異世界八険伝

AW

49.いざ王都へ

 召喚から今日で31日目だ。
 早朝、ボク達はギルドでステータスの更新をした。レベルも上がったし、新しいスキルや称号も増えていた。


 ◆名前:リンネ
 年齢:12歳 性別:女性 レベル:25 職業:勇者
 ◆ステータス
 攻撃:8.75(+4.50、風刃/初級)
 魔力:45.60(+3.50、効果+10%)
 体力:8.50
 防御:8.60(+4.80)
 敏捷:7.55
 器用:2.35
 才能:3.00(ステータスポイント0)
 ◆先天スキル:取得経験値2倍、鑑定眼、食物超吸収、アイテムボックス
 ◆後天スキル:棒術/中級、カウンター、雷魔法/中級、ヒール/初級、水魔法/中級、浮遊、召喚魔法/中級、暗視
 ◆称号:ゴブリンキラー、ドラゴンバスター、女神の加護を持つ者、大迷宮攻略者、特別捜査官、ティルス市長


 ◆名前:メル
 年齢:14歳 性別:女性 レベル:19 職業:メイド
 ◆ステータス
 攻撃:31.20(+5.20、風弾/中級)
 魔力:11.50
 体力:8.15
 防御:9.95(+2.80)
 敏捷:10.05(+2.00)
 器用:6.90
 才能:2.00(ステータスポイント0)
 ◆先天スキル:気配察知、食物超吸収、鬼化
 ◆後天スキル:闇魔法/中級、暗視、重撃
 ◆称号:青の召喚者、大迷宮攻略者、特別捜査官、ティルス副市長

[重撃:破壊の付加ダメージ+5%]


 ◆名前:アユナ
 年齢:11歳 性別:女性 レベル:18 職業:天使
 ◆ステータス
 攻撃:3.20
 魔力:38.00(+3.50、効果+10%)
 体力:6.65
 防御:5.55(+3.20、魔法防御+3.00)
 敏捷:4.85
 器用:2.10
 才能:2.00(ステータスポイント0)
 ◆先天スキル:精霊召喚/中級、光魔法/中級
 ◆後天スキル:風魔法/初級、天使の祝福
 ◆称号:森に愛されし者、女神の加護を持つ者、大迷宮攻略者、金の召喚者

[天使の祝福:パーティのHP/MP+10%]


 ◆名前:レン
 年齢:14歳 性別:女性 レベル:16 職業:剣士
 ◆ステータス
 攻撃:15.50(+3.00 +3.00)
 魔力:1.30
 体力:5.60
 防御:4.25(+4.50、魔法防衛+2.50)
 敏捷:8.10(+2.50 +2.50)
 器用:1.45
 才能:2.00(ステータスポイント0)
 ◆先天スキル:二刀流剣術/中級、隠術、食物超吸収
 ◆後天スキル:暗視、雷魔法/初級、連撃
 ◆称号:赤の召喚者、大迷宮攻略者、特別捜査官、ティルス教育大臣

[連撃:連撃によるダメージ+5%]


 ◆名前:アイ
 年齢:11歳 性別:女性 レベル:11 職業:識者
 ◆ステータス
 攻撃:1.90(+2.10)
 魔力:11.30(+1.00)
 体力:4.75
 防御:3.00(+3.20、魔法防御+3.00)
 敏捷:3.30
 器用:1.75
 才能:2.00(ステータスポイント0)
 ◆先天スキル:情報収集、念話、食物超吸収
 ◆後天スキル:戦術/略、火魔法/中級
 ◆称号:黒の召喚者

[戦術/略:状況把握・推理力が増加する]




 明け方、ボクとメルちゃんの2人で北端の町ヴェルデと城塞都市チロルに転移して奴隷を購入、ギルドへと保護を依頼した。奴隷商人は冒険者になるそうだ。悪徳商人ではなかったので、対応はギルドに任せた。

 その後、エンジェルウイングのアリス団長に会い、支部の設立許可をもらった。成行でアユナちゃんが新団長になった。大丈夫かな……。

 さらに、北の離島ノースリンクへ転移して奴隷2人を購入した。珍しい狐の獣人だった。ノースリンクにはギルドが無いため、本人達の意向も確認した結果、ティルスへと連れて戻ることにした。


 ティルスでの休憩オフロ後、改めてエンジェルウイングへの加入希望者を確認したところ、20人の大所帯になっていた。

 結局、ティルス支部として13人が残り、7人がボク達と王都に向かうことになった。メンバー全員には、お揃いの軽皮鎧と短剣又は杖を装備してもらった。
 ティルス支部のメンバーは、しばらくはギルドを本拠地にティルスの警護と内閣の補佐をするらしい。



