ヒーローライクヒール
その3・ビッグエネミー
全力で走り、何とか門の前でガイア達と合流した。
ガイアの他にも、軍の兵士達が何人も立ち往生していた。
どうやら門が開くのに時間がかかっているようだ。
クロノ「ガイアさん‼︎」
ガイア「クロノ?それにレオ!来たのか!」
レオ「僕達も戦う!」
エリー「えぇ⁉︎でも…」
ガイア「いや、直接戦うのは俺たちがやる。お前達は後ろからの援護や、負傷した兵の救護をしてくれ。」
レオ「でも…」
クロノ「分かりました。」
レオ「えぇ‼︎」
レオは前に出て戦いたい様子だ。
クロノ「無茶頼んでるんだ。ガイアさん達に変に心配させるわけにもいかんだろ?」
レオ「むー…隙見て戦うもん。」
(そんなに戦いたいのか?)
エリー「門が開きますよ。」
少し会話できるほど時間がかかっていた。
クロノ「なんで門開くのに時間かかるんです?」
ガイア「外から魔獣が攻めてこられないように1度完全に鍵をかけてた、という感じだ。さぁ行くぞ‼︎」
門が開くと同時に全員が一斉に出て行く。
●
街を出た瞬間、一目でこれと分かるほどの大きなゴブリンが森の中で立っていた。
ビルほどもある木より断然背が高い。
クロノ「こんなのありかよ…」
エリー「あっ、あれ‼︎」
エリーが指さした方角には、フレアが倒れていた。
クロノ「フレア‼︎」
地面を這いずり回って何とか逃れようとしているが、その後ろからゴブリン達が迫ってきている。
クロノ「ちくしょう‼︎」
魔力を足に集中させ、走る。
魔力で強化された足が地面を蹴ることで、通常の数倍の速度を出すことができる。
ガイア達を完全に置き去り、フレアの所までたどり着く。
クロノ「大丈夫かよ‼︎おい‼︎」
フレア「クロノ…大丈夫だ……ちょっとゴツいのもらっただけ…」
クロノ「あのデカイのに⁉︎他に怪我は⁉︎」
レオ「デカイのだけ…他の雑魚からはなんも…」
周りを見る。
まだ追っ手のゴブリン達からは距離がある。
しかし、そのゴブリン達の様子がどうもおかしい。
足を引きずって、まるでゾンビのような歩き方になっている。
(普通の状態ならフレアはとっくに追いつかれてたよな…ある意味助かったっちゃあ助かってるが…)
ガイア「クロノ‼︎危ない‼︎」
クロノ「へ?」
ガイアに呼ばれ、巨大ゴブリンの方を見る。
木を1本引っこ抜いて、今にもこちらに投げようという姿勢になっている。
クロノ「いいいいいい⁉︎」
フレア「クロノ、逃げろ‼︎」
(マジか‼︎逃げなきゃ‼︎いや待て、逃げても被害が出るぞ‼︎)
ここで逃げれば間違いなくフレアが潰されてしまう。
フレアを抱えて逃げたとしても、逃げている自分に向かって投げてくるだろう。
勢い次第では、ガイア達や街の方まで飛んでいくかもしれない。
(ワンチャンに賭けるか?やってみるか‼︎)
剣を取り出し、魔力を流す。
フレア「何するつもりだ⁉︎」
クロノ「多分行ける‼︎」
巨大ゴブリンが木を投げる。
クロノ「しゃあああああああらぁ‼︎」
投げられた木に、剣を叩きつける。
勢いを吸収し、魔力に変換、自分の体に流す。
魔力が体に流れている部分を突き刺すように攻撃するが、木の動きを完全に止めることができた。
(大丈夫‼︎耐えられる‼︎)
クロノ「おおおおおっしゃあああ‼︎」
流した魔力を更に変換し、その魔力で木を押し返す。
(やったか⁉︎)
数メートルだけ飛んだ木が、地面に落下する。
(ははっ、意外といけたな。大体セーフだろ。)
しかし、体に残るダメージが非常に大きい。
クロノ「これ…やらなかったら確実に死んでたし、やっても大ダメージってなかなかシビアだな…」
フレア「クロノ、お前…」
クロノ「ほらさっさと逃げるぞ…っと…」
いつの間にか、小さい方のゴブリンの群れが近くまで迫っていた。
クロノ「さすがに処理してから行くか。」
武器の形態を銃に変え、魔力を込める。
(まとめて倒すには…広範囲系の魔法とか…どんな攻撃がいいだろう…)
クロノ「ま、何でもいいからやってみるか。どうせならカッコよく…」
銃をゴブリン達の上空に向けて撃つ。
光の弾が空中に飛び、ちょうどゴブリンの真上に来たあたりで静止する。
