世の中凡人を探す方が難しい

青キング

爽への鼓動?

 隣を歩く爽がスマホを胸ポケットから取り出して画面を見つめる。
 「早いなもうこんな時間か」
 それだけ呟きすぐにスマホを胸ポケットに戻した。
 そして俺に顔を向けて口を開く。
 「他にどっか行きたい場所はあります?」 
 とは言われても欲がないと言うか、抑えてると言うか、所持している金額が低すぎて。
 「篠藁くんは誰かに奢ったりします?」
 「それを聞くな、奢ってあげる相手がいないのだからな察しろ」
 自分で言ってむなしくなってきた。
 爽は立ち止まる。なんだろう?
 自身の顔を指差して、俺に向かってニコニコしながら
 「僕に奢ってください!」
 「えっ?」
 「なんてね」
 意地悪いが可愛らしい笑顔でそう言うとえへへ、とはにかんだ。
 「突っ立ってると危ないですよ」
 「・・・・・・お、おう」
 なんださっきの天使みたいなはにかみは?
 美少女にしか見えなかったぞ!
 ヤバい少しだけど鼓動が速くなってる。
 「もう! 行くよ!」
 どぎまぎしていた俺の右手を掴んで引っ張る。
 なんでだ。買い物してるときからたまに女の子みたいな仕草してたけど・・・・・・気のせいだ気のせいだ! そんなわけない!
 引っ張る力任せに歩きながら一度深呼吸。
 心機一転、面持ちもきりっと正して爽の手に掴まれている右手をスッと抜く。
 「ごめんな爽。ぼっーとしてたよ、もう大丈夫だから」
 えっと爽が振り向く。
 俺は爽に構わず隣まで行く。
 「行こうぜ」
 「うん、行こう」
 寂しそうにそう言うと歩き出した。
 俺も倣うように歩き出す。
 今、思ったが爽はどこに行こうとしているのだろうか?
 聞きたいがこんなに寂しそうなそれに不機嫌な顔をされたらそれを躊躇ってしまう。
 横目に見ててもわかるくらい顔に出てるくらいはっきりと。

 右手首裏につけた腕時計に目をやる。
 時計の針は三時示していた。
 ここは山田ビル三階の休憩所にある喫茶店だ。
 私は今、仕事の同僚を待っているところだ。
 遅いぞ。相変わらず時間にルーズというかマイペースというか、勘弁してほしい。
 「ごめんなさいお客様ご注文を」
 「あっすいません」
 腕時計から視線を外し、顔を上げる。
 ・・・・・・いつの間に?
 目の前には私の顔を覗き込むように見ている記憶にある顔があった。
 「ごめんね、やよい!」
 「今日の言い訳は?」
 合掌して謝ってくる理阿に私達お決まりの言葉を投げつける。
 「えっとねー、知ってる人に気づかれたからー結婚相談所とかー監督相談所で時間潰してたらー色々あってー」
 「色々って?」
 「えっとねー、えっとねー」
 困ったように目をキョロキョロして発言する。
 「そ、そう強盗。怖い人達が・・・・・・」
 「はい失格」
 机越しに理阿の頭に軽くチョップしてやる。
 すると案の定、チョップされたところを両手で覆いながらうずくまる。
 「いたいよ~やよい~」
 あれが痛いのか次回はもっと軽めにやろう。
 「まぁ呼び出したのはこっちだ。なんでも頼んでいいぞ」
 「じゃあ愛情を一本!」
 チ〇〇タドリンク! 何て言うか。
 「座っていい?」
 「早くしてくれ」
 理阿が腰かけたところで私は話題に入る。
 「相談があるんだが・・・・・・相談ではないなお願いだ」

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