「同行者の皆さん、自己紹介をお願いします」


「マールです。冒険者ギルド登録したばかりですが、リンネ様のお役に立てるよう頑張ります!経理と、少しですが人の心の表層を読むことができます」

「読心術の魔眼!?」

「はい。目を合わさないと使えませんが」

「でも凄い!よろしくね!」

 ◆名前:マール  /人族
 年齢:15歳 性別:女性 レベル:1 職業:商人
 ◆ステータス
 攻撃:0.20(+1.80)
 魔力:0.90
 体力:1.15
 防御:0.25(+2.50)
 敏捷:1.05
 器用:2.30
 才能:1.50
 ◆先天スキル:魔眼/読心
 ◆後天スキル:経理、家事、接客
 ◆称号:


「リリィと言いますぅ。マルねぇの妹分ですぅ。冒険者登録したら先天スキルに回復魔法って出てびっくりですぅ。練習して役に立てるようにしますぅ」

「こつこつ頑張ろう!よろしく!」

 ◆名前:リリィ  /人族
 年齢:13歳 性別:女性 レベル:1 職業:僧侶
 ◆ステータス
 攻撃:0.15
 魔力:1.40(+2.10)
 体力:0.35
 防御:0.20(+2.50)
 敏捷:0.65
 器用:3.15
 才能:1.30
 ◆先天スキル:回復魔法/初級
 ◆後天スキル:家事
 ◆称号:


「リンネ様、エルフのアディと申します。アルンから逃げてくる途中で奴隷にされました。未熟者ゆえ、アユナ様のような精霊魔法は使えませんが、役に立てるよう頑張ります」

「浮遊が出来るんですね!かっこいい!アユナちゃんのエルフっ娘教育もお願いします!」

「エルフっ娘教育がどんなのか分かりませんが、頑張ります!」

 ◆名前:アディ /エルフ
 年齢:22歳 性別:女性 レベル:8 職業:魔法使い
 ◆ステータス
 攻撃:0.70
 魔力:22.55(+2.10)
 体力:1.50
 防御:1.35(+2.50)
 敏捷:3.75
 器用:2.80
 才能:1.60
 ◆先天スキル:風魔法/中級、精霊対話
 ◆後天スキル:弓術/中級、細剣術/初級、浮遊
 ◆称号:


「ドワーフのダフと申す。勇者様には命を救って頂き感謝申す。斧と鍛冶をたしなんでいる。宜しく申す」

「鍛冶ですか!素材があるのでいつかお願いするかもです!宜しくお願いします!」

「もう少しで鍛冶スキルが上級に上がるので、是非に約束申す!」

 ◆名前:ダフ /ドワーフ
 年齢:28歳 性別:男性 レベル:12 職業:斧使い
 ◆ステータス
 攻撃:8.50(+1.80)
 魔力:6.30
 体力:7.05
 防御:3.00(+2.50)
 敏捷:0.45
 器用:4.75
 才能:1.40
 ◆先天スキル:火魔法/初級
 ◆後天スキル:斧術/中級、鍛冶/中級
 ◆称号:


「おいらノームのアドーバだっぺ。得意とまでは言えねえが土魔法が使えるっぺ。宜しくお願いするっぺ!」

「土魔法は便利だね!宜しくっぺ!」

 ◆名前:アドーバ /ノーム
 年齢:17歳 性別:男性 レベル:6 職業:魔法使い
 ◆ステータス
 攻撃:1.10
 魔力:9.85(+2.10)
 体力:2.30
 防御:1.85(+2.50)
 敏捷:2.10
 器用:1.90
 才能:1.45
 ◆先天スキル:聴覚強化、臭覚強化
 ◆後天スキル:短剣術/初級、土魔法/初級
 ◆称号:


「クルンです。狐さんです。えっと、リリィちゃんと友達になりました。動物さんと話せます。占いが得意です。よろしくです」

「可愛い!!可愛い!!可愛い!!」

「あの~。触りすぎです。私、魅了スキルがあります。可愛くないのにモテます」

「え?可愛いよ?ステータス見ると魔法の方が得意そうだね?同級生だし、よろしくね!」

 ◆名前:クルン /狐人族
 年齢:12歳 性別:女性 レベル:6 職業:占術師
 ◆ステータス
 攻撃:1.10(+1.80)
 魔力:12.75
 体力:2.40
 防御:1.85(+2.50)
 敏捷:4.65
 器用:3.30
 才能:2.00
 ◆先天スキル:獣話、占術/中級
 ◆後天スキル:短剣術/初級、暗視、魅了
 ◆称号:*


