学校一のオタクは死神でした。

ノベルバユーザー203842

第63話 死神の弟子

*第63話 死神の弟子*



夏期講習期間が終わり、本格的な夏休みとなった。

さて、さてさてさて。学校も終わったことだし、イベントやら、新刊やら、やりたい事、行きたい所は山ほどある。特に、夏コミ!!オタ活の中で夏の代表と言ってもいい、超ビッグイベントだ。
公式から、まだ見ぬ我ら2次元神の卵からまで、又は平々凡々な作者が一気に集まる場所だ。
自分好みの作品があれば、手に取りたくなる好奇心はオタ活勢の共通することである。
それは、正しく神の卵でも、平凡なものでもある。
それを大いに探し求めるのに適したイベント。
それが夏コミである!!

そして、そのビッグイベントがついに明日から開幕する!!

これだけは絶対に逃せないイベントだ!!
しっかりと準備をし、先日、嵐と合作で作った秘密兵器の調整もしておかねば…!!

もう、気分的にはアスキーアートの『むふふ( ´艸`)』のようだ。


「新、海に行くぞい!!」


「嫌だ!!断固拒否!!断る!!」


「…即答だね?でも、何が何でも一緒に来てもらうよ?」

「嫌だ!!絶対に断る!!」

「…なんでそんなに怒ってるの…?何でかは知らないけど、顔が金剛力士像みたいになってるよ!?」

そんなに怒った顔をしていたのだろうか?
確かに、背後でいつの間にか部屋に侵入したビン(貧乏神のニックネーム。最近、姉さんが命名した。)が俺の漫画を読んで、ふざけて作ったダンボール製の『ゴゴゴゴゴ…!!』というやたらリアルなオノマトペを掲げているけれども。

「えー?そんなに断るなら明後日はii…「嫌だ!!」_何で!?」

当たり前だ!!コミケが1日なんかで終わるわけがないだろ!!

「じゃあ、何時だったらいいのさ!?」

「そうだな…」と新はうーんと考えると「3日後?」と答えた。


「…分かった。じゃあ、3日後に私の“プライベートビーチ”に行く。」


「分かった………は?今なんて?」

え?今、プライベートビーチって言った!?

「分かったって言ったんだけど…?」とキョトンとしながら親父は首を傾げる。

「いやいやいや、そこじゃなくて、その後!!3日後にどこに行くっつった!?!?」

「私の“プライベートビーチ”…?」


「なんで“無職”の親父がそんなもん持ってんだよ!!」


どこから出たんだよそれある金は!?

すると、親父がふふふふ…と得意げに笑った。

「新よ。誰が無職だって?私が普段仕事などしていないとでも?」

「うん。」

「即答しないでくれるかな!?ぅおっほん!!私の仕事はね…?」

ゴクリと新と、その背後で未だにオノマトペを掲げているビンが唾を飲み込んだ。


「私の仕事は、“雑誌の風来坊記者”だよ。結構有名なんだよ?風来坊だけど、ネタは神ってる、神来坊って呼ばれてるよ、神様だけにね?w」


ほへー、と思いながら、おもむろに立ち上がり、親父に近づくと。

ゥヴゴキィッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「あだダダダダダダダダだァー!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?
ちょっ!!痛い!!マジで痛い!!あ、新!?急にどうしたのかい!?!?!?!?!?!?!?!?」

プロレス技のロメロスペシャル(めっちゃ痛い)をモロで喰らいながら親父は絶叫している。


「働いてんだったら生活費にもまわせやドアホぉおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そしたら“俺が世界政府なんかに正体ばらす必要性”も“何処ぞの掃除屋スイーパーみたいな仕事なんかする必要性”も無いだろうがボケぇええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「ぼベアはぅおはァ!!マボジディイデェェエエエエエエエ!!!!ギャアァアァァアアアアアアアアアァァアァアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

