学校一のオタクは死神でした。

ノベルバユーザー203842

第56話 八岐大蛇

*第56話 八岐大蛇*



「うふふ、小さな時のように“お義母さん”と読んでくれてもいいのですよ?」

「質問、何故“義”をつけた。」

「ふふふ、何となくですよ。」

「何となくねぇ…(悪意しか感じられないのは気のせいかな?)…じゃあ、その何となくをやめてくれ、これ以上ややこしくすると色々と面倒臭い。」

「分かりましたわ。」

とりあえず、流石の八岐大蛇も黒子さんの手によって真っ二つぶった斬られたら消滅するか…

と、光の粒子を吹き出しながら咆哮する八岐大蛇を横目に見る、光の粒子の量がだんだん増えていき、八岐大蛇の体が徐々に消滅していく…
そして、最後に残った、瞳が消滅しようとした瞬間…

『ッッッッシャァァアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

という叫びとともに、周りの色を飲み込むような真紅の焔が吹き荒れる。周りの空気が焼けるように熱くなり、近くにあった電灯が真赤に光り、溶けてゆく。同じく、その熱気に当てられた木々が、炎を纏う…
そして、その焔が瞳を覆い尽くすと、上下、3枚の魔法陣が、空間に刻まれる…
焔は膨れ上がり熱を増していく。そして、限界まで膨れ上がったと思った瞬間、爆風と共に、弾け飛んだ…

そして、その爆煙の中で、“十六の瞳”がギラりと光る…

そして、その瞳が咆哮した瞬間、爆煙が吹き飛び、姿を現す…


………………八岐大蛇…………


真赤に輝く、十五の瞳と、一つだけエメラルドの様に光り輝く緑色の瞳。燃え上がり、熔岩のように煮えたぎり、所々ボコボコと爆発する、真紅の躰。その巨体が動く度、地面に真紅の熔岩が落下し、地面にクレーターが生まれる…
巨大な口から毒々しい紫色の煙を吹き出し、その煙が、空中に舞い、しばらくすると爆発を起こした…
一つの頭が、大顎を開きハァーと煙を吹くと、口の中で、バカッンバッカンと小さな爆発を起こす…


八岐大蛇は雷鳴の如く咆哮した…


『ッッッッッッッッッッッッシャァァアアアアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』



* * *



「嘘やろ…真っ二つにぶった斬れた筈なのに、再生しやがった…」

「燃え上がる八岐大蛇なんて…見たことないですよ…」


その姿は文字通り、“化け物”であった…


八岐大蛇が、その巨体を黒子さんに向けると、その家でも飲み込めそうな巨大な口を、グパァアと開き、煮えたぎる炎のブレスを繰り出した…

「ッ!!!!《天壁スカイ・ウォール》!!!!!!」

黒子さんは右手を八岐大蛇に突き出し、紫色の光を放つ、巨大な魔法陣の壁でそれを迎え撃つ…

だが…

「ッ!?!?」

八岐大蛇のブレスが、魔法陣に触れた瞬間、魔法陣は熱された金属のように溶け、破壊した…

「黒子さん!!!!」

咄嗟に腰から翼を生やし、地面を蹴り、黒子さんを掴みそのブレスから逃げる…

すると、それを見計らったように、八岐大蛇の首が伸び、燃え盛る牙を向く…

「ッ!!トール、ファイヤー!!!!」

《任せろ!!!!》

銃声と共に、トールから巨大な魔力弾が発砲され、八岐大蛇の頭を貫き、八岐大蛇の頭が粉々に粉砕される…

《ヒャァハハハ!!!!ざまぁみろ!!!!》

トールが高笑いする。

だが、粉砕された頭の熔岩が、形を変え、その全てが、小さな頭となり、拡散弾と化したそれが襲いかかる……

「チィッ!!!!」

手に掴んでいた黒子さんを、空に投げ、トールに「imagineイマジン機関銃マシンガン!!!!」と叫び、トールにTRANSトランスさせる。そして、変形したトールで、その全てを撃ち抜く、だが、更に粉砕された、頭は再び形を変え、更に小さな頭となる…
そして、それを避けることも出来ず、その全てが、体を食いちぎる…

「うがぁああッ!!!?」

拡散弾となった八岐大蛇の頭が皮膚を突き破り、体内で煮えたぎる熔岩の熱で肉が焼ける…
ヒリヒリとした痛みではなく、熱を持った棘が四方八方を突き刺すような強い痛みに襲われる…
体に入った瞬間、その熱で、肉が焼かれたため、自動的に止血はされたが、その代償が想像より大きかった…

「死神様ッ!!!!」と投げた先で、翼を翻し、舞う黒子さんの声が聞こえる。

《おい!!大丈夫か!?》と、Sっけが強かったトールも慌てたような声をしていた。

「ああ、あんまり大丈夫じゃねぇけど。」

八岐大蛇は、砕かれ、拡散弾と化した頭も完全に再生しており、巨大であろう肺に大量に空気を溜め込み、ブレスを放とうとする…
《天壁》でも防げなかったブレスを真正面から受けたら、流石にヤバイ。

「トール!!imagineイマジン狙撃銃スナイパーライフル!!!!」

《TRANS!!》

トールは巨大な狙撃銃と化した。その姿は世界最大級の対戦車ライフル、ラハティL-39にそっくりだった…

「トール!!八岐大蛇アイツの“肺”に風穴ぶち開けるぞ!!!!」

《さっさと撃てやぁ豚ぁあああ!!!!!!!!》

「さっきから何で豚なんだよ!?!?ファイヤァァァアア!!!!!!!!」

《死ねぇえええええ!!!!!!!!!!》


狙撃銃から放たれた巨大な弾は見事に八岐大蛇の肺を撃ち抜いた。その穴から吸っていた空気が漏れだし、ブレスの“威力を弱める”…
吐き出す空気が少なくなれば威力は小さくなる。
八岐大蛇は肺に穴が空いたのにも関わらず、その状態で、“紫色の煙”のブレスを吐き出す…