クロノ「よし!これでどうだ!」
静止した光の弾から、矢のように鋭く尖った光の雨が何本も地上に降り注ぐ。
ゴブリン達を串刺しにし、半分以上のゴブリンを地に伏せさせた。
フレア「すげぇ…うわぁ…」
(何でもアイデア次第ってか。)
クロノ「こんだけなら安心できるかな。よし、行こう。」
フレアを抱え、ガイア達と合流する。
●
エリー「フレアさん!」
エリーとレオが走ってくる。
レオ「大丈夫⁉︎」
レオにフレアを一旦預ける。
フレア「大丈夫…死ぬような傷じゃないよ…」
ガイア「かなり危険だったが、良い判断だったな。新入りという割には、なかなか強いじゃないか?」
クロノ「いや、かなりギリギリですね…」
かなりの魔力を使ってしまった。
使い過ぎると気を失ってしまうのだが、どのくらいまで魔力を使うと気絶するのか分からないし、その予兆も分からない。
クロノ「あんまり前に出れないかもしれません…」
ガイア「無茶をしたからかもしれんな。まぁいい。ここからは俺たちに任せろ。リューン‼︎」
兵士「はっ!」
兵士の1人がやってくる。
他の兵士と鎧の装飾が違うので、部隊の隊長か副隊長かと想像できる。
(確か遊撃隊の隊長ってガイアさんだから、この人副隊長かな?)
ガイア「俺とエリーとで巨大ゴブリンの相手をする。その間はお前が遊撃隊を率いて他のゴブリン共を引きつけておいてくれ。」
副隊長「了解しました!」
敬礼し、列を整えた部隊の前に行く。
ガイア「よし、行くぞ!」
エリー「はい!」
ガイアとエリーは巨大ゴブリンの方へと走っていく。
クロノ「統率取れてるなぁ…」
レオ「隊長だからだよ。」
クロノ「さすがだ。しかし…」
小さなゴブリン達の方を見る。
いつの間にか数が増えている。
クロノ「まだ森の中に潜んでたかー。あっちはこっちと違って統率どころか、フラッフラしてんな。」
さすが魔獣かと言おうとしたが、レオの言葉に遮られる。
レオ「ホントだ。変なの。」
クロノ「変?普通じゃないの?」
レオ「うん。ゴブリンがあんな風に歩いてるの見たことないし、ゴブリンは仲間同士の統率は比較的取れてる魔獣だってお父さんが言ってた。」
魔獣には知能が無いから変な動きになるのも普通だ、と思っていたが、その動きが変だという。
クロノ「そらまた…変だな…」
さっき感じた違和感を思い出す。
(そういや、いつぞや戦ったゴブリンはもう少しマトモな動きだったな。ゾンビみたいな動きだなぁって思ってたけど…いやまさか…)
レオ「どうしたの?」
クロノ「なぁフレア。」
フレア「なんだ?」
クロノ「あのゴブリンさ、噛み付いてくるような攻撃とか…してきた?」
フレア「あぁ、してきたぜ。何度もなぁ。まぁ小っせぇのからは一撃も食らってねぇが。」
クロノ「レオ、ゴブリンって噛み付いてくる?」
レオ「多分しないと思う。ゴブリンが人間を食べるなんて話、お父さんからも聞いたことない。」
(ということは、あのゴブリン共は何か異常な状態であるということだ。)
フレア「おい…なんかあんのか?」
さすがにフレアも違和感を感じ始めたようだ。
クロノ「ねぇ、ゾンビって知ってる?」
フレア「いや?聞いたこともない。」
レオ「僕も。」
クロノ「超絶嫌な予感がしてきた。これマジでヤバい!」
フレア「ヤバいって?」
クロノ「レオ、なんか良い魔法ない⁉︎」
レオ「良い魔法?どんな?」
クロノ「こう…広範囲を高威力で且つ、相手を吹き飛ばさないような…」
レオ「うーん…あ!1個だけあるよ!」
クロノ「あるんだな‼︎よし…」
ガイアの他にも、軍の兵士達が何人も立ち往生していた。
どうやら門が開くのに時間がかかっているようだ。
クロノ「ガイアさん‼︎」
ガイア「クロノ?それにレオ!来たのか!」
レオ「僕達も戦う!」
エリー「えぇ⁉︎でも…」
ガイア「いや、直接戦うのは俺たちがやる。お前達は後ろからの援護や、負傷した兵の救護をしてくれ。」
レオ「でも…」
クロノ「分かりました。」
レオ「えぇ‼︎」
レオは前に出て戦いたい様子だ。
クロノ「無茶頼んでるんだ。ガイアさん達に変に心配させるわけにもいかんだろ?」
レオ「むー…隙見て戦うもん。」
(そんなに戦いたいのか?)
