悪夢を食べるのは獏、命を狩るのがヴァルキュリア
不味い悪夢を食うのに疲れた獏(ばく)は、塩辛い哀しみを食うことにした。
即、関平は、父の関聖帝君を通じて東王父より、同年代を生きた神医華佗が訪れる。
が、
「何じゃぁ、つまらん。ただ寝とるだけではないか」
「寝ている?記憶とかは?」
「ん?何ともないわ。ピンピンしとるな」
「ならば、何故‼」
子龍は訴える。
「……あれは二つの魂がほぼ融合しておる」
「あれとは⁉」
「お主の嫁は、あれではないがあれでもある」
「意味が解らない‼」
じれたように怒鳴る子龍に、華佗は後ろを振り向いた。
「お主、あの女人が幸せにならぬように、逃げる女人に、東王父様より借り受けた厄介なモノを憑けたな」
姿を見せたのは関聖帝君と、その側近の周倉が捕らえてきた長身の男。
小野篁である。
「知らぬ‼獏など憑けておらぬ」
「わしは獏とは言うとりはせんが……?」
「……‼……知らぬ‼」
「どう言うことだ‼」
子龍は男の元に寄り、胸ぐらを掴んだ。
三国時代でも長身の方の子龍よりも、篁は長身である。
しかし、一応武芸に秀でていると言われていても、直に戦場に立つ子龍とは気迫も実力も段違いに違う。
子龍は片腕でつり上げる。
「うっ…ぐぐっ……」
「……言え……言わねば殺す……」
「……や……やめっ……てくれ……」
「子龍、やめよ」
関聖帝君に手を出されるが、
「黙れ‼貴様には聞いていない‼こやつに聞いているのだ‼何をした⁉私の妻に‼」
「あの女は……」
「妻をあの女呼ばわりするな‼」
「子龍どの」
怒り狂う子龍を、関聖帝君と孔明が引き剥がす。
「……篁どの?」
首をかしげ微笑む。
「もしかして貴方は……転生を繰り返し、自分から逃げようとした子龍どのの奥方に、役目を果たさぬ獏を文字通り縛し、子龍どのの奥方に憑けたのではありませんか?」
「なっ……」
「そう言えば、400年程前に、役目に飽いたと言う獏がいたと聞いています。『悪夢は不味い』と言う獏に、自分の遊びの対象である桃子どのの傍にいればいいと……言ったのですね?」
「……め、目印だった……」
「どういう意味だ‼」
怒鳴り付けようとした子龍に、慌てて関聖帝君は押さえ込む。
「……私から、あれは逃げる。だから……解るように……」
「貴方のなさっていることは、嫌がられるでしょう。ストーカーですよ?犯罪者ですよ?その上に罪を重ねますか?彼女が地獄に落ちるような苦しみを何度も味わわせ、自分の元に堕ちてくるのを望んだのですか?それこそ、まさに地獄の所業ですね」
「あれは‼」
「自分のものだとか言いませんよね?貴方のもの?おかしいでしょう?桃子どのはものではない‼」
孔明は言い放つ。
「どれ程、桃子どのを弄べば良いのです?彼女は一個人で、貴方だけのおもちゃじゃないんですよ⁉ガキが……桃子どのを馬鹿にするのをやめるが良い‼」
「わ、私にとって……」
「利用しやすい、戯れの相手だったのですよね?これが、閻魔大王の腹心ですか、ちゃんちゃらおかしい」
捕らえている、周倉に告げる。
「申し訳ありません、この方は私の妻の友人ですので、二度と会いに来ないで下さい。彼女が生まれ変わる度に苦しみに突き落とし、それを見ていた人間を私は好きになれませんし、彼女に会わせません‼」
「この男はどうなんだよ⁉」
示された腹心に、孔明は、
「悔やみ、哀しむのも良いですが、もう少し柔軟さが欲しいですね。で、身勝手な男は帰って下さい。東王父様より、閻魔大王の元に連絡が参りますのでよろしくお願い致します」
慇懃無礼に追い払った後、
「老師。桃子さんは……」
「どこかに隠れておるが、早めに捕らえて引き離さないと、元は人間の女人の心が、獏に飲まれてしまう。元々自我の薄い存在。消えてしまうであろう」
「では‼」
「待て。獏は警戒心が強い。そう易々と捕まらぬ。それに現在女人に取り憑いておると言うことは、その哀しみを美味と思っていると言うこと……」
子龍は告げる。
「では、私が‼妻に会います‼」
