異世界でウサギダンジョン始めました
第6層 はじめてのおつかい
ウサギ達の口元にニンジンスティックを差し出して、カリカリもぐもぐする所を眺めてほんわかしている内に気づいたらボーパル達が地上近くまで上がってきていた。
登り始めてから大体1時間ぐらいか?平地を走ってるんならともかく、絶壁を登っていると考えたらありえない程速いな。異世界のモンスターまじ怖いわ。
とにかく、そろそろ俺も上に向かわないとな。このウサギ天国ともしばらくお別れだ。まぁ、すぐに戻ってくるつもりだし、死んだら強制的に戻ってくるけどな。いや、その場合はサクラが置き去りになっちまう。死んでも生きて帰らないとな。
「またなお前ら。元気で過ごせよ?まぁ、ボーパルは残していくし大丈夫だとは思うけどな」
「「「きゅぅ!」」」
「おう!バイバイ!転移!地上エリアへ!」
俺が転移を唱えた瞬間視界が白に染まり、短い間だが楽しく暮らしていた場所が消えていく。
って、あんまりらしくないな。別に今生の別れってわけじゃないし、近くに人がいればこの辺の情報を聞いて直ぐに戻ってきてもいいし。辺りに何も無かったら夜にはダンジョンに戻ってきてもいいんだしな。あれ?外泊する理由がなくね?まぁ、いっか。備えあれば憂いなしってやつだな。
「っと、着いたか。ここが外・・・」
俺の視界に色が戻った。靴が隠れる程に伸びた緑の草がどこまでも続く景色は、一瞬俺がまだダンジョンの中に居るんじゃないかと錯覚させたが、なだらかに勾配がついたデコボコの地面と、遠くに見える山々がそれは違うと俺に教えてくれる。
緑が沢山あっても、どこか人工的な。管理された自然であったダンジョンの草原エリアと自然の草原との違いだな。
どちらが悪いとは言わないが、どちらもいいものだ。
とはいえ、俺が立っているここはまだダンジョンのエリア内なんだけどな。感傷に浸るのは早すぎたか。
・・・ドッ
「・・・ん?」
あれ今なにか聞こえた気が・・・
ドッドッドッ・・・
「なんだ?なんの音だ?」
聞き間違いじゃない。一定のリズムで刻まれる。何かを叩きつけるような音・・・まさかモンスターか!?
ドッドッドッドッ!
「後ろか!」
引き抜いた剣を構え音のした背後を振り返るが何もいない・・・いや、音の聞こえる場所には地面に穴が開いていた。何かを、いや壁を踏みしめて駆けるその足音はしだいに大きくなり、そして・・・
「なのーーー!」
「きゅいーー!」
大量のピンクの花びらと共にウサミミ幼女が勢いよく飛び出した。・・・真上に5mほど。
両手でサクラを抱きしめているボーパルは(抱いてなくても変わらなかった気もするが)当然落下時にスカートが全開になるわけだが、そこは空気を呼んだ花びら先輩ががんばってくれたから問題は無い。無いということになっている。※Blu-ray版では花びらが消えます。
「到着なの!」
「きゅい!」
5mからの落下もなんのその。シュタッと着地したボーパルは疲れを感じさせない輝く笑顔を浮かべている。ボーパルに抱かれてずっと花びらの制御をしていたサクラもちょっと疲れてるだけでまだまで元気そうだ。
サクラは日ごろからボーパルや他の戦闘タイプのウサギと共に遊びという名の稽古をしているからな。最古参だけあって、レベルもウサギ達の中じゃ最高だしな。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種族 桜魔法ウサギ(NEW)
名前 サクラ
性別 ♀
維持 1(0)
Lⅴ 48
体力 82
魔力 63
筋力 102
頑丈 32
敏捷 156
知力 97
精神 77
スキル
草食獣 魅了 桜魔法(NEW)
称号
ボーパルの眷属
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
サクラは魔法タイプなのに知力よりも筋力の方が高いんだがなんでだ?ボーパル達と殴り合いの稽古をしているからか?まぁ、筋力が高いからって知力が下がるわけじゃないからいいんだけどさ。というか敏捷が突出して高いなぁ・・・まぁ、ウサギだしな。