何故だろうか…そのブレスは新の目には全体的に“ライフ”の反応があったのだ…

そのブレスは、肺に穴が空いたにもかかわらず、新と黒子さんを飲み込んだ…
肺に穴が空いてなかったら街ごと潰す気だったのだろうか…
そのブレスは新と黒子さんに直撃する…
だが、それは体に触れた瞬間、無色透明となり、ただの空気に変化した…

なんと地球に優しい、粋な計らい…!!

思わず、新は感動した、が、その直後、全身がただならぬ、“疲労感”に襲われる…

頭が割るように痛い…途轍もない吐き気がする…内蔵が痛い…骨が悲鳴をあげる…

新は苦しくなり、ひとつ咳をした…

口を覆った手が、ぬちゃりとした感触が生まれた…

掌を見ると、鮮血が付着していた…

そして、何も触れていないのに、腕やら、足やら、身体中の皮膚から、血が滲み出る…


“毒”だ…


八岐大蛇から放出された紫色の煙は“猛毒”だったのだ…


「色で気づけよバカ野郎…!!!!」


自分に怒るが、猛毒は新の体を蝕んでゆく…

痛え…死ぬほど痛え…

ハッとなった…



黒子さんはどうなった…?



恐る恐る、先程、黒子さんが飛んでいた方を見上げる…

その方向には、地面に向けて、何かがポタリ、ポタリ、と落ちていった…真っ赤な、何かが……
信じたくない…信じたくない…だが、それは誰がなんと言おうと、血だった…

声が震える…

その血の落ちてきた先にゆっくりと目線をずらす…

「ッ!!!!」



そこには、血に染まった翼を纏った、血塗れの黒子さんがいた…



黒子さんは、なんとか飛んでいる状態で、新と目線を合わせた…
そして、目線があった瞬間……落下した…

新は翼をはためかせ、落下する黒子さんを受け止める…

「黒子さん!!」

「うぅっ…すみません…死神様…あの時、私が仕留めていれば…っ!!」

「そんな事はどうだっていい!!それより、早く手当を…!!」

堕天使…“幻想種”である黒子さんは神である新の神の体と違い、魔力料はそう変わらないが、ダメージが極端に大きい。当たりどころが悪ければ、ナイフ一刺しで、消滅してしまう存在だった。
八岐大蛇のブレス、それは、新をも一撃で大ダメージを与えた。同じダメージを堕天使である黒子さんが真面に受けたらどうなるだろうか…


“消滅”


それが、黒子さんを待ち受けるものだった…

それを避けたい。絶対に消滅なんかさせねぇ…!!

新たは、compulsionコムポーションrecoveryリカバリーで、強制再生をはかる…

「compulsion re…」

それを使おうとした瞬間、黒子さんが腕の中から消えた…


気づくと、背中に熱い何かがぬちゃりと触れた…


後ろを振り向くまでもなかった…


all lifeに“2つ”の反応があった…


1つは八岐大蛇の反応…


もう1つは…


恐る恐る振り向く…

「嗚呼…」

そこには、何かに噛み付く八岐大蛇の1つの頭…



そして、新を庇うように両腕を広げ、八岐大蛇の牙の餌食となる、“黒子さんの姿”があった…



黒子さんはゆっくりと、新を見た…
そして、何か口を動かした後…



“命が消滅した”…



黒子さんは光となり、光の粒子が天に舞う…

それを掴もうとするが、それは空を掴む…



「嗚呼嗚呼嗚呼…」


黒子さんは、新の幼い頃、母さんが消滅した頃、新を育ててくれた存在…

母さんの様だった存在…

新の育ての親…

新にとって絶対に失ってはならない存在…

大切な存在…



大切な“家族”という存在…



それを今…




失った…




力が抜けていくのが分かる…

そして、抜けていく力と引換に、“怒り”と“殺意”が生まれる…

新に生えていた“毛”、全てが、真黒から真白に脱色されてゆく…

武装が燃え上がる…

真っ青な炎で燃え上がる…

涙が落ちる…

怒りの涙が…



「嗚呼嗚呼…」

「嗚呼嗚呼嗚呼…」

「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼…」

「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼…」

「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼■呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■■■嗚呼■■■■■■■■嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼■呼嗚呼嗚呼嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼■■■■■■■■嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼■呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼■■■■■■■■嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼■呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■■■嗚呼■■■■■■■■■■■呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼■呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚■嗚呼■呼嗚■嗚■嗚呼■呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚■嗚呼■呼嗚■嗚■嗚呼■呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼■呼嗚■嗚呼嗚■嗚■嗚■■呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼■■嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚■■■■■■■■呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■■■嗚■■■嗚呼嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼嗚■嗚呼嗚■嗚呼■呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼嗚呼■呼嗚■嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚■■■■■■■■■■■■呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚■■■嗚呼嗚呼嗚呼嗚■嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼■■嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚
呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼」



全身の毛が逆立つ…


新の瞳が“真青”に染まった…


その時…八岐大蛇が咆哮した…

ピクリと反応した新が、ゆっくりと、その方向へ顔を向ける…


八岐大蛇が視界に入った…










『殺す』










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