というか、母親は酔ってしまって全く俺の言っていることが分かってないみたいだった。
俺は飯を食べ、風呂に入り、今日出された宿題を解く。
すると、LINEの通知音がなった。

やれやれ……恵梨香だな。

俺は宿題を一時解くのをやめ、LINEを確認する。

『助けて』

岬からのLINEだった。

岬は、あの日から学校に来ていない。

そんな彼女からの連絡は嬉しかった。

しかし、文面を見る限り何か危ない状態にでもあっているのだろうか? 
それとも俺をおちょくっているのだろうか?

「何があったんだ?」

すぐに既読がついた。

「私の家に来てほしい」

why? あまりの驚きに英語になってしまった。

「どういうことだ?」
また、すぐに既読がつき返事が返ってくる。

「寂しい」

やれやれ……

「今から来てやるから、その代わり明日学校に来いよ」

「ヤダ。行きたくない」

「なぜ?」

「あの時に言った通り」

あぁ……そうか。

俺と岬は空白の1週間の間に出会っていた。

「それなら、今からは無理だ」

「わかった。なら、もういい」

俺は既読だけを付けて、宿題に戻った。

プルプル……携帯の音が鳴った。

やれやれ……次は誰だ。

「ねぇ、もしもし? 夕君?」
恵梨香からだった。恵梨香とは元の関係に着実に戻ってきている。
依然として岬の偽アカを作った人は分かっていない。

「あぁ、そうだよ。っていうか、俺の携帯に電話かけんてんだから、俺じゃ無かったら、逆にどうするよ」

「うぅーーん……困ります! ってか、先週の日曜日のデートドタキャンした件についてまだ、きちんと謝ってもらって無いんだけど」

あぁ……あの時のことか。

あの日、俺は……

「あぁ、すまん。というか、デートっていうの止めろ!」

「なんか軽い! デートじゃいいじゃん!」

「ごめんなさい。もう二度としません、これで満足か?」
デートの件は流しておいた。
「よろしい!」

「おう、ありがたい。で、他に何か用件があるんじゃないのか?」

少しの間があったあと、恵梨香が言った。

「私、葵君と別れたの。だから……その……」

「えっ? 本当か? それはよかったな。ってか、別れるの早くね?」
素直に嬉しいと言いたかったが流石に言えない。だから皮肉に誤魔化した。
「いや……あの時の私は夕君を岬ちゃんに取られたと思って、どうかしてたみたい」

「そうか。確かにあの時は俺も悪かった。でもな、男をすぐに振る女の子は、『ビッチ』って言われるぞ」

「び、ビッチ? 私はビッチじゃないもん! ただ、ただ……」
恵梨香の言葉が出てこない。
「ただ、どうしたんだよ?」

「夕君が私の事を本気で好きなのか確かめたかっただけだもん!」

「それで葵の気持ちを知っていて、弄んだ……ビッチ確定だな!」

「もうぉぉ〜〜 いいよ! 私、ビッチでいい! だけど……私、夕君の事を好きっていう感情は完全不滅だから!」

「完全不滅? なんだそれ……永久不滅ってことか?」

「あ、……それだ!」

「ったく……本当に昔から、何か抜けてるよな」

「うぅー夕君から言われるのは何か嫌だ」

「しょうがねぇーだろ? だって、恵梨香っていつも抜けてんじゃん。小学生の頃……」

「あ、ごめん。お母さんがお風呂に入れって、言ってる。電話切るね! じゃあ!」

ぶちっっと電話を切られた。
おいおい……あまりにもわざと過ぎんだろ。

でも、まぁそういう所が可愛い所でもあるんだが。

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