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チャット始めたら、危ない女が現れた。

片山樹

12 委員長さん

 葵に宣戦布告をした翌日の放課後。
運命というのは不思議なもので文化祭実行委員の集まりが開かれることになった。
俺は心の中で恵梨香と仲良くできるチャンスだ! と思い浮かれていた。
しかし、恵梨香のクラスの実行委員は葵がいるわけで……気まずい。
それにしても困った事になった。
岬が相変わらず休んでいる影響により、このクラスの誰かを代理として建てないといけないのだが、健一は部活があるし、佐藤君はアニ研の部長なので無理だそうだ。
まぁ、仕方ない。一人で文化祭実行委員の集まりに行くとでもしよう。

「ちょっと、待って!」
俺は声を掛けられた。
最近ではあまり声を掛けられなかった(元々、友達は少ないので喋りかけられることは少なかったけど)俺は声を掛けてきた人物を見る為に後ろを振りむいた。

そこには、背が高くて、セミロングの女の子がいた。

160後半はある身長に、細くて白い手、豊満な胸(岬よりもデカイ。大きさとしては、Eぐらいだと思われる)

髪は黒いというよりも茶色がかっていて、ストレートで、肩にかかるぐらいの長さ。色白で、目鼻立ちがはっきりしている。瞳は濃い茶色。
幼いというよりも、綺麗な顔立ちをしている彼女は大人っぽく見える。

「委員長さん、俺になんかようか?」
俺はぶっきらぼうに言った。
久し振りに喋りかけられ、対応に困ってしまったからだ。
それと……集まりに行きたくないという気持ちから。
「委員長さんかぁ……名前で読んでほしいな。できれば」
俺は彼女の名前を知っている。

彼女の名前は田神タガミ真弓マユミ
岬と並ぶぐらいの美貌を持っていて、彼氏持ちらしい。
おまけに俺等のクラスである1年A組の学級委員をやっている。
俗に言う俺の敵であるリア充って奴だ。

「なら、真弓さんでいいか? 俺は今から—―」
俺が「文化祭の実行委員の集まりに行かなければならないから、忙しいんだ」と言葉を続けようとすると、真弓はそれを待っていましたと言わんばかりに早出しした。

「私が代理を受け持つから」

「……? なんの?」
俺は彼女の言葉が理解できなかった。

「だから、その……あのぉ、集まり?」

「集まり? もしかして、文化祭のか?」
彼女は俺の言葉に頷いた。
俺は真弓に頼もうか迷った挙句、頼むことにした。

「あぁ、頼むよ。一人で行ったら、怒られるかもしれないからな」

「そうですか。お役に立てて良かったです!」

どうにか代理は見つかった。助かったぜ。
だけど、今からが本番だ。
俺は恵梨香と真剣に見つめ合わなければならない。
この状況を打破する為に。必ず……

 俺と真弓は文化祭実行委員の集まりの為に、総合学習室に向かう。
喋らないのは気まずいので俺は疑問に思っていたことを尋ねた。

「なぁ、なぜ俺を助けてくれたんだ?」
俺を助けたというのは言葉に語弊があるかもしれないが、今の俺はカースト底辺野郎なのだ。
そんな奴と一緒に集まりに行ってくれる。
それは本当に女神みたいなもんだ。
おまけにかなり可愛いし……

すると彼女は俺の表情を笑って窺いながら、
「助けたいんです。困っている人を見かけたら」
困っている人を助けたい。
そんなことを言う高校生がいるのかよ。
かなり、尊敬する。
だけどそんな彼女の言葉を聞いて思った。
『気持ち悪い』と。
別にこれには田神真弓本人がキモイという訳では無い。
ただの俺の独断と偏見だ。
困っている人を見かけたら助けたい?
ふざけるな! それなら、岬をなぜ手伝わなかった?
俺はそう思ったからだ。
それともう一つ。
俺自身に似ていたから。
善人振っているだけのただの化け物を。
皆から良いように見られたいだけの偽善者だと言うことがだ。
俺は田神真弓に『同族嫌悪』した。

「あぁーそうか。変わってんな」
こんな言葉を言いたいわけではない。
ただ、似てるから。今の今までの自分に似ている。
ただそれだけで俺は彼女に変な態度を取ってしまった。
反省をしているが、謝りはしない。
それが俺流だ。例外はあるけど……

「確かにそうかもしれませんね」
「大体、俺にはかなり変な噂が流されているというのになぜ、助けてくれるんだよ?」
俺には彼女が居るのに浮気をしてしまったという噂が。

「私、自分の目で見たものしか信じないタイプなんですよ。だから、他人の評価なんてものは関係ない。自分で見て、ちゃんと判断したいんです」

「なるほどな。さすが、委員長だぜ。しっかりしている」

「それと……」

「それと?」

彼女が続けるようにこう言った。

「クラスメイトを信じたいし、助けたかった……ということですかね」
真弓と俺は違う。
さっきの同族嫌悪は撤回する。
化け物は俺だけだ。真弓は聖人だ。


 俺と真弓が、総合学習室に着くと結構人が来ていた。もちろん、葵と恵梨香も来ている。
今、二人は楽しそうに周りの目など気にせずいちゃいちゃしてやがる。
あの、葵の野郎……怒りが。
俺はその二人を無視して、あいつらから離れる位置に座ろうと思ったとき、
「夕君……あの岬ちゃんは?」と恵梨香に尋ねられる。

恵梨香は別に悪気があるように見えないが、『岬』という単語はただの悪意のある言葉にしかならなかった。

俺が恵梨香に何か言おうとした時、真弓が俺の手首を掴んできた。

「な、なんだよ!」

「渚君、ここは一旦落ち着いて」俺に聞こえる程度の小さな声で真弓が言った。

「あぁ……」

俺と真弓はそのまま、葵と恵梨香の真向かいの椅子に座る。

「ったく……なんで、さっき止めた?」

「それは渚君が一番分かるんじゃない? ここで渚君が恵梨香ちゃんに何か言ったところで何も変わらないじゃない」
彼女は冷たい口調でそう言った。

「で、でも……それでも何も言わなかったら」

「『逃げたことになる』とでも言いたいのかしら?」

真弓から俺の言おうとした事を先に言われ、少し驚く。

「あぁ、そうだ。逆にお前は嫌じゃないのか?」

「嫌よ。私もクラスメイトがそんな事に巻き込まれるのは……だけど、今の私達には何もできないじゃない……」

「そうだよな……」

文化祭実行委員長が文化祭についての話し合いが始まった。

***
 結果から言うと今日の話し合いはとてもじゃないが、話し合いというものではなかった。
個々の集団同士で楽しく色んな話をしていたからだ。
それもそのはず。なぜなら今日は生徒会長が居なかったから。
生徒会長が以前の集まりでは全員をまとめていた。
だけど、今日の生徒会長の代理として来ている人はあまり頼りにならなそうな男だった。
顔は高校生にしては幼く中学生の様に見える。身長は165ぐらいだ。
俺が助けに行くか行かないか迷っている内に話し合いは終わってしまった。

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