異世界でウサギダンジョン始めました

テトメト@2巻発売中!

第38層 ダンジョンを作ろう③

 
「ダンジョンを作るぞー!」
「なのー!」
「おー!」
「?・・・おー?」

久々の燈火の手料理をお腹いっぱい食べて、食後のお茶を啜りながらのんびりしていた所で、唐突に立ち上がり、膝の上に座っていたボーパルと燈火を抱えて宣言する。

急なフリにもきっちりテンションを合わせて対応してくれるボーパルと燈火は素敵だわ~。正式名称が”クロ”に決まった黒犬耳尻尾幼女ちゃんも”こてん”と首を傾げながら、とりあえず周りに合わせてみた感じで、右手を上げて返事をしている姿が実にキュート!
両手が幼女で塞がってなければ抱きしめてスリスリしてもふもふする所だったわ~。

「お決まりの挨拶も終わった所でダンジョンだ。具体的に言えば、ウチじゃなくて元クロのダンジョンだな」
「あ~、あのアリが居ないアリの巣みたいになってるとこ?」
「ん。無人。コア無い」
「なの!ゴーストダンジョンになってるの!」

そう。俺達が制圧したクロのダンジョンだが、クロの配下のモンスターを文字通り根絶やしにした所為で、外枠だけの空っぽな洞窟になってしまっている。
これは実にもったいない。外枠が既にあって、モンスターが入ればダンジョンとして機能できるんだからなにかに利用したいと思うのは普通の考えだろう。

・・・ところで、ボーパルが言ったゴーストダンジョンって意味違わね?ゴーストタウンのノリだと思うんだが、それじゃあゴースト系のモンスターがいるダンジョンになっちゃうよ。

・・・実は俺達に殺されたオオカミのお化けが多数徘徊するゴーストダンジョンに・・・いやいやいやいや。

「DPはあるし、ウチのダンジョンの拡張をしてもいいんだが、問題だったウサギ算で増えていくウサギ達の対処に、町で従魔として販売して世界中に配下のウサギを送り込むという解決策を見つけた今。重要度は一気に下がったからな。まぁ、ちょこちょこと改造はしていくつもりではあるけど」

改造というか、魔改造というか。
日本のサブカルチャーに触れている人達からすれば「あ~、あれか~」って感じの良くあるトラップだが、クロの作っていた初見殺しの罠なんてない、アリの巣のような形状のダンジョンが主流なこの世界では、EASYモードでプレイしていたのに、急にHARDモードや、マニアモードや、絶望モードの敵が出てきたような感じになるだろうな。

日本に居た頃、なろうやラノベなんかのサブカルチャーは幼女の出現率が高いから割と読み込んでたんだが、まさかこんな形で生かされるとはな・・・ちなみに燈火も俺と話を合わせる為にここら辺の知識は大抵頭に詰め込んでる。むしろ俺が知っている事は燈火も殆ど知っていると言ってもいい。
・・・どうしよう。燈火が完全に俺の上位互換なんだけど。俺よりも強いし。賢いし。幼女だし。

まぁ、こっちの世界に来てから俺よりも格下の相手って殆どいないけどな!ウサギにも劣る戦闘力の持ち主ですがなにか?
むしろウサギに愛着が沸きすぎて、敵にウサギが出てきたらまともに戦えるかどうかすら怪しい。まぁ、何とかなるさ。

「という訳で、クロのダンジョンを有効活用する方法を皆で考えよう!」
「考えよう・・・ってノープランだったの?」

「おぅ。クロを見てたらクロのダンジョンの事をふと思い出しただけだしな」

燈火にジト目で見られてしまった・・・。ジト目の幼女・・・それもまた良し。

元クロのダンジョンを有効活用しよう!って言ってるけど、ぶっちゃけ幼女と戯れられたら俺は満足だしな。
幼女と末永くいちゃいちゃ過ごせるなら俺はそれ以上は望まないぜ・・・なにせ最大限の欲求が叶ってるからな!それ以外はおまけだおまけ。

「クロは何かして欲しい事はあるの?ジュンに言えば大抵は叶えてくれるの!」

もう1回座った俺の膝の上に座りなおしたボーパルが、俺の右手を掴んで自分の頭の上にもふりと乗せながら言う。
まぁね。幼女のお願いならね。何でもするよね。
という訳で、ボーパルの頭をもふもふなでなで。あぁ~きもちい。幸せ。もう何も怖くない。

「欲しいもの・・・子種」
「・・・!じゅんにぃ!子作りするなら私ですればいいと思うよ!むしろいいと思うよ!!」

「はいはい。今は元クロのダンジョンの話をしような~」

まったく、この淫乱コンビは・・・うっかり食べちゃいそうになっちゃうじゃないか。
幼女は大好きだし、恋愛対象だけど子作りは別問題だからね。プロのロリコンとして幼女を傷つける事は出来ないからな。だから燈火は掴んだ俺の左手をホットパンツの中に差し込もうとするのは止めなさい。
ぴっちりしたホットパンツの中には入らないから。ふとももの感触が最高・・・ではなく、燈火の方が力が強いから抵抗できないけど。
燈火の方が強いからね。仕方ないね。

「んで、ダンジョンの有効活用の方法だけど、とりあえず何を目的にしたダンジョンを作るかを考えようか」
「ん~、ジュンのなでなでは今日もきもちぃの~、体がふにゃふにゃするの~」
「むむむ、やっぱりボーパルちゃんと私でじゅんにぃの態度が全く違う気がする・・・でもこれも愛ってやつでしょ?」
「目的。無くなった」

ダメだ。なでなでで蕩けてる子と、唐突に愛を語りだした子と、コミュ障の子しかいない。これじゃあ話が進まねぇよ。今回机を囲んで雑談とセクハラをして終わってしまう!

