世の中凡人を探す方が難しい

青キング

ふたてに分かれよう

 「遅いわよ!」
 「ごめん、予定入ってたのをキャンセルしてきたから」
 日曜の朝から不満げな顔をしている秋菜は黄緑のTシャツにショートパンツというかなり露出の多い格好をしている。
 「言い訳にならないわね、そんなの」
 老人ホームの手伝いとか入ってたのをキャンセルしてまでも来たのに。
 「秋菜さんそんなに責めなくても」
 俺を気遣ってくれたのは提案者の黒のワンピースに身を覆われたあおいだ。
 そして、そのとなりで。
 「みんな可愛いっスネ、スゲー似合ってるのが羨ましいっスヨ」
 上下白生地のユニフォームに赤色のベルト、そして何かのロゴが刺繍された野球帽という場違いにも程がある格好。
 さらに肩にかけているのは黒のエナメルショルダーバッグ。お前の頭の中にはファッションという概念がないのか?
 「ごめんね、まやが常識外れで」
 あおいが謝ることはないだろ。
 「おはよう篠藁くん」
 「お、おう」
 笑顔で挨拶をしてきた爽は、チェック柄のワイシャツにジーパンで少々暑そうな装いだ。
 「全員揃いましたし行きましょうか」
 「「「どこに?」」」
 「確かに聞いてなかったスネ」
 「ごめんなさい・・・・・・私決めてないの」
 あおいが恥ずかしそうにモジモジしながらそう言った。
 「じゃあどうするのよ!」
 秋菜の言いたいことはわかるが、声のボリュームを下げてもらいたい。
 「みんなで喋りながら歩いて楽しみましょう」
 いいアイデアだな。
 「じゃあ早速行きましょうか」
 爽の一言により沈んでいたあおいの表情が一瞬で晴れた。
 
 この辺は多様の店が建ち並んでおり、ショッピングにはもってこいの場所だ。
 さっきから爽やまやが目の色を変えている。
 「見てください、あのお店外見から内装まで可愛いです」
 「見るっスヨ、あの店の店員がつけている眼鏡ちょっとカッコいいッス」
 まや、お前はどこを見てるんだよ
 店員の眼鏡なんてどうでもいいだろ! でも青ぶちに楕円形のレンズ、少し知的に見える。
 「歩いてて気づいたけど五人でまとまって歩いてたら人とぶつかりそうね」
 「ふたてに分かれるっスカ?」
 俺もさっきから「すみません」を連発しているような。
 「でも五人だから・・・・・・三と二に分かれることになるわよ」
 「それなら男と女で分かれればいいと思うよ」
 爽、お前頭いいな。
 「じゃあ、そういうことで」
 秋菜があおいとまやの手を掴んで引っ張り、俺達が進んでいた方向の逆を歩いていく。
 「僕たちも行きましょう」
 俺の脇腹を肘でつついてそう言うと楽しみですね、と喜色満面になった。

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