「クルスです。クルン様の双子の弟です」

「双子の弟さん?確かに似てるね?宜しく!」

「あっ、僕も……もふもふしてほしいなって……」

「ん?」

「いえ、何でもありません……よろしくです」

 ◆名前:クルス /狐人族
 年齢:12歳 性別:男性 レベル:6 職業:槍使い
 ◆ステータス
 攻撃:2.95(+1.80)
 魔力:1.75
 体力:2.60
 防御:2.30(+2.50)
 敏捷:4.85
 器用:2.10
 才能:1.60
 ◆先天スキル:獣話、火魔法/初級
 ◆後天スキル:槍術/中級、暗視
 ◆称号:



(リンネさん!あの白髪の狐人族の女の子クルンさんですが……)

(うん?めっちゃ可愛いよね!もっふもふ!)

(いえ……そうじゃなくて、才能が2.0ありますよ)

(珍しいね、かなり高い。しかも可愛い!)

(多分、白の召喚者ですよ)

(えっ!?誰が召喚したの!?)

(それは分かりませんが、メルさん、レンさん、アユナちゃん、わたし……皆、才能が2.0ですからね。他に見たことない数字でしょう?)

(それはそうなんだけど……もしそうなら、この先何かが起こりそうだね。アユナちゃんみたいに……。なるべく一緒に居た方がいいね)

(そうですね。レベルアップも必要ですが、魔法も習得させると良いかもしれません)

(うん、分かった!ありがと!)


 ボク達は2台の馬車に分乗することになった。
 先頭車には、ボク達5人にクピィとクルンちゃんが乗る。狐っ娘が占いで決めた結果だ。馭者はメルちゃんとレンちゃんが代わりばんこ。
 後続車には、残りのエンジェルウイングメンバーが乗る。マールさんがまとめ役になって、今後の活動について話し合うみたい。双子の弟のクルスくんが少し寂しそう。馭者はドワーフのダフさんとノームのアドーバさんが代わりばんこ。

 そして、ティルスの皆さんに別れを告げ、いよいよ王都に向けて出発だ。何だかんだで既に午前11時になっていた。

「王都に向けて、出発~っ!」

[メルがパーティに加わった]
[アユナがパーティに加わった]
[レンがパーティに加わった]
[アイがパーティに加わった]
[クルンがパーティに加わった]
[マールがパーティに加わった]
[リリィがパーティに加わった]
[アディがパーティに加わった]
[ダフがパーティに加わった]
[アドーバがパーティに加わった]
[クルスがパーティに加わった]

 なんだこりゃ。12人パーティなんてあるんだね。



 ★☆★



 ガタンゴトン
 ガタンゴトン……

 心地よい馬車の震動故か、馬車酔いの故か、ボク達はすやすやとお昼寝タイムを満喫していた。

 現れる魔物は低レベルばかり。
 近づいて来たところを馭者のメルちゃんが闇魔法で倒していく。黒い矢がヒューンと飛んでいく。地味に追尾機能があるみたい。魔力量をあまり込めずに複数放っているのは、練習なのかな。

 レンちゃんとアイちゃんは、科学について議論を戦わせている。ボクはそれをぼんやり聞きながら、壁に寄り掛かり、脚を伸ばして夢心地。太股の上にはアユナちゃん、膝の上にはクルンちゃんが寝ている。脚が少し痺れてきた。



 突然のメルちゃんの一声で皆が目覚めた。

「雨が降ってきました!どこかで雨宿りをしましょう!後続車にも合図をします」

 ほんとだ。音が下からではなく上から聞こえてくる。雨が馬車の幌を打ち付けているようだ。

 昼過ぎなのに、いつの間にか空が暗い。あっと言う間に雨足が強まり、幌を騒音レベルで叩きだす。


「メルさん、この先街道を南に曲がると洞窟があるみたいですよ」

 アイちゃんのナビは相変わらず優秀だね。

「分かりました、洞窟へ向かいましょう」



 ★☆★



 街道を逸れること南へ約1km、そこには馬車ごと入れるような巨大な洞窟が口を開けていた。

「何だか不気味な洞窟ね」

『罠とか?』

「いきなりの雨、近くに洞窟……ボク達は誘い込まれた可能性があるね」

「リンネさん!洞窟の奥に気配……4つ!」

「クピィは?」

『鳴いてないよ!魔族じゃない!』
 クピィは今、アユナちゃんに抱かれている。

「エンジェルウイングの皆さん!ボク達は奥を見てきます。入口で待機していて下さい!」

 ボク達先頭車の6人は、装備を固めて奥へと進む。


『誰だ!!』

 奥から誰何の声が上がる。人間、男性……もしかして盗賊の根城だったりする?