エリー「門が開きますよ。」
少し会話できるほど時間がかかっていた。
クロノ「なんで門開くのに時間かかるんです?」
ガイア「外から魔獣が攻めてこられないように1度完全に鍵をかけてた、という感じだ。さぁ行くぞ‼︎」
門が開くと同時に全員が一斉に出て行く。
●
街を出た瞬間、一目でこれと分かるほどの大きなゴブリンが森の中で立っていた。
ビルほどもある木より断然背が高い。
クロノ「こんなのありかよ…」
エリー「あっ、あれ‼︎」
エリーが指さした方角には、フレアが倒れていた。
クロノ「フレア‼︎」
地面を這いずり回って何とか逃れようとしているが、その後ろからゴブリン達が迫ってきている。
クロノ「ちくしょう‼︎」
魔力を足に集中させ、走る。
魔力で強化された足が地面を蹴ることで、通常の数倍の速度を出すことができる。
ガイア達を完全に置き去り、フレアの所までたどり着く。
クロノ「大丈夫かよ‼︎おい‼︎」
フレア「クロノ…大丈夫だ……ちょっとゴツいのもらっただけ…」
クロノ「あのデカイのに⁉︎他に怪我は⁉︎」
レオ「デカイのだけ…他の雑魚からはなんも…」
周りを見る。
まだ追っ手のゴブリン達からは距離がある。
しかし、そのゴブリン達の様子がどうもおかしい。
足を引きずって、まるでゾンビのような歩き方になっている。
(普通の状態ならフレアはとっくに追いつかれてたよな…ある意味助かったっちゃあ助かってるが…)
ガイア「クロノ‼︎危ない‼︎」
クロノ「へ?」
ガイアに呼ばれ、巨大ゴブリンの方を見る。
木を1本引っこ抜いて、今にもこちらに投げようという姿勢になっている。
クロノ「いいいいいい⁉︎」
フレア「クロノ、逃げろ‼︎」
(マジか‼︎逃げなきゃ‼︎いや待て、逃げても被害が出るぞ‼︎)
ここで逃げれば間違いなくフレアが潰されてしまう。
フレアを抱えて逃げたとしても、逃げている自分に向かって投げてくるだろう。
勢い次第では、ガイア達や街の方まで飛んでいくかもしれない。
(ワンチャンに賭けるか?やってみるか‼︎)
剣を取り出し、魔力を流す。
フレア「何するつもりだ⁉︎」
クロノ「多分行ける‼︎」
巨大ゴブリンが木を投げる。
クロノ「しゃあああああああらぁ‼︎」
投げられた木に、剣を叩きつける。
勢いを吸収し、魔力に変換、自分の体に流す。
魔力が体に流れている部分を突き刺すように攻撃するが、木の動きを完全に止めることができた。
(大丈夫‼︎耐えられる‼︎)
クロノ「おおおおおっしゃあああ‼︎」
流した魔力を更に変換し、その魔力で木を押し返す。
(やったか⁉︎)
数メートルだけ飛んだ木が、地面に落下する。
(ははっ、意外といけたな。大体セーフだろ。)
しかし、体に残るダメージが非常に大きい。
クロノ「これ…やらなかったら確実に死んでたし、やっても大ダメージってなかなかシビアだな…」
フレア「クロノ、お前…」
クロノ「ほらさっさと逃げるぞ…っと…」
いつの間にか、小さい方のゴブリンの群れが近くまで迫っていた。
クロノ「さすがに処理してから行くか。」
武器の形態を銃に変え、魔力を込める。
(まとめて倒すには…広範囲系の魔法とか…どんな攻撃がいいだろう…)
クロノ「ま、何でもいいからやってみるか。どうせならカッコよく…」
銃をゴブリン達の上空に向けて撃つ。
光の弾が空中に飛び、ちょうどゴブリンの真上に来たあたりで静止する。
クロノ「よし!これでどうだ!」
静止した光の弾から、矢のように鋭く尖った光の雨が何本も地上に降り注ぐ。
