世の中凡人を探す方が難しい
プロローグ
    「うどんとラーメンどっちが好み?」 
 目の前には入学早々、校内を騒がしている女子生徒がいる。
 上目遣いに俺を見据えながら廊下でなんのために役立つのか、と疑問の残る問いを問うてくる。
 そいつの名は宮魔 秋菜という全国に一世帯しか存在しないと思われる、希有な苗字の持ち主である。
 『魔』なんていかにも不吉そうな漢字を用いたな。
先祖の顔を見てみたい、苗字の由来も聞きたい。
 まあでも、可愛 いことには可愛い。
 整った顔のパーツに背中まで伸ばしたストレートで春を連想させる桜色の髪。
そして俺を見つめる大きな瞳、と思われたがなぜか細くしてこちらを見ている。
 「質問してるのよ答えなさいよ、忍」
怒ってるのか侮蔑してるのかはっきりしない目付きで俺を見るな!
 黙ってれば可愛いのに、宝の持ち腐れだ。
「私の話聞いてるの!」
あの目は怒りだったのか、なるほどなるほど。じゃねーだろ俺の馬鹿!
 とりあえず質問に答えてやるか。
 「まぁ俺はうどん派かな。さっぱりしてるしな」
 「性格がさっぱりしてそうだしね」
 意地悪く言われる。
 「それはどういう意味だ?」
 あきれたように問いかけると、不敵な笑みを浮かべてきた。
 「浮気とかして、一人に対する愛情がさっぱりしているからに決まってるでしょ」
 決まってねーよ。
 俺ってどう見受けられてるんだ。
 心配になってきた。
 「プレイボーイは嫌いよ!」
 「大声で叫ぶなよ。俺がプレイボーイだと思われたらどうするんだよ!」
 つい、声を荒げてしまう。
 秋菜もさらに声のボリュームを上げた。
 「だって証拠もあるよ」
 「聞き捨てならないな? 出してみろ」
 「部室に行けば保管してあるわよ」
 保管すんなよ!
 そこは置いといて、あるというのなら見せてみろよというだけの話である。
 そして俺たちは階段を昇って、部室のある反対側校舎に移動する。
 道中、秋菜は大股で怒りを露にしてでかでかと歩いていた。
もうちょっとおしとやかになってほしい。
 そんな不毛か否やわからぬ思考を巡らせていると部室に到着した。
 秋菜と俺の所属している部活は比較部という名で、俺にも活動内容が知らされていない。
 秋菜がドアノブを握り捻ると、見たくもない部室内が俺の目に入る。
 「棚上に放置しておいたような?」
 さっきは保管と言っていたのにここでは放置になってるか。物を粗末にしてはいけません。
 「なんでミッキーはこんなとこに置いたのかな? 私届かないわよ」
 俺よりはっかく十なんセンチか背丈の低い秋菜はつま先立ちになりながら棚の上に手を伸ばして精一杯証拠品を掴もうとしている。
 仕方ない取ってやるか。
 俺は棚の上に手を伸ばす、何か紙らしき感触の物を手に取って秋菜に見せる。
 「これか証拠品は?」
 「うん、それだけど・・・・・・」
 驚いているのだろうか反応が悪い。
 「貸して」
 俺の手から紙をかっさらう。見た限り紙は新聞紙の一部分のようだ。
 「見なさいよ一番下の左端」
 新聞紙を広げ俺の顔に近づけてくる。
 俺も左端の記事を読んでみる。
 芸能人の不倫事件! 篠原 忍六股発覚! という記事がある。
 硬直してしまうが、実感が湧き怒りが込み上げてきている。
 肩がわなわなと震えているのが自分でもわかる。
 「俺の苗字はしのわらだーーーーーーーー!」
 「え?」
 広げた新聞紙をたてチョップで切り裂く。
 そして呆然とした秋菜を部屋に残して退出した。
 目の前には入学早々、校内を騒がしている女子生徒がいる。
 上目遣いに俺を見据えながら廊下でなんのために役立つのか、と疑問の残る問いを問うてくる。
 そいつの名は宮魔 秋菜という全国に一世帯しか存在しないと思われる、希有な苗字の持ち主である。
 『魔』なんていかにも不吉そうな漢字を用いたな。
先祖の顔を見てみたい、苗字の由来も聞きたい。
 まあでも、可愛 いことには可愛い。
 整った顔のパーツに背中まで伸ばしたストレートで春を連想させる桜色の髪。
そして俺を見つめる大きな瞳、と思われたがなぜか細くしてこちらを見ている。
 「質問してるのよ答えなさいよ、忍」
怒ってるのか侮蔑してるのかはっきりしない目付きで俺を見るな!
 黙ってれば可愛いのに、宝の持ち腐れだ。
「私の話聞いてるの!」
あの目は怒りだったのか、なるほどなるほど。じゃねーだろ俺の馬鹿!
 とりあえず質問に答えてやるか。
 「まぁ俺はうどん派かな。さっぱりしてるしな」
 「性格がさっぱりしてそうだしね」
 意地悪く言われる。
 「それはどういう意味だ?」
 あきれたように問いかけると、不敵な笑みを浮かべてきた。
 「浮気とかして、一人に対する愛情がさっぱりしているからに決まってるでしょ」
 決まってねーよ。
 俺ってどう見受けられてるんだ。
 心配になってきた。
 「プレイボーイは嫌いよ!」
 「大声で叫ぶなよ。俺がプレイボーイだと思われたらどうするんだよ!」
 つい、声を荒げてしまう。
 秋菜もさらに声のボリュームを上げた。
 「だって証拠もあるよ」
 「聞き捨てならないな? 出してみろ」
 「部室に行けば保管してあるわよ」
 保管すんなよ!
 そこは置いといて、あるというのなら見せてみろよというだけの話である。
 そして俺たちは階段を昇って、部室のある反対側校舎に移動する。
 道中、秋菜は大股で怒りを露にしてでかでかと歩いていた。
もうちょっとおしとやかになってほしい。
 そんな不毛か否やわからぬ思考を巡らせていると部室に到着した。
 秋菜と俺の所属している部活は比較部という名で、俺にも活動内容が知らされていない。
 秋菜がドアノブを握り捻ると、見たくもない部室内が俺の目に入る。
 「棚上に放置しておいたような?」
 さっきは保管と言っていたのにここでは放置になってるか。物を粗末にしてはいけません。
 「なんでミッキーはこんなとこに置いたのかな? 私届かないわよ」
 俺よりはっかく十なんセンチか背丈の低い秋菜はつま先立ちになりながら棚の上に手を伸ばして精一杯証拠品を掴もうとしている。
 仕方ない取ってやるか。
 俺は棚の上に手を伸ばす、何か紙らしき感触の物を手に取って秋菜に見せる。
 「これか証拠品は?」
 「うん、それだけど・・・・・・」
 驚いているのだろうか反応が悪い。
 「貸して」
 俺の手から紙をかっさらう。見た限り紙は新聞紙の一部分のようだ。
 「見なさいよ一番下の左端」
 新聞紙を広げ俺の顔に近づけてくる。
 俺も左端の記事を読んでみる。
 芸能人の不倫事件! 篠原 忍六股発覚! という記事がある。
 硬直してしまうが、実感が湧き怒りが込み上げてきている。
 肩がわなわなと震えているのが自分でもわかる。
 「俺の苗字はしのわらだーーーーーーーー!」
 「え?」
 広げた新聞紙をたてチョップで切り裂く。
 そして呆然とした秋菜を部屋に残して退出した。
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