「旅の者です。突然の荒天のため雨宿りを余儀なくされました。宜しければ場所をお借りできないでしょうか?」

 メルちゃんが用心深く名乗り出る。

『そうでしたか。俺達も雨宿り中だし、この洞窟は俺の家じゃないから構いませんよ!』

 緊張が解けたのか、笑顔で男性が近づいてきた。後ろに3人が続く。話し掛けてきたのは20歳前後の赤髪の青年。剣士のようだ。他にも盾持ちの男性、槍使いの男性、ローブ姿の綺麗な女性がいる。実力のありそうな4人パーティだ。

「ありがとうございます。お言葉に甘えさえて頂きます!」

 ボクも話し掛けてみた。男性陣の視線を感じる。ローブの女性が赤髪の青年に肘鉄を食らわせている。何か悪いこと言っちゃったかな!?

『可愛いお嬢さん方、ここでお会いしたのも何かのご縁。宜しければ少しお話しませんか?』

 ローブの女性がボク達に話し掛けてきた。アイちゃんやメルちゃんをチラ見したら頷いている。クルンちゃんも。

 その後ボク達は、旅の目的などは伏せながら彼らと情報交換をした。

 パーティ『竜の牙』は、王都を代表する冒険者で、特にリーダーである赤髪の青年ハルトはS級らしい。確かに皆さん強そうだ。これから南へ魔族の討伐に向かうそうだ。

『それにしても、この時期に王都に入るのは失策じゃないのか?』

「政争の件ですか?」

『そうだ、知っててあんな伏魔殿に行くのか!』

「行きたくないんですが……やらねばならないことがありますので」

『そうか……今は手当たり次第に逮捕される状況だからな。もし何かあれば、ハルトの彼女だと名乗れ。悪いようにはされないだろうよ』

 横からローブの女性、レミーさんが杖で頭を殴ってる。あれは痛そうだ。お陰でこちらの女性陣の殺気も一瞬で消えた。恐い……。

「南には魔族がいるんですか?」
 話題を変えてみる。

『あぁ。魔人ガルクというのが魔族を率いて暴れているそうだ。既に近くの町や村は滅んでいるらしい』

「ガルク!!」

『知っているのか!?』

「わたしが話します。アイと申します。
 魔人ガルクは、魔王直属の精鋭。魔人序列第5位で、推定レベル120、魔力値200です。正直に申し上げて、1国を軽く滅ぼす力を有しています」

『そんなに強いのか!!』

「ボク達も協力しましょうか?」

「リンネ様。大丈夫です。私、占ったです。竜の牙さんは勝ちます。だから王都に行くです」

 クルンちゃんの占い?大丈夫なの!?
 メルちゃんもアイちゃんも頷いている。このパーティ、凄く強いんだね。

『情報ありがとな。完全に油断してたぜ。全力で戦って魔人キラーの称号を手に入れてやる!』

 多分、そんな称号ないけど、がんばれー。

 その後、夜になっても雨は止まなかった。結局、エンジェルウイングの仲間達も集まって洞窟で夜営をすることになった。




 ボクは闇の中をさまよっていた。

『…………ネ…………て!』

 声が聴こえる。聞き覚えのある声……。
 ボクは闇の中を声がする方に走る。

『…………ネち……けて!』

 近い!闇を掻き分け走る。走らなければ見失う。

『リ……ネちゃん……すけて!』

 ミルフェちゃん?この声はミルフェちゃんだ!

『リンネちゃん!助けて!』

 居た!闇の中、闇の檻に囚われてる!ここはどこ!?ミルフェちゃん!ここはどこ!?





『リンネちゃん!リンネちゃん!リンネちゃん!』

「ん?」

『良かった!!』


 アユナちゃん?あ……夢だったのか……。

 いや、これは夢じゃない!!
 ボクは暗闇の中でミルフェちゃんに会ったことを皆に伝えた。皆は信じてくれた。

「占いましたです。王宮の地下牢です。王女様は監禁されてるです。でも、何か変です」

「えっ!?」

 なぜ!?政争!?地下牢!?
 ミルフェちゃんが何をしたの!平和の為に、皆の為に頑張ってたのに!

「急ごう!!早く助けなきゃ!!」

 明け方、黒々と空を覆っていた雲は薄くなり、暁の光が漏れていた。雨は……大丈夫!出発しよう!

『もう行くのか。王都ではギルド内しか安全な場所がないと思えよ。くれぐれも兵士や役人達には気を付けてくれ』

「ありがとうございます。竜の牙さんも、ご武運を祈ってます!頑張って下さいね!」



 その後、ボク達は馬に回復魔法をかけ続け、その日の夜遅くに王都に到着した。
 そのときボクは、一刻も早くミルフェちゃんを助けることしか考えていなかった。

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