音楽初心者の僕がゲームの世界で歌姫とバンドを組んだら
Track.09 出会いをテーマに
結局音楽の知識が全くない僕は、どちらのパートにつくこともなく、何と作詞を任されることになった。
「ねえ僕なんかでいいのかな」
「何かカオル君はそういうのが似合いそうだなっと思ったので、任せることにしたんですよ」
「サラッと酷いこと言われた気がするけど、作詞って結構大きい役割だと思うんだけど」
「せやなあ。だから困ったときにはいつでも聞きい」
「うん。勿論初めてのことだから、皆を頼らせてもらうよ」
で、その日は曲の大まかなメロディーを決めて解散。その後僕は、リアラさんにわざわざ用意してもらった自分の部屋で、今日のおさらいをした。
「えっと、サビがロックで、AメロとBメロがバラード風になって……」
曲の大筋は決まったので、僕もすぐに歌詞を考えていかなければならない。どうやら最初の曲ってことで、『出会い』をテーマにした曲にするらしい。
(出会い……か)
出会いって言葉でまず浮かんでくる季節は、春だろうか? そこから更にイメージを膨らませるなら、えっと……。
「あまり難しく考えすぎると、頭が混乱しますよカオル君」
出会いから思い浮かぶワードをひたすら頭の中で上げていると、リアラさんがお茶を持ってきてくれた。
「うーん、分かっているんだけど、深く考えたほうがいいのかなって思って」
「あくまで歌詞なんですから、難しくしないほうが楽ですよ? あまり難しい言葉ばかり並べると、歌にならない場合がありますので」
「そっか。ちょっと頭を柔らかくしてみるよ」
「その意気です」
彼女が言ったとおり、少しだけ考えを柔らかくして、再び思い浮かばせてみる。すると少しだけさっきと違うワードが頭の中に浮かんできた。これならもしかしたら、いい歌詞が出来上がるかも知れない。
「どうやら、うまくいきそうですね」
「リアラさんのおかげだよ。ありがとう」
「そんな私は特になにもしていないですよ。私少しのアドバイスしかしていませんから」
「それだけでも充分だよ。僕分からないことばかりだから、ちょっとしたアドバイスでもすごく助かるんだよ」
「そ、そこまで言ってくれるとなんか恥ずかしいです」
まだ音楽を始めて一週間しか経っていない僕にとっては、こういったちょっとしたアドバイスでも大切にしていかないといけない。それは今後必ず必要になってくるし、なるべく早く皆に追いつきていかないと確実に足を引っ張ってしまう。それだけは避けたい。
「そういえばカオル君、少し話が変わりますけど、かれこれ一週間ログアウトしていませんけど、大丈夫なんですか?」
「そういうリアラさんだって同じじゃん。僕は戻らなくても平気ですし、リアラさんこそ大丈夫なの?」
「私は別に問題ないんです。もうここでの生活も慣れているんで」
「そういう意味で聞いたんじゃないんだけどなぁ」
「まあ深く考えないでください。それより今からちょっと出かけるんですけど来ますか?」
「どこにでかけるの?」
「きっとカオル君なら驚く所です」
■□■□■□
リアラさんの連れられてやって来たのは、確かに始めてきた人は必ず驚く場所だった。
「ここって、楽器屋?」
始まりの広場を出て少しした先に、二階建ての大きな建物が有り、そこには楽器屋『Sound f music』と書いてあった。そう、つまりここは二階建ての楽器屋だ。多くの人が出入りしている様子を見ると、結構人は来ているらしい。
「はい。ただし、普通の楽器屋ではありません」
「普通の楽器屋じゃない? どういう事?」
「ここはこのゲームで一番大きい楽器屋さんであり、その上かなりの種類の楽器が並べられているんです。私もよくここに買い物に来ているんですけど、まだどこに何があるのか把握できていません」
「へえ」
リアラさんの言うとおりこの楽器屋は、現実世界でいう大型のショッピングモールといったところだろうか。
「でもこの中から自分の物を見つけるって難しくない?」
「一応コーナーは楽器別に分かれているます。ドラム関係でしたら二階です。私はちょっと一階に用事があるので、後でそちらに向かいますね」
「分かった」
店に入ったところで一旦リアラさんと別れ、僕は彼女が教えてくれた通り二階へ。中は外見と変わらずかなり広く、全部回るのに二時間くらいはかかりそうだ。それにこの中からドラムの類を探すのなんて、余計に時間をかけてしまいそうだ。
「うーん、困ったなぁ」
リアラさんを呼ぶのもあれだし、これは自分自身の手で探すしかない。
「もしかして君も、ドラムをやっている人?」
「え? あ、そうですけど」
一人でどうしようか困っていると、突然誰かに後ろから声をかけられた。振り返ると、そこにはショートヘアーの女の子が立っていた。
「私も最近ドラムを始めたんだけど、君分かる?」
「ご、ごめん、僕もまだ始めて一週間なんだ。だから何にも分からないんだ」
「そっかぁ。じゃあ一緒に回ろう」
「え?」
突然の申し出にちょっと慌ててしまう僕。初心者同士なら、ちょっと会話しやすいし、回る相手がいるのは助かるけど……。
(リアラさん大丈夫かな?)