くっ、こうなれば最後の手段を使うしかないのか!?
・・・俺がアイディアを出せばいいとか言ってはいけない。現状(特に両手)が幸せすぎて頭が回らないからね。仕方ないね。

「あ~急に、いいアイディアを出した子とチュウしたくなってきt」
「とりあえずウチのダンジョンのダミーにするのは当然だよね。クロのダンジョンは元々町で知られてたみたいだから、このままクロのダンジョンを目立たせてスケープゴートにしよう。丁度ダンジョンコアが存在しないから攻略される事は無いしね。
それで、どうせダンジョンを作るならウサギ以外を配置するべきだよね。ウチとの関係性がバレたらスケープゴートの意味無いし、いくらウサギ達が強くてもそれだけって言うのはね・・・
だから元クロのダンジョンで、ウサギ以外のモンスターの育成と繁殖をすればいいんじゃないかな?冒険者と戦えばレベルも上がるだろうし、戦闘向きの能力を持った子がいっぱいできるでしょ。
あと、じゅんにぃはウサギ達を全世界に送り出して繁殖させて表から世界征服を目論んでるんだと思うけど、ただウサギを売り出してもそんなに売れないと思うんだよ。
この前の戦いを見てた人ならまだ可能性があるけど、それ以外の人はまず買わないと思うし、見てた人達もウサギ達が想像よりも強いからって、じゃあ買おうとはなかなかならないんじゃないかな?
いきなりパーテイメンバーにウサギを加えるっていうのは今までの常識的に難しいと思うんだよ。
だから、元クロのダンジョンで格安でウサギのレンタル屋を始めたらどうかな?
前衛が足りないパーティには前衛向けのウサギを。後衛が足りないパーテイには後衛向けのウサギを。回復役が居ないパーティには回復が出来るウサギを。
索敵は全ウサギが出来るからそれだけでもお得だし、荷物持ちは出来ないけど、代わりに食事や武器の持ち込まなきゃならない荷物もそんなに増えないからね。値段によっては軽い気持ちでレンタルすることも出来ると思うの。
それでウサギをパーティに入れることの有用性が広まれば、マイウサギを求める冒険者も出てくるだろうし、他のダンジョンにはウサギのレンタル店は無いからね。他のダンジョンでもウサギの力を借りたいなら買うしかないって事だよ。
もし仮にウサギ達をぞんざいに扱う冒険者がいてもダンジョンの中は私達の領域だからね。すぐ分かるからその人達にはウサギを貸さない様にする事もできるんだよ。
このウサギレンタル店が有名になれば町に来る冒険者も増えて、ウサギ達の売り上げもダンジョンに落としてくれる経験値も増えるからお得だよね!」

「ちょ、ちょっと待って。メモ帳メモ帳・・・てか、もう燈火が書いて!」

一気に捲くし立てるように喋りだした燈火にメモを取るのを諦めて燈火に丸投げする。難しいことは分からん!

「うん。メモは後で書くけど・・・先にご褒美が欲しいかなって、燈火は燈火は思ってみたり!」
「あの子も可愛いよね~・・・で、ご褒美ね。うん。じゃあほっぺ出してー」

「待った!!異議アリ!!じゅんにぃはさっきいいアイディアを出した子にチュウをするって言ったよね!?つまり、じゅんにぃはいいアイディアを発した私の唇にチュウをする必要があるんだよ!QED証明完了!」
「なん・・・だと・・・!?」

まさか自分の唇を一個人として拡大解釈を!!いやいや・・・

「じゃあ、いいアイディアを思いついた燈火の頭にチュウをしよう。ちゅっ」
「ちぃっ・・・!!」

燈火の前髪をかきあげ、おでこにチュウをしたら一瞬したうちをした燈火だが、すぐに自分のおでこを押さえてデレデレしだした。ちょろい子だ。

・・・にしてもウサギレンタルね・・・ふーん・・・

「あっ!燈火ばっかりずるいのあたちもジュンとチュウするの!」
「ん。クロも。順番」
「ダメですぅ~。これはご褒美なんです~。だからじゅんにぃは私とだけチュウするんだよ!ねぇじゅんにぃもう一回・・・して?」

まぁ、そんなことよりも、幼女達からチュウをねだられる現状の方が大事なのは間違いないな!!
は~い。みんな、じゅんばんこだからね~。けんかしちゃダメですよ~。


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