世の中凡人を探す方が難しい
爽の召し使い
 今、俺は爽に連れられ住宅街を歩いている。
 爽を横目に住宅街を見渡す。
 閑静とはこの事か。
 物音がほとんど聞こえず、人通りも少ない。
 きっと夜や朝は賑やかなのだろうけど。
 「ごめんね三嶋さん。心配させて」
 爽が見ている先にはタキシードらしき物を着用した若そうな男性が立っていた。
 こちらに気付き近づいてくる。
 「篠藁さま、私はこういうものです」
 そう言うと名刺を渡してくる。
ええと、執事兼家庭教師兼下僕兼召し使い兼ガードマン兼ロリコン協会会長。三嶋 健と記してある。
 『けん』ばっかじゃねーか!
 「どうかお見知りおきを」
 三嶋さんは俺に対し深々とお辞儀をして、爽に向き直る。
 「爽様、大変です」
 「何があったの?」
 爽って富豪だったんだな。
 焦った顔をする三嶋さんの口から驚きの事が発せられる。
 「お迎え用のお車が故障致しました」
 「新しいのを用意して!」
 どんだけ裕福な生活してるんだよ。
 ある意味、驚きだよ。
 「魔法少女ユリユリ等身大フィギュアの手配に人員を使いすぎまして・・・・・・不足しているのです」
 魔法少女ユリユリ? なんだそれ?
 「バカ野郎!」
 爽が三嶋さんの頬をひっぱたくと勢いままによろついてしまう。
 「し、しかし魔法少女ユリユリはロリコン協会の宝、いや地球みたいなものなのです。それより先に車なんぞを用意できますか!」
 大変だねーロリコン協会も。
 「お前に接待の資格はない」
 冷酷に爽が言いはなつと俯く三嶋さん。
 そして、勢いよく顔をあげた。
 「わかりました。お二人はガードマンであるこの僕が運びいたしましょう」
 そう言うと両手両膝を地面に付き、幼稚園児なとがするおうまさんごっこの馬の体勢になる。
 「篠藁くん逃げよう」
 「何で?」
 「そっちの方が楽だから」
 「じゃあ、そうするか」
 俺達は駆け出してこの場から離れる。
 そして、角を曲がったとき。
 爽が転倒したため俺は停止し爽を起き上がらせる。
 しかし立ってすぐに痛い、とふくらはぎを押さえて言う。
 「どうしたんだ?」
 「ギリギリする。筋肉が引っ張られる感覚」
 「つったのか、厄介だな」
 爽の後ろから三嶋さんが、不気味な笑みを浮かべながらこっちに来ていた。
 「爽、なんで俺達は三嶋さんから逃げてるんだ?」
 「えっ?」
 「理由だよ」
 「僕は・・・・・・もっと篠藁くんと遊びたいから僕を連れてって」
 「わかったここで座ってろ」
 俺は近づいてきている三嶋さんに向かって駆け寄る。
 「どうしましたか篠藁さん?」
 三嶋さんは俺の前で止まる。
 「三嶋さん。爽はまだ遊びたいと言っていますし、たまには三嶋さんも時間が欲しいでしょう」
 「それで?」
 「今日は爽に自由をあげてください」
 「それだけはなりません。そうするとあなた方の関係が崩れるだけですよ」
 どういうことだ?
 関係が崩れる?
 「退いてください」
 俺を腕の力だけで払いのける。
 なんて力だ。
 まともに戦っても勝ち目はないだろうな。
 三嶋さんは座り込んでいる爽の腕をつかみ、立ち上がらせるとかがんで爽を背負う。
 「それではまた篠藁さん」
 「ごめんね、迷惑かけちゃって・・・・・・」
 その先も爽は何か言っていたが、聞こえなかった。
 学校には来るよな。
 そう思うことしかできなかった。
 爽を横目に住宅街を見渡す。
 閑静とはこの事か。
 物音がほとんど聞こえず、人通りも少ない。
 きっと夜や朝は賑やかなのだろうけど。
 「ごめんね三嶋さん。心配させて」
 爽が見ている先にはタキシードらしき物を着用した若そうな男性が立っていた。
 こちらに気付き近づいてくる。
 「篠藁さま、私はこういうものです」
 そう言うと名刺を渡してくる。
ええと、執事兼家庭教師兼下僕兼召し使い兼ガードマン兼ロリコン協会会長。三嶋 健と記してある。
 『けん』ばっかじゃねーか!
 「どうかお見知りおきを」
 三嶋さんは俺に対し深々とお辞儀をして、爽に向き直る。
 「爽様、大変です」
 「何があったの?」
 爽って富豪だったんだな。
 焦った顔をする三嶋さんの口から驚きの事が発せられる。
 「お迎え用のお車が故障致しました」
 「新しいのを用意して!」
 どんだけ裕福な生活してるんだよ。
 ある意味、驚きだよ。
 「魔法少女ユリユリ等身大フィギュアの手配に人員を使いすぎまして・・・・・・不足しているのです」
 魔法少女ユリユリ? なんだそれ?
 「バカ野郎!」
 爽が三嶋さんの頬をひっぱたくと勢いままによろついてしまう。
 「し、しかし魔法少女ユリユリはロリコン協会の宝、いや地球みたいなものなのです。それより先に車なんぞを用意できますか!」
 大変だねーロリコン協会も。
 「お前に接待の資格はない」
 冷酷に爽が言いはなつと俯く三嶋さん。
 そして、勢いよく顔をあげた。
 「わかりました。お二人はガードマンであるこの僕が運びいたしましょう」
 そう言うと両手両膝を地面に付き、幼稚園児なとがするおうまさんごっこの馬の体勢になる。
 「篠藁くん逃げよう」
 「何で?」
 「そっちの方が楽だから」
 「じゃあ、そうするか」
 俺達は駆け出してこの場から離れる。
 そして、角を曲がったとき。
 爽が転倒したため俺は停止し爽を起き上がらせる。
 しかし立ってすぐに痛い、とふくらはぎを押さえて言う。
 「どうしたんだ?」
 「ギリギリする。筋肉が引っ張られる感覚」
 「つったのか、厄介だな」
 爽の後ろから三嶋さんが、不気味な笑みを浮かべながらこっちに来ていた。
 「爽、なんで俺達は三嶋さんから逃げてるんだ?」
 「えっ?」
 「理由だよ」
 「僕は・・・・・・もっと篠藁くんと遊びたいから僕を連れてって」
 「わかったここで座ってろ」
 俺は近づいてきている三嶋さんに向かって駆け寄る。
 「どうしましたか篠藁さん?」
 三嶋さんは俺の前で止まる。
 「三嶋さん。爽はまだ遊びたいと言っていますし、たまには三嶋さんも時間が欲しいでしょう」
 「それで?」
 「今日は爽に自由をあげてください」
 「それだけはなりません。そうするとあなた方の関係が崩れるだけですよ」
 どういうことだ?
 関係が崩れる?
 「退いてください」
 俺を腕の力だけで払いのける。
 なんて力だ。
 まともに戦っても勝ち目はないだろうな。
 三嶋さんは座り込んでいる爽の腕をつかみ、立ち上がらせるとかがんで爽を背負う。
 「それではまた篠藁さん」
 「ごめんね、迷惑かけちゃって・・・・・・」
 その先も爽は何か言っていたが、聞こえなかった。
 学校には来るよな。
 そう思うことしかできなかった。
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