ヒーローライクヒール
その1・別れは突然に
1月1日。
正月。
テレビで流れているニュースは、2年前の行方不明事件の遺族がどうの都会の初詣がどうのと色々やっている。
しかし、ここにいるある男にとってはそれどころではない。
玄野「インフルか…うん、インフルだよな。」
せっかく1年のスタートとなる正月という日にインフルエンザにかかってしまった。
正確には高熱、関節痛など、インフルの症状が一気に悪化した。
(本当運が良いよなぁ…今なら大凶引ける…)
家でウダウダしているわけにもいかないので、病院に行くことにした。
上月玄野。
今病院に向かっているこの大学生が主人公である。
家賃の安いアパートに住んでいる。
しかし、隣から苦情が入ったことはないし、玄野自身も隣から音が漏れているとは感じず、そこそこ良いアパートだったのではと思っている。
(さすがに頭ボーッとしたまま自転車はマズいかなぁ…でも歩きだと時間…数分も違わないし、いいか。)
歩きで行くことにした。
●
マスクを付け、扉の鍵を閉め、いざ行かんとすると、
香坂「玄野さん、おはようございます。」
横から不意に声をかけられる。
玄野「あ、香坂さん…おはようございます…」
香坂「風邪ですか?」
玄野「まぁ…インフルですね。」
香坂凛子。
隣の部屋に住んでいる1つ年上の女性。
普通に美人だが、オタク趣味が原因で彼氏はいない。
馬の合う人でないと付き合う気はないのかもしれない。
彼女の携帯のストラップにも、玄野が知っているアニメのキャラがぶら下がっているが、それに関する話を持ちかけたことはない。
どちらもコミュ障気質の人間なので挨拶くらい会話は無いが、仲が悪いわけではない。
香坂「あぁ〜時期ですからね〜。」
玄野「ね〜。というわけで、病院行ってきます…」
香坂「お大事に〜。」
別れて、アパートを後にする。
●
(辛い…)
アパートを出て数分。
なるべく人と車の通る所を避けるため、人通りの少ない道を通る。
病院まで遠くはないが、病人が歩くにはかなり辛い。
(これ家で寝とくべきだよなぁ…でも病院行って薬なりなんなり…ちょっと待て。)
ふと、思い出す。
玄野「財布忘れてんじゃん…」
ついでに携帯電話なども忘れている。
持っているのはアパートの鍵だけだ。
玄野「さすがインフル…ここまでボーッとさせられるとは…」
来た道を引き返す。
すると、
ブォォォォォォォォン…
玄野「ん?」
足元が紫色に光る。
玄野「は?」
地面に魔法陣のようなものが浮かび上がり、玄野はその上に立つ形となっている。
(なんだこれ…まさか、幻覚まで見えるようになっちゃったんじゃ…)
周りを見る。
自分が何もない道の上で急に立ち止まる変な人と思われたくないと思っていたが、周りに人はいなかった。
(うーん…ってか、これ絶対ロクなことにならないやつだよな…)
魔法陣から出ようと足を動かそうとすると、突然足元の地面が消えた。
玄野「うぉい⁉︎」
真っ暗な空間の中に体が吸い込まれる。
玄野「なんでやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
自分が落ちてきた外の世界の光がだんだん閉じていくのを見ながら、真下に落っこちていく。
正月。
テレビで流れているニュースは、2年前の行方不明事件の遺族がどうの都会の初詣がどうのと色々やっている。
しかし、ここにいるある男にとってはそれどころではない。
玄野「インフルか…うん、インフルだよな。」
せっかく1年のスタートとなる正月という日にインフルエンザにかかってしまった。
正確には高熱、関節痛など、インフルの症状が一気に悪化した。
(本当運が良いよなぁ…今なら大凶引ける…)
家でウダウダしているわけにもいかないので、病院に行くことにした。
上月玄野。
今病院に向かっているこの大学生が主人公である。
家賃の安いアパートに住んでいる。
しかし、隣から苦情が入ったことはないし、玄野自身も隣から音が漏れているとは感じず、そこそこ良いアパートだったのではと思っている。
(さすがに頭ボーッとしたまま自転車はマズいかなぁ…でも歩きだと時間…数分も違わないし、いいか。)
歩きで行くことにした。
●
マスクを付け、扉の鍵を閉め、いざ行かんとすると、
香坂「玄野さん、おはようございます。」
横から不意に声をかけられる。
玄野「あ、香坂さん…おはようございます…」
香坂「風邪ですか?」
玄野「まぁ…インフルですね。」
香坂凛子。
隣の部屋に住んでいる1つ年上の女性。
普通に美人だが、オタク趣味が原因で彼氏はいない。
馬の合う人でないと付き合う気はないのかもしれない。
彼女の携帯のストラップにも、玄野が知っているアニメのキャラがぶら下がっているが、それに関する話を持ちかけたことはない。
どちらもコミュ障気質の人間なので挨拶くらい会話は無いが、仲が悪いわけではない。
香坂「あぁ〜時期ですからね〜。」
玄野「ね〜。というわけで、病院行ってきます…」
香坂「お大事に〜。」
別れて、アパートを後にする。
●
(辛い…)
アパートを出て数分。
なるべく人と車の通る所を避けるため、人通りの少ない道を通る。
病院まで遠くはないが、病人が歩くにはかなり辛い。
(これ家で寝とくべきだよなぁ…でも病院行って薬なりなんなり…ちょっと待て。)
ふと、思い出す。
玄野「財布忘れてんじゃん…」
ついでに携帯電話なども忘れている。
持っているのはアパートの鍵だけだ。
玄野「さすがインフル…ここまでボーッとさせられるとは…」
来た道を引き返す。
すると、
ブォォォォォォォォン…
玄野「ん?」
足元が紫色に光る。
玄野「は?」
地面に魔法陣のようなものが浮かび上がり、玄野はその上に立つ形となっている。
(なんだこれ…まさか、幻覚まで見えるようになっちゃったんじゃ…)
周りを見る。
自分が何もない道の上で急に立ち止まる変な人と思われたくないと思っていたが、周りに人はいなかった。
(うーん…ってか、これ絶対ロクなことにならないやつだよな…)
魔法陣から出ようと足を動かそうとすると、突然足元の地面が消えた。
玄野「うぉい⁉︎」
真っ暗な空間の中に体が吸い込まれる。
玄野「なんでやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
自分が落ちてきた外の世界の光がだんだん閉じていくのを見ながら、真下に落っこちていく。
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