「ほら行こう!」
「え、あ、ちょっと」
どうしようか考えるまもなく、謎のドラム少女に連れられ、僕はドラムコーナーへと向かうことになった。
これが全ての始まりとなるとも知らずに。
「ねえ僕なんかでいいのかな」
「何かカオル君はそういうのが似合いそうだなっと思ったので、任せることにしたんですよ」
「サラッと酷いこと言われた気がするけど、作詞って結構大きい役割だと思うんだけど」
「せやなあ。だから困ったときにはいつでも聞きい」
「うん。勿論初めてのことだから、皆を頼らせてもらうよ」
で、その日は曲の大まかなメロディーを決めて解散。その後僕は、リアラさんにわざわざ用意してもらった自分の部屋で、今日のおさらいをした。
「えっと、サビがロックで、AメロとBメロがバラード風になって……」
曲の大筋は決まったので、僕もすぐに歌詞を考えていかなければならない。どうやら最初の曲ってことで、『出会い』をテーマにした曲にするらしい。
(出会い……か)
出会いって言葉でまず浮かんでくる季節は、春だろうか? そこから更にイメージを膨らませるなら、えっと……。
「あまり難しく考えすぎると、頭が混乱しますよカオル君」
出会いから思い浮かぶワードをひたすら頭の中で上げていると、リアラさんがお茶を持ってきてくれた。
「うーん、分かっているんだけど、深く考えたほうがいいのかなって思って」
「あくまで歌詞なんですから、難しくしないほうが楽ですよ? あまり難しい言葉ばかり並べると、歌にならない場合がありますので」
「そっか。ちょっと頭を柔らかくしてみるよ」
「その意気です」
彼女が言ったとおり、少しだけ考えを柔らかくして、再び思い浮かばせてみる。すると少しだけさっきと違うワードが頭の中に浮かんできた。これならもしかしたら、いい歌詞が出来上がるかも知れない。
「どうやら、うまくいきそうですね」
「リアラさんのおかげだよ。ありがとう」
「そんな私は特になにもしていないですよ。私少しのアドバイスしかしていませんから」
「それだけでも充分だよ。僕分からないことばかりだから、ちょっとしたアドバイスでもすごく助かるんだよ」
「そ、そこまで言ってくれるとなんか恥ずかしいです」
まだ音楽を始めて一週間しか経っていない僕にとっては、こういったちょっとしたアドバイスでも大切にしていかないといけない。それは今後必ず必要になってくるし、なるべく早く皆に追いつきていかないと確実に足を引っ張ってしまう。それだけは避けたい。
「そういえばカオル君、少し話が変わりますけど、かれこれ一週間ログアウトしていませんけど、大丈夫なんですか?」
「そういうリアラさんだって同じじゃん。僕は戻らなくても平気ですし、リアラさんこそ大丈夫なの?」
「私は別に問題ないんです。もうここでの生活も慣れているんで」
「そういう意味で聞いたんじゃないんだけどなぁ」
「まあ深く考えないでください。それより今からちょっと出かけるんですけど来ますか?」
「どこにでかけるの?」
「きっとカオル君なら驚く所です」
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リアラさんの連れられてやって来たのは、確かに始めてきた人は必ず驚く場所だった。
「ここって、楽器屋?」
始まりの広場を出て少しした先に、二階建ての大きな建物が有り、そこには楽器屋『Sound f music』と書いてあった。そう、つまりここは二階建ての楽器屋だ。多くの人が出入りしている様子を見ると、結構人は来ているらしい。
「はい。ただし、普通の楽器屋ではありません」
「普通の楽器屋じゃない? どういう事?」
「ここはこのゲームで一番大きい楽器屋さんであり、その上かなりの種類の楽器が並べられているんです。私もよくここに買い物に来ているんですけど、まだどこに何があるのか把握できていません」
「へえ」
リアラさんの言うとおりこの楽器屋は、現実世界でいう大型のショッピングモールといったところだろうか。
「でもこの中から自分の物を見つけるって難しくない?」
「一応コーナーは楽器別に分かれているます。ドラム関係でしたら二階です。私はちょっと一階に用事があるので、後でそちらに向かいますね」
「分かった」
店に入ったところで一旦リアラさんと別れ、僕は彼女が教えてくれた通り二階へ。中は外見と変わらずかなり広く、全部回るのに二時間くらいはかかりそうだ。それにこの中からドラムの類を探すのなんて、余計に時間をかけてしまいそうだ。
「うーん、困ったなぁ」
リアラさんを呼ぶのもあれだし、これは自分自身の手で探すしかない。
「もしかして君も、ドラムをやっている人?」
「え? あ、そうですけど」
一人でどうしようか困っていると、突然誰かに後ろから声をかけられた。振り返ると、そこにはショートヘアーの女の子が立っていた。
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