異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー

心労の神狼

1-15 朝日の魔法

「ささ、最後は朝日だよ!」
「ん?あぁ、そうだな」
未希にそう言われ朝日は自分の番が来たことに気が付いた。
(さて、俺の属性は何かなーっと)
そんなことを思いながら魔法陣に触れる朝日。
心なしか、いつもより若干テンションが高い。
朝日が魔法陣に触れた瞬間、体の中から何かが吸い取られているのが感じ取れた。
だがこれは...
(なるほどなこれが魔力か、んで、この感覚が魔法の発動って感じか?)
魔力を魔方陣に吸い取られながらもそんなことを考えるあたり、この男もブレないものだ。
すると魔法陣が一瞬激しい光を発した。
次の瞬間、魔法陣の上にあったのは、半透明なガラス細工のような剣であった。
「なんだこれ?」
思わず朝日がつぶやく。
「む、むぅ?これは光属性…ではないな、ならば無属性?いやしかし…」
ルシフルでさえこの状況は予想だにしなかったようだ。
次の瞬間、魔法陣の上にふわりと浮かぶそれが形を変え始めた。
ソレは少しづつ細く、鋭くなっていった。
数秒の時を経て変形したそれは半透明に透き通った結晶でできた剣だった。
「おぉ、これは珍しい、これはユニーク属性です」
「はっ!?」
思わずこれには朝日さえもびっくりだ。
「ふむ、確かこの魔法によく似たものが古い文献にありましたね、国王様?」
「あぁ、この魔法は書物にある初代勇者の魔法に酷似している」
どうやら初代勇者の魔法に近しいものだったらしい。
するとそんなところに一人のメイドがやってきて国王に耳打ちしている。
「むむ、気がつけばもうそんな時間か。よし、勇者様方とりあえず儀式はこれで終わりだ、食堂に昼食が用意してあるそうだから食べてくるといい。明日も招集をかけることになるだろうがよろしく頼む」
気付けばもうお昼時、国王がそういって締めくくる。
三人はメイドの先導で扉の方に向かっている。
「んー、そういわれて見ればおなか減ったなー」
「今日はこれで自由なんだよね?ウィリアムさん!後で訓練に参加させてください!」
儀式という格式ばったものが終わったからかそれぞれ自由に言葉を発している。
だが朝日は...
「あ、わるい。ちょっと先に行っててくんね?」
その言葉に怪訝そうな顔をする二人。
「どうしたの朝日?何か用事?」
「いや、ちょっと国王さんに聞きたいことがあってな」
「聞きたい事?」
「いや、ほんとにすぐに済むから先に食ってていいぞ?」
その言葉に納得のいったようないかないような微妙な顔をする勇二と未希。
「ほらいいから、行った行った」
そんな二人をさっさと国王の間から追い出そうとする朝日。
二人も何か察したのか渋々ではあるが国王の間を後にする。
(あ、二人に仲直りしとけって言ってなかったな)
まぁ、あの二人なら何とかなるだろうと考え眼前の国王を見据える。
そして
「さて、早速だが聞きたいことがあるんだ。全部はいてもらうぜ?」

to be continued...

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