負け組だった男のチートなスキル
第一話 神との対話
光助が真っ白な空間にいることに戸惑っていると、どこからともなく声が響いた。
「気が付いたか?」
「……誰ですか?」
光助はその声の主に対して、戸惑いながらも声を返す。
「ワシか? ワシは……神と言って信じるかな?」
声の主は、語尾を上げて疑問口調でそう言った。
光助は怪訝そうな顔でそれを見て告げる。
「……直ぐに信じる人なんていないと思いますけど、とりあえず信じます」
「おお、そうか、珍しい人もいるもんだな」
神と名乗る者は、嬉しそうに言葉を発した。
「もし信じないといわれても、めんどくさいだけじゃしなぁ」
神はため息をついて遠い目をする。前に同様のやり取りがあったかのような口ぶりだ。
「そうじゃよ、少なくともお主のいる学校の全員は信じなかったわい」
「へ?」
光助はさりげなくも心を読まれたことよりも、学校全員と話をしたという事実に驚いていた。
「まだいっていなかったが、お主達の天運学高校だったかな? その学校内にいた全員はワシが異世界へ転移させた」
「異世界ですか?」
「そうじゃ異世界じゃ、地球とは別の世界じゃよ、そこには魔法もあるし魔物などもいるな」
神が言ったことは突拍子もないことだ。光助は驚きを隠せずただただ唖然とする。
「分からぬという顔をしておるな、理由は簡単じゃ。異世界の人口が減りすぎてのう、地球からある程度の実力を持った人を転移させて解決しようという事になったんじゃよ」
「な、なんて勝手な」
光助は思わず言葉を発し、相手が神であることを思い出して慌てて口を手で押さえた。
「そうじゃな実に勝手じゃ、しかしワシら神は人間に同情心など抱く奴はおらんからのう、まぁそうなってしまった以上どうしようもないという事だ。諦めてくれ」
「は、はぁ」
神の態度がまさに言葉の意味を表していた。まるで人の気持ちを考慮していない。
いろいろ理解しがたいことがあったが、これ以上質問しても何も解決できそうにない。
「まあ神には色々おるからな、ワシのように少しは人に関心を持つ者はおる」
「それで関心があるほうなんですね……」
今までの態度でそう言われても全く説得力がなかった。
「む? 他の神はこんなものではないぞ?」
「そう、なんですか?」
「うむ、目の前に立った瞬間消しとばすなんて荒々しい者もおる」
それは神様としてどうなんだ。と瞬間的に思うコウスケ。
「まあ人が神の前に立つことなど滅多にないことじゃ、気にせんで良い」
「そうですよね」
「ゼロとは言わんがの」
乾いた笑みを表情に張り付けて対応するコウスケ。
「もし次に神に会う機会があるとしてもワシではないことは確かじゃ、あくまでワシは異空間の神であるからのう」
ということは、会った瞬間消しとばされる神に会う可能性があると言うことになる。
そんなコウスケの心理を読み取ったのか、神は笑顔でこう続いた。
「安心せい、二度も神に会うような人間はきっと神さえも――」
「え? 何て言いました?」
「何でもないわい」
タイミングよく神の言葉の最中に耳が遠のいた。神の事だ。それが偶然起こったものじゃないことぐらい分かる。
だがあえてそうしたのならコウスケに知らせるつもりはないのだろう。
「余談が過ぎたな」
神は頭を掻いて呟いた。
「よしそれでは、まずお主のステータスを確認するぞ」
「ステータスですか?」
「そうじゃ、個人の能力が記されているものでのう、お主たちもゲームなどで見かけるじゃろ」
「あぁ、あれですか」
光助は少し嫌な予感を感じながらも、神の言ったステータスを確認することにした。
「よしでは声に出すか心の中で『ステータス』と呟いてくれ」
「はい『ステータス』」
光助がそう言うと胸から光が溢れ出し、目の前に半透明なビジョンが現れた。そこには文字がいくつか書いてある。
名前 高月 光助
種族 異世界人
レベル 1
体力 自信なし
魔力 普通かな
攻撃力 皆無
防御力 我慢は得意
敏捷力 なにそれ?