んー、でもこのステータスが見れても、比較対象が無いから強いかどうか分りにくいんだよね・・・そりゃ、産まれたばっかりよりかはかなり強くなってるけど、所詮は1ヶ月遊び半分に鍛えただけのウサギだしな・・・野生オオカミは全ステータス200がデフォです。とか言われたらどうしようもない。
「いいの、サクラ?あたちがついて行けるのはここまでなの。ここからはサクラが自分で考えてジュンを守るの」
「きゅい!」
「ジュンの言う事をよく聞いていい子にするの。でもジュンは、よわよわだからすぐ死んじゃうの。ジュンが死にそうになったらジュンの言う事を破っても助けるの!わかったの?」
「きゅい!」
「それじゃあ、ジュンを頼んだの!」
「きゅい!」
ボーパルとサクラが最後のお別れをするように、鼻の頭同士をちょこんとくっ付けた後、サクラがぴょこぴょこと俺の元へ歩いてくる。
大袈裟な奴らだな。ちょっと周りを見てくるだけで何も無ければすぐに帰ってくるって言ってるのに。
「・・・俺としては変えのきく俺の命よりもサクラの命の方を大事にして欲しいんだが?」
「・・・ジュンは蘇生に1000DMはかかるの。桜魔法ウサギは1DMで召喚できるの。その違いなの。でも、別の桜魔法ウサギは居てもサクラはサクラしか居ないの。だから無理はしちゃダメなの。約束なの」
「きゅい?」
「ずるいなぁ・・・そう言われたら無理できないじゃん。まぁ、元々する気も無かったけどね」
「なの!約束なの!」
「きゅい!」
3人でぎゅっと手を繋いで約束をする。
夜までに人が見つけられなかったら帰ってくるつもりだから、そんなに心配する必要も無いと思うけどね。
「あ、あと。これを買いたいの!」
「ん?なんだ突然に?」
ボーパルから承認申請が送られてきたのは小さなピンク色のリュックだ。
「サクラ用のリュックなの!折角だからダンジョンから持ってきた花びらを持っていくの!これから先も都合よく桜が咲いているとは限らないの!」
「だな。桜が無いと桜魔法は使えないもんな。んじゃ、購入っと。はい、サクラどうぞ」
「きゅい!」
DMで購入したピンクのリュックをサクラに背負わせると、ボーパルの登場と同時に飛び散っていた桜の花びらが自然と動き、サクラのリュックの中へと吸い込まれていった。
いや、自然と動いたわけじゃないな。サクラが魔法で動かしたんだから。
「万年桜は枯れないの。それは花びらになっても同じなの。でも、数日に1回はお水をあげるの!」
「いや、すぐに帰ってくるって言ってるだろ?それじゃあ行ってきます!」
「きゅい!」
「いってらっしゃいなの~~!」
何時までも手を振り続けるボーパルを背に、俺とサクラの2人旅が今始まる!
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「ただいま~」
「きゅい~」
「ジュンなの?おかえりなの!」
ダンジョンへと帰ってきた俺達が入り口の穴付近でボーパルを呼ぶと転移して迎えに来てくれた。
「どうしたの?忘れ物なの?まだ、出発してから半日も経ってないの」
ボーパルの疑問も尤もだろう。だって俺達はお昼前に出発して、お昼過ぎに帰ってきたのだから。
「・・・ダンジョンからな。30分程南に行ったら街道があってな。その街道沿いにまた30分ぐらい歩いたら町があったからお弁当食べて帰ってきた」
「きゅい!」
外出時間3時間程度で特に何にも会わずに散歩して、お弁当食べて帰ってきたとか、どう見てもピクニックです。本当にありがとうございます。
まぁ、でも場所はマップに記録したから次からは迷うことなく行けるぜ。
とりあえずまた明日、今度は朝1に出発しよう。そうしよう。
「なの~。安全第一なの~!」
「だよな。時間に余裕はありまくるしな。ゆっくり行こうか~」
「きゅい~」
こうして俺とサクラの初めての異世界散歩は幕を閉じた。
どうやらこの世界は思ったより俺に優しそうです。ダンジョンから徒歩1時間の位置に町がある事がいいことなのかは時と場合によると思うけどね。
え?イベントフラグにサクラの死亡フラグ?知らんな。
ウサギ1羽とウサギ以下1人で何ができると?俺達は安全第一でいかせてもらう。
商人の馬車がオオカミに襲われていても幼女が居なきゃ助けないぐらいには俺は安全第一で行くぞ!
