日常日記

ノベルバユーザー173744

妹の恐怖体験(昔の姉の思い込みを訂正しましょう)

最近、妹とよくお互いに相談したり一緒にしている戦国時代のゲームの話をするのだが、ふと、私は、

「兄夫婦に対してストレス過多で、パニックを起こすから会いたくない。怖いのは、兄」

と言うと、

「うーん、小さい時怒られて叩かれたから、とーちゃんが怖い」
「まぁ、私も左目拳で殴られた」
「でも、にいちゃんの方が怖いんかね」
「星を何度も殺しかけたけん。いくら噛まれても、星はうちの兄弟や」

と答える。
星は15年前に逝った愛犬である。
未だにペットロスに苦しむ私である。
すると、

「そう言えば、手を挙げんけど、怖い人1人おったわ」
「誰よ?」
「姉ちゃん」
「ハァ?私のキンキンごえかね?」
「違うよ〜。姉ちゃん、本気で怒った時は、段々声が低くなるんよ」

そうだっただろうか?

考え込む。

「一番最初に本気でキレてた時には、部活の時で、他の先輩が大泣きしている横で、『ところで、皆?何で部長が怒っているか、副部長が泣いているか分かっているかしら〜?』って、普通の喋り方、しかも丁寧語でいわれた。うちらは何も知らないから、幼馴染みと後輩2人の4人で首を振ったら、それ以外を見て、ピアノの上に積み上げていた楽譜をバーン!って叩いて、『馬鹿は馬鹿だけに、アッタマ悪いのねぇ……特に〇〇。あなたが部活に居られる理由教えて挙げましょうか?毎回問題を起こすたびに、私が頭を下げに回って、それを聞いたお姉さんが私に謝ってきてくれてたのよ〜?賢兄愚弟ならぬ……だと思わない?』って」
「うーん、言ったねぇ?」
「そしたら次の瞬間、近くにあった机を投げつけて、『オラァ、てめぇ話も聞かんのか!敬語なんかかったるいわ!おい、これを、お前らの顔に投げつけたろか、おどらぁぁ!』って椅子を握って低い声で吼えたんだよ。『おい、こいや、馬鹿に付ける薬はない。もう、2年も矯正しても治らなかったんや、最後は拳やろが……反省せんなら、拳で言うことを聞かせるわ……言いたいことはないよな?今まで散々やってきたんや。言い訳しかならんよなぁ?あぁぁ?』って」
「言ったっけ?」

うん。楽譜は叩いた。机も椅子も投げた。
記憶はある。
しかし、そんなこと言った記憶がない。

「忘れとったの〜?姉ちゃんもっと恐ろしいことしようとしたじゃん!」
「記憶にございません!」

とある過去の政治家さんの名台詞を真似た。
すると妹が、

「突然、グランドピアノを持ち上げて、動かないようにしてる足の部分を蹴り飛ばして、ピアノ本体を押して反省してなかった子にぶつけようとしたじゃん!」
「ハァ?」

記憶にない。
しかも焦ったように、

「先輩たちが慌てて止めようとしたら、ピアノ用のあの重い椅子を振り回して、今度はエレクトーンのところに行って……部長が『あんたたち!刹那に謝りなさい!ここの備品を壊したら、責任は部活全体よ!』って言うことで、その子達謝ったら、『てめぇらが今謝る相手は違うやろが?職員室に行って来いや!』って、低い声で出入り口示した楽譜投げたら逃げ出したんよね。で、姉ちゃんはバッタンキューしたんよ」
「……記憶にございません!」
「あったら姉ちゃん、『申し訳ありませんでした。あの世に行ってまいります』ってなると思う。鬼神だったから……怪我人居なくてよかったよ」
「穴があったら入りたい……私はキレやすいんだね……」

遠い目をする。

昔の自分の記憶ではキンキンごえで怒鳴っていたつもりだったのだが、妹曰く、本気でキレると段々声が低くなり、手当たり次第武器にして攻撃するらしい。
普段は、キンキンごえが武器なのだが、それ以上に厄介な武器を使うらしい。
グランドピアノやエレクトーンを動かすと言うのも、もし傷が付いていたら、どうするつもりだったんだろうと今更ながらゾッとした。
ちなみにエレクトーンは当時の価格で270万円していたらしい。
グランドピアノはピンからキリまであるけれど、いい値段はしそうである。

「でも、それだけストレス溜めてたんだよ〜今も溜めすぎて、物を投げたらダメだよ?特にテディベアを投げたらベアちゃんたち泣くよ?」
「……気をつける……」
「それに、姉ちゃんにはうちがおるんやけんね。いつでも愚痴言ったらいいよ」
「……いつも泣いてばかりでごめん……」
「私の愚痴を聞いてくれるじゃん。じゃぁね?無理は絶対ダメだよ?寝るんだよ?」

と念を押された。
私は友人にも恵まれているけれど、妹にも恵まれているのだと改めて思ったのだった。



しかし、キレた後の記憶が途切れ途切れだったのと、物を振り回し、投げるほどストレスを溜めていたのだと中学校の自分が怖かった。
家では投げませんよ。うん。

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