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ばななをもいだら完熟王

紙尾鮪

14「蟻が門を渡る」

 「いかん……いかんぞおおおおおおおおおおおお」
 なんかぞうさんが叫んでますよ。

 「まずい……撤退だ! 全員逃げろオオオオオ!」
 うわぁみっともないですね。

 「エレファントのように、エクセレントで、エレガントに何時如何なる時であろうと、堂々たる姿であれ」
 あ、なんかちょっとカッコいい

 「例え欲情していようとも!」
 最悪ですね、死んでほしいです。

 「逃げろ! 子を成してしまうぞ!」
 やっぱり痴女騎士だったんですね。

 「さてと、逃げるぞ妃よ」
 ちょっと近くに来てほしくないです気持ち悪い。

 「え、あ、逃げるってどうやってです?」
 流石ですね、この逃げるに絶好の機会なのに、冷静沈着に状況を判断するこの姿、まだに軍師ですね、僕はやっぱり可愛いですね。

 「いやな、妃の匂いがしたので、その匂いを辿っていたら穴があったので、そこに入ったらここにへと辿り着いたという訳だ」
 え? この穴僕がギリギリ通れるかどうかぐらいですけど、本当に通ったんですか? ぞうさんミミズなんです?

 「行くぞ妃よ」
 えぇ……早くないです? しかも速くないです?
 ……んんん、ここしか逃げ場所はないし、いきますか……
 この決断力、潔さの塊としか言えませんね、その男気に惚れ惚れしますよ。

 「おぉ……中々のキツさですね」
 くぅ……狭いです。
 けどハイハイするぐらいの広さがあって良かったです。
 ぞうさんが少しも見えないですけど……速すぎないです?

 「んむ……ゴツゴツとしたのが擦れて痛いし気持ち悪いし裂けそうですね」
 あ、お腹の部分裂けた。
 これでは僕の可愛いぽんぽんが冷えてしまうのですよ。

 「ふぅ……一旦休憩」
 この時、僕は気付いていなかったのです。
 四つん這いによる弊害ヘイガイと言いましょうか、気付かなかったのです、手と足の間を通る突起物に。
 そして僕の可愛い桃尻の真下にへと来たのです。
 そして、勢いよく落とした桃尻にへと、突起物が。

 「ん゛ッッ!!」
 あまりの衝撃に反射的に桃尻をあげてしまったのです。
 それに問題はないのです、全く、むしろナイス反射です。
 そんな僕のナイス反射でも、時としてバットになってしまうのですよ。
 何が言いたいか? まぁ簡単に言えば、天井が低いのを忘れてただけですよ。
 僕の桃尻が天井にぶつかって、そして突起物にへと、また僕の桃尻を打ち付けたのです。

 そして蟻が門を渡ったのです。



 その時僕は、天国を見ました。
 蟻さんと仲良く手を繋いで、門を渡るのを、楽しいですね、割りと。
 触角なんか生やしたりして、ムシカワですね。

 そして、門が開かれるのです。
 なんとその門は水門だったのです。
 白い液体で、その水門が決壊し、僕ら蟻さん達は流されそうになりました、ですけど、僕を掴む手があったのです。

 「ジェームズ……ッ」
 僕の手を掴んだのは、いつも僕に、隠れてクッキーの欠片をくれてたメジャーワーカーのジェームズです。

 彼は、他の働き蟻とは違って、体格が小さく、僕と同じぐらいで、妙に親近感を覚えていました。
 彼は、小さいので、一回に大きな物は運べません、それなのに、か弱い僕に毎日クッキーの欠片をくれるのです。

 恋愛感情が少しもなかったとは言えないかもしれません。
 だけど、今確信出来た。

 「だめっ逃げてジェームズ、貴方の触角が駄目になっちゃう! 今なら間に合う! 離して!!」
 彼の触角が、白い液体の勢いでもげそうになっている。
 蟻の目である触角が、もげてしまったら……この先彼は……

 「……問題ねぇ」
 喋った?!

 「そん時は……お前が触角になってくれ」



 「ジェームズゥゥゥゥゥ」

 「ボンドの事かの?」
 クソジジイイイイイイイイイイイイ

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