県立図書館のお話
始まりは夏蜜の転落事件
夏蜜は、読書が好きである。
古い県立図書館は、歴史と同様に古い本が多く、奥に行くにつれ、本の匂いがする。
その匂いが好きで、夏蜜は大きく息を吸い込む。
薄く空かした窓から風がそっと蒸せるような空気を流す。
その中をぐるぐると本を探す。
ここの本は古い本が多い。
第二次世界大戦で空襲があり、この街は壊滅状態になった。
しかし、本は難を逃れ、今も古い本を見ることができる。
この街には、大きな市立図書館があり、そちらには文庫本や小説、児童書や、手芸の型紙のついた本が多い。
その為、古い専門書などの本が多いこちらには年齢が高くなる。
高い本棚の間隔は狭く、立ち読みはできない上に、高い場所にある本を取るために必要なのは、ガタガタと引っ張ってくる高い脚立。
それを使って取ると言うのも何となくノスタルジックな印象があり、向かい合う本棚の反対側の本を選んでいる人に、
「す、すみません……脚立使います。お邪魔します……」
小声で挨拶を言い、カタカタと登り、目当てだった続き物の本を3冊取る。
そして一度、脚立の一番上に本を乗せ、一段降りようとして、バランスを崩す。
ガタガタッ‼
「うわぁ?」
声が響く。
夏蜜は背中からドスーンと落ちたのだが、慌てて正座して、
「す、すみません‼すみません‼お怪我は……」
「何やって……」
振り返ると、頭の上に開いた本を乗せた男の人が立っている。
その本は夏蜜の選んだ本である。
「すみません‼いえ、申し訳ありません‼……滑り落ちてしまって、申し訳ありませんで……」
「お、おい‼」
そのままペコペコ土下座をしていると、グラグラと揺れていた脚立が夏蜜の上に落ちてきた。
ガッターン‼
すさまじい衝撃に、夏蜜はそのまま気絶したのだった。
古い県立図書館は、歴史と同様に古い本が多く、奥に行くにつれ、本の匂いがする。
その匂いが好きで、夏蜜は大きく息を吸い込む。
薄く空かした窓から風がそっと蒸せるような空気を流す。
その中をぐるぐると本を探す。
ここの本は古い本が多い。
第二次世界大戦で空襲があり、この街は壊滅状態になった。
しかし、本は難を逃れ、今も古い本を見ることができる。
この街には、大きな市立図書館があり、そちらには文庫本や小説、児童書や、手芸の型紙のついた本が多い。
その為、古い専門書などの本が多いこちらには年齢が高くなる。
高い本棚の間隔は狭く、立ち読みはできない上に、高い場所にある本を取るために必要なのは、ガタガタと引っ張ってくる高い脚立。
それを使って取ると言うのも何となくノスタルジックな印象があり、向かい合う本棚の反対側の本を選んでいる人に、
「す、すみません……脚立使います。お邪魔します……」
小声で挨拶を言い、カタカタと登り、目当てだった続き物の本を3冊取る。
そして一度、脚立の一番上に本を乗せ、一段降りようとして、バランスを崩す。
ガタガタッ‼
「うわぁ?」
声が響く。
夏蜜は背中からドスーンと落ちたのだが、慌てて正座して、
「す、すみません‼すみません‼お怪我は……」
「何やって……」
振り返ると、頭の上に開いた本を乗せた男の人が立っている。
その本は夏蜜の選んだ本である。
「すみません‼いえ、申し訳ありません‼……滑り落ちてしまって、申し訳ありませんで……」
「お、おい‼」
そのままペコペコ土下座をしていると、グラグラと揺れていた脚立が夏蜜の上に落ちてきた。
ガッターン‼
すさまじい衝撃に、夏蜜はそのまま気絶したのだった。
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