ゴブリン達を串刺しにし、半分以上のゴブリンを地に伏せさせた。
フレア「すげぇ…うわぁ…」
(何でもアイデア次第ってか。)
クロノ「こんだけなら安心できるかな。よし、行こう。」
フレアを抱え、ガイア達と合流する。
●
エリー「フレアさん!」
エリーとレオが走ってくる。
レオ「大丈夫⁉︎」
レオにフレアを一旦預ける。
フレア「大丈夫…死ぬような傷じゃないよ…」
ガイア「かなり危険だったが、良い判断だったな。新入りという割には、なかなか強いじゃないか?」
クロノ「いや、かなりギリギリですね…」
かなりの魔力を使ってしまった。
使い過ぎると気を失ってしまうのだが、どのくらいまで魔力を使うと気絶するのか分からないし、その予兆も分からない。
クロノ「あんまり前に出れないかもしれません…」
ガイア「無茶をしたからかもしれんな。まぁいい。ここからは俺たちに任せろ。リューン‼︎」
兵士「はっ!」
兵士の1人がやってくる。
他の兵士と鎧の装飾が違うので、部隊の隊長か副隊長かと想像できる。
(確か遊撃隊の隊長ってガイアさんだから、この人副隊長かな?)
ガイア「俺とエリーとで巨大ゴブリンの相手をする。その間はお前が遊撃隊を率いて他のゴブリン共を引きつけておいてくれ。」
副隊長「了解しました!」
敬礼し、列を整えた部隊の前に行く。
ガイア「よし、行くぞ!」
エリー「はい!」
ガイアとエリーは巨大ゴブリンの方へと走っていく。
クロノ「統率取れてるなぁ…」
レオ「隊長だからだよ。」
クロノ「さすがだ。しかし…」
小さなゴブリン達の方を見る。
いつの間にか数が増えている。
クロノ「まだ森の中に潜んでたかー。あっちはこっちと違って統率どころか、フラッフラしてんな。」
さすが魔獣かと言おうとしたが、レオの言葉に遮られる。
レオ「ホントだ。変なの。」
クロノ「変?普通じゃないの?」
レオ「うん。ゴブリンがあんな風に歩いてるの見たことないし、ゴブリンは仲間同士の統率は比較的取れてる魔獣だってお父さんが言ってた。」
魔獣には知能が無いから変な動きになるのも普通だ、と思っていたが、その動きが変だという。
クロノ「そらまた…変だな…」
さっき感じた違和感を思い出す。
(そういや、いつぞや戦ったゴブリンはもう少しマトモな動きだったな。ゾンビみたいな動きだなぁって思ってたけど…いやまさか…)
レオ「どうしたの?」
クロノ「なぁフレア。」
フレア「なんだ?」
クロノ「あのゴブリンさ、噛み付いてくるような攻撃とか…してきた?」
フレア「あぁ、してきたぜ。何度もなぁ。まぁ小っせぇのからは一撃も食らってねぇが。」
クロノ「レオ、ゴブリンって噛み付いてくる?」
レオ「多分しないと思う。ゴブリンが人間を食べるなんて話、お父さんからも聞いたことない。」
(ということは、あのゴブリン共は何か異常な状態であるということだ。)
フレア「おい…なんかあんのか?」
さすがにフレアも違和感を感じ始めたようだ。
クロノ「ねぇ、ゾンビって知ってる?」
フレア「いや?聞いたこともない。」
レオ「僕も。」
クロノ「超絶嫌な予感がしてきた。これマジでヤバい!」
フレア「ヤバいって?」
クロノ「レオ、なんか良い魔法ない⁉︎」
レオ「良い魔法?どんな?」
クロノ「こう…広範囲を高威力で且つ、相手を吹き飛ばさないような…」
レオ「うーん…あ!1個だけあるよ!」
クロノ「あるんだな‼︎よし…」
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