学校一のオタクは死神でした。

ノベルバユーザー203842

第52話 咲き誇る睡蓮

*第52話 咲き誇る睡蓮*



時間は流れるように過ぎ、留学10日目…


俺は午後から、“いつものように”軍人達と…


「はいもっと早く‼︎
もっと死に物狂いで走れ‼︎‼︎」


「「「「「お、おおー‼︎‼︎」」」」」


「ほらほらおせぇぞコラァ‼︎
そんなスピードだったらいつまで経っても“捕まえられねぇぞ”‼︎」


「「「「「お、おおおおー‼︎‼︎‼︎」」」」」



軍人達と無人島で“鬼ごっこ”をしていた…


ルールは簡単、俺を捕まえれば、その日の訓練は終了。


ただし…逃げる俺と軍人達は1人一つづつ“約30kgの鉄製のバッグ”に、“80kgのダンベル”を入れた、“合計110kg”の重りを背負いながら走っていた


まあ、普段ベンチプレスを100kgを余裕でこなす軍人達にとって110kgは普段のトレーニングとそう大して変わらない…

だが、もし仮に、そのトレーニングが110kgを余裕で持ち上げ尚且つ、自分より足の速い者を走って捕まえるまで終わらなかったら、一体どうなるだろうか?


“体力が尽きるまで死ぬ気で追いかけるしかなくなるよな”?


タイムリミットは5時間

5時間以内に捕まえることができればトレーニングは終了、夕食までの間は、休むなり、普段の筋トレをするなりそこらへんは自由

もし、5時間以内に捕まえることができなかったら、また明日も同じメニューでトレーニングを行う

因みに、今現在 トレーニング開始から8日がすぎている


つまり、8日間一度も捕まえることができていないのだ


俺が逃げていい場所はこの無人島と海岸から100メートル以内の近海までだ


はっきり言ってかなりハードなメニューだ


軍人達からしてみれば、絶対に捕まえられない獲物と110kgの重りを背負って、5時間ぶっ続けでトライアスロンをしているようなものだ


因みに俺は魔力を当然の如く禁止しているが、“本気で逃げている”


無人島の森では、天然の無造作に設置された樹海のハードル、流れる川に靴を重くされ、砂浜には足を取られ、海の中では全身の体力を奪われる


全身の筋肉を使う、まさしく、超ハードメニューと言えるだろう



結局、今日も俺を捕まえることができず、1日が終わった…


* * *


「あ〜楽しかったぁ〜ww」

夕食後、そんな事を言いながら俺は廊下を歩いていた

軍人達とトレーニングするのは俺にとっては遊び相手になってもらっているようなものなのだ

とは言っても、段々と軍人達の体力、足の速さ、初見の環境への適応力が徐々に上がっており、危うかったところもあった

この調子だと残り3日足らずで、俺に“追いつくこと”ができるだろう

そこから俺を捕まえられるかどうかは、また別の話だ

明日からはさらに楽しい“ゲーム”をプレイできるだろう

「明日が、楽しみだなぁ〜ww」

………………………………………………………
………………………………………………………………
………………ふん…


“そろそろいいかな”?


2、3歩進んだところで、クリッ‼︎と後ろを向き、フルスロットルで走り、ギョッとなっている“標的”の背後を影のように回り込む


「何かご用ですか?“委員長さん”」


「バレてたの?
バレてないと思ってたんだけど…
いつから気づいてたの?」


「ん?
俺がリズの家に帰ってくるときに通った、リズの家の門の隣にある薔薇の木の後ろに委員長さんが隠れてたところから?」


「………………それ最初からね…」

「そういうこった」

ふん?
なんでか知らないがリズの家に帰ってきた時から、ずっと委員長さんに尾行されていたのだ

「で?なんで、尾行してたの?」

「……………ちょっとだけお願いがあって…」

「?お願い?」


* * *


「せいやぁぁああああ‼︎」

「よっと。その勢いは声だけですか?」

「…やっぱり、そう簡単には当ててもらえないのね…」

「まぁ、俺としてはこれ仕事だしね
それに、最初に“組手”やりたいって言ったのは委員長さんでしょう?
もっと頑張らないと当たらないよ〜?」

「まだまだぁあ‼︎‼︎」

俺と委員長さんはリズの家の庭で“組手”をしていた

「んじゃ、そろそろ俺も手加減はするけど攻撃させてもらうよ?」

「…手加減は無用」

「へぇ〜」

俺は緩めていた手の形を手刀に変え、“腕の力を完全にゼロにする”

「…んじゃ…………いくよ…?」

「…いつでも準備はできている」

「んじゃ、遠慮なく‼︎」

俺はブンッ‼︎と右腕を委員長さんに向けて振る

腕の力を完全にゼロにしているため、腕は、あたかも関節がないかのような動きをし、ムチのように委員長さんの肩のあたりに襲いかかる

だが、委員長さんはこれをなんとか腕でガードし、受け止めようとする

なかなかいい反応速度だな…

「⁉︎」

だけど…

「反応が間に合ったからといって油断は禁物ですよ?」

俺が振るった右腕は、委員長さんは確かに反応した

だが、俺の腕は、委員長さんの腕に当たる直前、膝がカクンッ‼︎と曲がり、そのまま膝を引き、手の形を掌握に変える

そして、腕に力を入れ、真っ直ぐ腹部に向かって打ち込む

コレを委員長さんがなんとか足でガードする

「くっ‼︎」

「へぇ?なかなかやるね?
フェイントにも反応できるとは」

「………コレでも、空手やってるからね…‼︎」

「ふん?じゃあ、こんなのはどお?」

俺は、ガードしている委員長さんの足をガッチリと掴み、グイッ‼︎とそのまま右に回転させる

委員長さんはバランスを崩し、よろめく

そして、よろめいた瞬間、俺は右足を一歩踏み出し、フリーになっている委員長さんの肩のあたりに、真っ直ぐ、左手の手刀で突く

が、それを待っていたかのように、委員長さんは左手を流れるように両手で握り、クルリと背を向けると、そのまま、腕を引くように俺の体を軽々と持ち上げ、地面に叩きつけられる

柔道の背負い投げ、まさにそれだった

「空手だけじゃねぇのかよ」

「誰も、空手だけとは言ってない‼︎」

そして、地面に倒れている俺に向かって、まるで瓦を破るように拳が繰り出される

その拳を右手で受け止め、弾き返し、その勢いで起き上がり、少々跳びのき、距離を取る

「なかなかやりますっっ⁉︎」

その瞬間、異変に気づいた…

その異変…

もう、見慣れたような異変だ…

俺は思った…


“普通このタイミングでgate開くか”?


gateは、俺のちょうど真後ろ、数メートル離れた場所で開き、完全に委員長さんの視界に入ってしまった…

そして、gateから真白な巨大な蛇頭が出てきた…

頭が一つ出たと思いきや、gateの隙間から別の蛇頭が覗き、段々とgateが巨大化し、もう一つ、またもう一つ、と合計8つの頭を持つ白蛇…


白銀の八岐大蛇ヤマタノオロチが姿を現した…


そして、その八岐大蛇の首の付け根、8つの首が1つに交わる場所に白い巨大な“蕾“が現れ、パッ‼︎と花弁が開き、真白な睡蓮が咲く…


そして、その睡蓮の中に、人影が映る…


その影は、美しい女性の形をしており、髪がうねうねと奇妙に動き、その神一本一本が“蛇”でできていることが分かる…


「……………………今回は……“メデューサ”か…」


そして、女性はゆっくりと目を開け、黄金の瞳を輝かせた…


『ッッッッシャァアアアアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』

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