「どうすればよいのでしょう?」
「……仕方がないのう……」
首をすくめ、方法を説明するのだった。
が、
「何じゃぁ、つまらん。ただ寝とるだけではないか」
「寝ている?記憶とかは?」
「ん?何ともないわ。ピンピンしとるな」
「ならば、何故‼」
子龍は訴える。
「……あれは二つの魂がほぼ融合しておる」
「あれとは⁉」
「お主の嫁は、あれではないがあれでもある」
「意味が解らない‼」
じれたように怒鳴る子龍に、華佗は後ろを振り向いた。
「お主、あの女人が幸せにならぬように、逃げる女人に、東王父様より借り受けた厄介なモノを憑けたな」
姿を見せたのは関聖帝君と、その側近の周倉が捕らえてきた長身の男。
小野篁である。
「知らぬ‼獏など憑けておらぬ」
「わしは獏とは言うとりはせんが……?」
「……‼……知らぬ‼」
「どう言うことだ‼」
子龍は男の元に寄り、胸ぐらを掴んだ。
三国時代でも長身の方の子龍よりも、篁は長身である。
しかし、一応武芸に秀でていると言われていても、直に戦場に立つ子龍とは気迫も実力も段違いに違う。
子龍は片腕でつり上げる。
「うっ…ぐぐっ……」
「……言え……言わねば殺す……」
「……や……やめっ……てくれ……」
「子龍、やめよ」
関聖帝君に手を出されるが、
「黙れ‼貴様には聞いていない‼こやつに聞いているのだ‼何をした⁉私の妻に‼」
「あの女は……」
「妻をあの女呼ばわりするな‼」
「子龍どの」
怒り狂う子龍を、関聖帝君と孔明が引き剥がす。
「……篁どの?」
首をかしげ微笑む。
「もしかして貴方は……転生を繰り返し、自分から逃げようとした子龍どのの奥方に、役目を果たさぬ獏を文字通り縛し、子龍どのの奥方に憑けたのではありませんか?」
「なっ……」
「そう言えば、400年程前に、役目に飽いたと言う獏がいたと聞いています。『悪夢は不味い』と言う獏に、自分の遊びの対象である桃子どのの傍にいればいいと……言ったのですね?」
「……め、目印だった……」
「どういう意味だ‼」
怒鳴り付けようとした子龍に、慌てて関聖帝君は押さえ込む。
「……私から、あれは逃げる。だから……解るように……」
「貴方のなさっていることは、嫌がられるでしょう。ストーカーですよ?犯罪者ですよ?その上に罪を重ねますか?彼女が地獄に落ちるような苦しみを何度も味わわせ、自分の元に堕ちてくるのを望んだのですか?それこそ、まさに地獄の所業ですね」
「あれは‼」
「自分のものだとか言いませんよね?貴方のもの?おかしいでしょう?桃子どのはものではない‼」
孔明は言い放つ。
「どれ程、桃子どのを弄べば良いのです?彼女は一個人で、貴方だけのおもちゃじゃないんですよ⁉ガキが……桃子どのを馬鹿にするのをやめるが良い‼」
「わ、私にとって……」
「利用しやすい、戯れの相手だったのですよね?これが、閻魔大王の腹心ですか、ちゃんちゃらおかしい」
捕らえている、周倉に告げる。
「申し訳ありません、この方は私の妻の友人ですので、二度と会いに来ないで下さい。彼女が生まれ変わる度に苦しみに突き落とし、それを見ていた人間を私は好きになれませんし、彼女に会わせません‼」
「この男はどうなんだよ⁉」
示された腹心に、孔明は、
「悔やみ、哀しむのも良いですが、もう少し柔軟さが欲しいですね。で、身勝手な男は帰って下さい。東王父様より、閻魔大王の元に連絡が参りますのでよろしくお願い致します」
慇懃無礼に追い払った後、
「老師。桃子さんは……」
「どこかに隠れておるが、早めに捕らえて引き離さないと、元は人間の女人の心が、獏に飲まれてしまう。元々自我の薄い存在。消えてしまうであろう」
「では‼」
「待て。獏は警戒心が強い。そう易々と捕まらぬ。それに現在女人に取り憑いておると言うことは、その哀しみを美味と思っていると言うこと……」
子龍は告げる。
「では、私が‼妻に会います‼」
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