その日、神藤家に親父の絶叫が響き渡ったのは言うまではなかった…

「兄上〜、って兄上!?」

と、ちょうどそのタイミングで希里が部屋に入ってきた。

「ん?あー、気にしなくていい、後は、背骨をへし折るだけだから。」

「イィイィイヤァアアァァァアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「いやいやいや!?何があったか知りませんけど、流石にそれはダメですって!?」

「ふん…希里が言うなら仕方が無い。」

「ほっ…」

新は技を解くと、親父を蹴り上げ、ボゴぉ!!と音を立てながら天井に突き刺した。

「で?どうかしたのか(真顔)」

希里は顔を引き攣りながら「武神さんが兄上を訪ねてきているのですが…」

「は?武神が…?」



* * *



「儂を弟子にしてくれ!!!!!!!!!!!!!!!!(土下座)」

「…は?」

「儂を弟子にしてくれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(土下座)」
「いや、それは聞こえてる。そうじゃなくて、何で?」

リビングに入った瞬間、土下座をキープしたまま武神が何故か新に弟子入りさせてくれと申し出てきた。

「儂に“魔法”を教えて欲しい!!!!!!!!!!」

場が凍りついた。
あの武神が魔法を教えてくれと言ったのだ。
魔法を使わない戦闘をメインとしていたあの武神がだ。

「…ふん。使う気になったのか?」

「…このままではダメだと思った。もっと強くならなければ、儂は…己の大切なものも守れなくなってしまう…!!」

ピクリと新のめが反応する。
それと同時に、八岐大蛇との戦闘、育ての母、ルシファーの事が脳内でフラッシュバックする。
ギリッと歯を噛み締め密かに怒りを収める。自分の不甲斐なさを恨み、怒りを誰にも知られぬよう自分の闇に葬る。

「頼む…!!」と武神の声でハッとなった。

「儂を弟子にしてくれ…!!!!!!!!!!!!!!!!」

暫く考えた後、「分かった」

「ほ、本当か…!!」

「ただし、俺がやれることは正直いって全くと言っていいほどない。魔法は教わるものじゃない。自分の中で欲する力、其の偶像を作り出す能力を魔法だと俺は考える。だから、俺はお前の欲する力を引き出すことしか出来ない。それでもいいか?」

「あ、ああ!!構わぬ!!何卒!!よろしく頼むッ…!!!!」

武神は更に、深く頭を下げ、床に頭を擦り付けた。

「じゃあ、さっそく行くか。」

「どこかに行かれるのですか兄上?」と希里

「ああ、修行って言っても、俺は“情報”を与えることしか出来ないからな。武神。」

「覚悟はできておる!!どんなに辛く苦しい課題でも乗り越えてみせようぞ!!!!」

「とりあえず、風呂に入って爪を切れ、それからその服も埃をはらえ、口にはマスクを付けろ唾を飛ばしたら殺す。はい、1時間以内に全部やれ。ダッシュ!!」

「お、おう?」

「ダッシュ!!!!!!!!」

「おう!!!!」

ドタバタと廊下を走り去る武神の姿を見送る。

「…一体どこに行かれるのですか?」と希里はくてんと首を傾げる。


「“書斎”」


「……へ?」


「“書斎”だよ、俺の。天界にある俺の書斎を貸すだけだ。」

う、うん…?と希里は益々顔を顰めた。
新の書斎といえば、ラノベやら漫画やら同人誌やら画集などのオタ活で集めたものが大量に保存され、1部、世界各国に手違いで生まれてしまった…


「あ、“魔導書”ですか!!」


「“いや、そんなもんは使わない”」


ズルッと希里が転けた。

「それ以外にあるものって言ったら兄上の趣味の本しか…」

「ああ、それ使う。」

「…は?」


「武神にはラノベ…は、時間がかかるし、武神には理解が追いつかないか。とすると、漫画か…武神には目に付いた漫画を片っ端から読んでもらう。」


「……。」

何故だろうか、兄の方針が若干不安に思えてきたのは、希里こと自分だけであろうか?

いや、そんなはずはない。

この部屋にいる新以外のかみは同じことを考えているだろう…



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