異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー
0-2 目覚めと女神
ぬるま湯に浸かるような感覚の中、細身の少年、東山朝日は目覚めた。
「ン…?って、なんだここ?」
薄っすらと開けた目が眼前に広がる光景をとらえた瞬間、朝日は驚きに目を見張った。
そこは真っ白な空間だった。
見渡す限り何もない、だだっ広い空間。
視界を遮るものは何もなく唯々『無』だけが広がるその空間。
そんな中に朝日はポツリと白紙の紙に垂らしたインクのように存在していた。
「これじゃ、まるでオレが異物みたいじゃねぇか」
そんな事をポツリとつぶやきながら朝日はもう一度辺りを見回した。
どうやら、目の前に広がる異常な光景が、かえって心を落ち着かせる要因になったようだ。
現に朝日の思考は別のところにシフトしていた。
(おかしい、あきらかにおかしい。ついさっきオレは、オレ達は確かに死んだ。そのはずだ。じゃあ、何故オレは今ここに五体満足で存在している…?)
そこまで考えた朝日はふと自分の体を見下ろしてあることに気が付いた。
いや、ここはある変化、というべきか...
透けているのだ、身体が。
透けていると言っても内臓などが見えているわけではない。
夏の特番などで見かける心霊写真の幽霊のよう、と言えばわかりやすいだろう。
「…こりゃあ、死んだのはまず確定でよさそうだな」
朝日は特に気落ちした様子もなく無感情に呟くと、今現在自分の身に起こっていることを冷静に分析し始めた。
(それにしても一体何が起こってる?ここは一体……?いやまて、ここを死後の世界と仮定して……)
俯きながらブツブツと独り言を呟く朝日。
そんな彼の背後でなにかが高いところから落ちるような音がした。
「「痛いっ!?」」
そして、その音と同時に聞こえてきた聞き覚えのある声。
振り返ってみれば、そこに居たのは案の最期の時を共にした彼等だった。
「お前ら、何してんだ……?」
「いててて、って朝日!?」
「おう。朝日さんだ。で、お前らどっから現れた?見渡す限り遮蔽物なんてないはずなんだが…?」
「さぁ?気が付いたらここにいた?」
「何故に疑問形」
朝日のジト目を受けながらもニコニコといつもの明るい笑みを浮かべる勇二。
「病院じゃないのは確かだねー」
若干間延びした声でそう返すのは、なぜかご機嫌な未希である。
「未希、いたのか?」
「ちょっと酷いよ!?」
「ごめん、僕もちょっと気づかなかった」
「勇二まで!?」
あまりに酷い扱いを受けた未希は涙目になりながら二人に向かってプリプリと怒ってますよアピールを始めた。
「もう!勇二も朝日も私に対する扱いがなってないよ!女の子はセンサイなんだよ!」
「はいはい、わかったわかった。で?お前らは一体どうしてここにいるわけ?」
「なんで、と言われても気が付いたらここに落ちてきたとしか……」
「え、無視?無視なの?おーい」
「そうか……ホントに、ここは一体何なんだろうな?」
「『ここはどこか』と言う質問ですが、私で宜しければお答え致しましょうか?」
どこからともなく声が聞こえ、円になって会話していた三人の中心に光の渦が起こる。
その光はほんの一瞬、一際強く輝くと、弾けた。
そして光が弾けたその場所には一人の女が立っていた。
美しく幻想的な緑色の髪と、その髪の隙間から見える金色の瞳。
純白のワンピースを身に着けた、世の全ての女性が羨み、すべての男性を虜にするよ絶妙なプロポーションをもつ女だった。
その女は慈愛に満ちた声でもう一度言った。
「初めまして、私の『勇者』。私で宜しければ説明いたしましょう。この『女神 リクシル』が」
to be continued...
「ン…?って、なんだここ?」
薄っすらと開けた目が眼前に広がる光景をとらえた瞬間、朝日は驚きに目を見張った。
そこは真っ白な空間だった。
見渡す限り何もない、だだっ広い空間。
視界を遮るものは何もなく唯々『無』だけが広がるその空間。
そんな中に朝日はポツリと白紙の紙に垂らしたインクのように存在していた。
「これじゃ、まるでオレが異物みたいじゃねぇか」
そんな事をポツリとつぶやきながら朝日はもう一度辺りを見回した。
どうやら、目の前に広がる異常な光景が、かえって心を落ち着かせる要因になったようだ。
現に朝日の思考は別のところにシフトしていた。
(おかしい、あきらかにおかしい。ついさっきオレは、オレ達は確かに死んだ。そのはずだ。じゃあ、何故オレは今ここに五体満足で存在している…?)
そこまで考えた朝日はふと自分の体を見下ろしてあることに気が付いた。
いや、ここはある変化、というべきか...
透けているのだ、身体が。
透けていると言っても内臓などが見えているわけではない。
夏の特番などで見かける心霊写真の幽霊のよう、と言えばわかりやすいだろう。
「…こりゃあ、死んだのはまず確定でよさそうだな」
朝日は特に気落ちした様子もなく無感情に呟くと、今現在自分の身に起こっていることを冷静に分析し始めた。
(それにしても一体何が起こってる?ここは一体……?いやまて、ここを死後の世界と仮定して……)
俯きながらブツブツと独り言を呟く朝日。
そんな彼の背後でなにかが高いところから落ちるような音がした。
「「痛いっ!?」」
そして、その音と同時に聞こえてきた聞き覚えのある声。
振り返ってみれば、そこに居たのは案の最期の時を共にした彼等だった。
「お前ら、何してんだ……?」
「いててて、って朝日!?」
「おう。朝日さんだ。で、お前らどっから現れた?見渡す限り遮蔽物なんてないはずなんだが…?」
「さぁ?気が付いたらここにいた?」
「何故に疑問形」
朝日のジト目を受けながらもニコニコといつもの明るい笑みを浮かべる勇二。
「病院じゃないのは確かだねー」
若干間延びした声でそう返すのは、なぜかご機嫌な未希である。
「未希、いたのか?」
「ちょっと酷いよ!?」
「ごめん、僕もちょっと気づかなかった」
「勇二まで!?」
あまりに酷い扱いを受けた未希は涙目になりながら二人に向かってプリプリと怒ってますよアピールを始めた。
「もう!勇二も朝日も私に対する扱いがなってないよ!女の子はセンサイなんだよ!」
「はいはい、わかったわかった。で?お前らは一体どうしてここにいるわけ?」
「なんで、と言われても気が付いたらここに落ちてきたとしか……」
「え、無視?無視なの?おーい」
「そうか……ホントに、ここは一体何なんだろうな?」
「『ここはどこか』と言う質問ですが、私で宜しければお答え致しましょうか?」
どこからともなく声が聞こえ、円になって会話していた三人の中心に光の渦が起こる。
その光はほんの一瞬、一際強く輝くと、弾けた。
そして光が弾けたその場所には一人の女が立っていた。
美しく幻想的な緑色の髪と、その髪の隙間から見える金色の瞳。
純白のワンピースを身に着けた、世の全ての女性が羨み、すべての男性を虜にするよ絶妙なプロポーションをもつ女だった。
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