スキル 技能創造
「ん? 確か君の高校は天才ばかりが集まる学校じゃったはずだが?」
神が不思議そうな顔で光助を見る。何事にも例外があるということを知っておいて欲しい。
だがそれよりも、表記の方にとてつもない悪意を感じた光助。まさか文章で表記されるとは思っても見なかった。
「あの自分は……いわゆるコネで入ったので……えっと、そんなに低いんですか?」
「うむ……ステータスの表記は個人によって異なる。つまり単純な比較はできんのじゃ。じゃがなんというか、見る限りでは才能の欠片もないのう」
「ぐっ」
神の言葉に顔を顰める光助。
自覚はあった。だが分かってはいても悲しいものがある。
「ちなみに君の学校の者たちのステータスは、かなり高かったぞ」
それはおおよそ予想できたのだが、それでもそのことを知った光助は少し不安に駆られると同時にわざわざ言うことでもないだろ、と神を睨み付けた。
だが相変わらず気にもしないように口を開く。
「まぁレベル1の状態から一般人の平均越えなど、あの世界じゃ珍しいんじゃが、でも君の場合は怠け者並みのステータスじゃな。とはいっても異世界人の種族補正のお陰で色々才能やら何やらの適正があるはずで……ん?」
神が色々とステータスを覗きながら述べていると途中で動きを止めた。一体どうしたのか。首を傾げる光助。
「どうしたんですか?」
「あ、あぁ、すまんすまん、じゃがな君のスキル、簡単に言うととてつもない代物じゃよ」
「え?」
光助は神が言った言葉の意味を直ぐに理解できるわけがなかった。
「気が付いたか?」
「……誰ですか?」
光助はその声の主に対して、戸惑いながらも声を返す。
「ワシか? ワシは……神と言って信じるかな?」
声の主は、語尾を上げて疑問口調でそう言った。
光助は怪訝そうな顔でそれを見て告げる。
「……直ぐに信じる人なんていないと思いますけど、とりあえず信じます」
「おお、そうか、珍しい人もいるもんだな」
神と名乗る者は、嬉しそうに言葉を発した。
「もし信じないといわれても、めんどくさいだけじゃしなぁ」
神はため息をついて遠い目をする。前に同様のやり取りがあったかのような口ぶりだ。
「そうじゃよ、少なくともお主のいる学校の全員は信じなかったわい」
「へ?」
光助はさりげなくも心を読まれたことよりも、学校全員と話をしたという事実に驚いていた。
「まだいっていなかったが、お主達の天運学高校だったかな? その学校内にいた全員はワシが異世界へ転移させた」
「異世界ですか?」
「そうじゃ異世界じゃ、地球とは別の世界じゃよ、そこには魔法もあるし魔物などもいるな」
神が言ったことは突拍子もないことだ。光助は驚きを隠せずただただ唖然とする。
「分からぬという顔をしておるな、理由は簡単じゃ。異世界の人口が減りすぎてのう、地球からある程度の実力を持った人を転移させて解決しようという事になったんじゃよ」
「な、なんて勝手な」
光助は思わず言葉を発し、相手が神であることを思い出して慌てて口を手で押さえた。
「そうじゃな実に勝手じゃ、しかしワシら神は人間に同情心など抱く奴はおらんからのう、まぁそうなってしまった以上どうしようもないという事だ。諦めてくれ」
「は、はぁ」
神の態度がまさに言葉の意味を表していた。まるで人の気持ちを考慮していない。
いろいろ理解しがたいことがあったが、これ以上質問しても何も解決できそうにない。
「まあ神には色々おるからな、ワシのように少しは人に関心を持つ者はおる」
「それで関心があるほうなんですね……」
今までの態度でそう言われても全く説得力がなかった。
「む? 他の神はこんなものではないぞ?」
「そう、なんですか?」
「うむ、目の前に立った瞬間消しとばすなんて荒々しい者もおる」
それは神様としてどうなんだ。と瞬間的に思うコウスケ。
「まあ人が神の前に立つことなど滅多にないことじゃ、気にせんで良い」
「そうですよね」
「ゼロとは言わんがの」
乾いた笑みを表情に張り付けて対応するコウスケ。
「もし次に神に会う機会があるとしてもワシではないことは確かじゃ、あくまでワシは異空間の神であるからのう」
ということは、会った瞬間消しとばされる神に会う可能性があると言うことになる。
そんなコウスケの心理を読み取ったのか、神は笑顔でこう続いた。
「安心せい、二度も神に会うような人間はきっと神さえも――」
「え? 何て言いました?」
「何でもないわい」
タイミングよく神の言葉の最中に耳が遠のいた。神の事だ。それが偶然起こったものじゃないことぐらい分かる。
だがあえてそうしたのならコウスケに知らせるつもりはないのだろう。
「余談が過ぎたな」
神は頭を掻いて呟いた。
「よしそれでは、まずお主のステータスを確認するぞ」
「ステータスですか?」
「そうじゃ、個人の能力が記されているものでのう、お主たちもゲームなどで見かけるじゃろ」
「あぁ、あれですか」
光助は少し嫌な予感を感じながらも、神の言ったステータスを確認することにした。
「よしでは声に出すか心の中で『ステータス』と呟いてくれ」
「はい『ステータス』」
光助がそう言うと胸から光が溢れ出し、目の前に半透明なビジョンが現れた。そこには文字がいくつか書いてある。
名前 高月 光助
種族 異世界人
レベル 1
体力 自信なし
魔力 普通かな
攻撃力 皆無
防御力 我慢は得意
敏捷力 なにそれ?
スキル 技能創造
「ん? 確か君の高校は天才ばかりが集まる学校じゃったはずだが?」
神が不思議そうな顔で光助を見る。何事にも例外があるということを知っておいて欲しい。
だがそれよりも、表記の方にとてつもない悪意を感じた光助。まさか文章で表記されるとは思っても見なかった。
「あの自分は……いわゆるコネで入ったので……えっと、そんなに低いんですか?」
「うむ……ステータスの表記は個人によって異なる。つまり単純な比較はできんのじゃ。じゃがなんというか、見る限りでは才能の欠片もないのう」
「ぐっ」
神の言葉に顔を顰める光助。
自覚はあった。だが分かってはいても悲しいものがある。
「ちなみに君の学校の者たちのステータスは、かなり高かったぞ」
それはおおよそ予想できたのだが、それでもそのことを知った光助は少し不安に駆られると同時にわざわざ言うことでもないだろ、と神を睨み付けた。
だが相変わらず気にもしないように口を開く。
「まぁレベル1の状態から一般人の平均越えなど、あの世界じゃ珍しいんじゃが、でも君の場合は怠け者並みのステータスじゃな。とはいっても異世界人の種族補正のお陰で色々才能やら何やらの適正があるはずで……ん?」
神が色々とステータスを覗きながら述べていると途中で動きを止めた。一体どうしたのか。首を傾げる光助。
「どうしたんですか?」
「あ、あぁ、すまんすまん、じゃがな君のスキル、簡単に言うととてつもない代物じゃよ」
「え?」
光助は神が言った言葉の意味を直ぐに理解できるわけがなかった。
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