世の中凡人を探す方が難しい

青キング

一人の皮肉な男子

 教室は賑やかに、会話が飛び交っている。 
 そんな教室の様子を好ましいとは思えない。
 私は今年から一人暮らしを始めた。
 知り合いのいない地域で暮らしたくてここの浜岸光学園を選んだ。
 界隈には商店街も公園もあって思い描いていた理想の地域だと言えよう。
 故郷を離れて寂しいことはない。だってあっちには私の嫌いなあいつらがいるから。
 私は自分を変えたかった。
 そして、部活を創設するんだ。
 「はぁ朝から突っ込み過ぎた」
 後ろから男子の声が聴こえてくる。
 何に突っ込んだんだ?
 「あの女子は何がしたかったんだろう」
 嘯くように発しているのだろうか?
 その前に助詞って何かするの? 動くの?
 主観的すぎて何を言ってるのかさっぱりわからないじゃない! わからなくていいのか。
 無駄な思考は控えるため、机に突っ伏す。
 そしてぼっーと黒板の一点を見つめる。
 その時、肩に誰かの手の感触が。
 幻想だと思い意に介さなかった。
 それでもまたトントンと肩を軽く叩く感触が。
 私は首だけ後ろに回した。
 こちらを頬を上げながら見つめている男子が肩を叩いてきたのだろう。
 グレーっぽい短髪が一本一本すべてツンツンそうに立ち、触ったらチクリとしそうだ。
 「人の頭上を眺めてどうした? おかしいかこの髪型って」
 彼には私がどう映っているのだろうか? ただの女子生徒? 可愛い少女? いや後者はない。
 「どうしたー視線すら動いてないぞー」
 手をかざして目の前で揺らしている。そこでやっと我に帰った。
 「ごめんなさいぼっーとしてて」
 自分より身長も高く体格もそれなりにできているため機嫌を損なわせぬよう注意を払う。
 そのため、まずは『ごめんなさい』から会話を始めるのだ。
 「前の席だし迷惑かけるかもしれないがこれからよろしくな」
 笑みをつくって接してくるのが過去を思い出して腹立たしいのだ。
 みんな最初はそうやって優しい人を装い、最後は縁を切るんだ!
 顔を少し下げて見つめる。
 こうすれば自然に睨んでいるように見えるので効果的だ。
 「なんだよ俺を睨んで可愛い顔してるのに」
 男なんて全員お世辞ばかりばかり吐くんだ。
 彼を見ていた視線ををまた黒板に視線を注ぐ。
 「髪も綺麗だな触っていい?」
 「ダメに決まってるでしょ!」
 反射的にまた 後ろを振り向いてしまう。
 「そろそろ入学式が始まるし行くかな」
 彼はさっと椅子から立ち上がり退室。
 後ろ姿をなんとなく眺める。
 彼が教室を出たのを確認したあと、時計を窺う。
 時計の針は八時半を示していた。
 たしか入学式は九時からだったはすだが?
 教室を見渡すと、自分以外誰もいない。
 「いつの間に移動してたのか?」
 答えなどどうてもいい。
 私も入学式が行われる体育館へ走った。

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