ま、ともかく町に行くのは明日だな。今日はいっぱい歩いたら疲れた。ねむねむ・・・
登り始めてから大体1時間ぐらいか?平地を走ってるんならともかく、絶壁を登っていると考えたらありえない程速いな。異世界のモンスターまじ怖いわ。
とにかく、そろそろ俺も上に向かわないとな。このウサギ天国ともしばらくお別れだ。まぁ、すぐに戻ってくるつもりだし、死んだら強制的に戻ってくるけどな。いや、その場合はサクラが置き去りになっちまう。死んでも生きて帰らないとな。
「またなお前ら。元気で過ごせよ?まぁ、ボーパルは残していくし大丈夫だとは思うけどな」
「「「きゅぅ!」」」
「おう!バイバイ!転移!地上エリアへ!」
俺が転移を唱えた瞬間視界が白に染まり、短い間だが楽しく暮らしていた場所が消えていく。
って、あんまりらしくないな。別に今生の別れってわけじゃないし、近くに人がいればこの辺の情報を聞いて直ぐに戻ってきてもいいし。辺りに何も無かったら夜にはダンジョンに戻ってきてもいいんだしな。あれ?外泊する理由がなくね?まぁ、いっか。備えあれば憂いなしってやつだな。
「っと、着いたか。ここが外・・・」
俺の視界に色が戻った。靴が隠れる程に伸びた緑の草がどこまでも続く景色は、一瞬俺がまだダンジョンの中に居るんじゃないかと錯覚させたが、なだらかに勾配がついたデコボコの地面と、遠くに見える山々がそれは違うと俺に教えてくれる。
緑が沢山あっても、どこか人工的な。管理された自然であったダンジョンの草原エリアと自然の草原との違いだな。
どちらが悪いとは言わないが、どちらもいいものだ。
とはいえ、俺が立っているここはまだダンジョンのエリア内なんだけどな。感傷に浸るのは早すぎたか。
・・・ドッ
「・・・ん?」
あれ今なにか聞こえた気が・・・
ドッドッドッ・・・
「なんだ?なんの音だ?」
聞き間違いじゃない。一定のリズムで刻まれる。何かを叩きつけるような音・・・まさかモンスターか!?
ドッドッドッドッ!
「後ろか!」
引き抜いた剣を構え音のした背後を振り返るが何もいない・・・いや、音の聞こえる場所には地面に穴が開いていた。何かを、いや壁を踏みしめて駆けるその足音はしだいに大きくなり、そして・・・
「なのーーー!」
「きゅいーー!」
大量のピンクの花びらと共にウサミミ幼女が勢いよく飛び出した。・・・真上に5mほど。
両手でサクラを抱きしめているボーパルは(抱いてなくても変わらなかった気もするが)当然落下時にスカートが全開になるわけだが、そこは空気を呼んだ花びら先輩ががんばってくれたから問題は無い。無いということになっている。※Blu-ray版では花びらが消えます。
「到着なの!」
「きゅい!」
5mからの落下もなんのその。シュタッと着地したボーパルは疲れを感じさせない輝く笑顔を浮かべている。ボーパルに抱かれてずっと花びらの制御をしていたサクラもちょっと疲れてるだけでまだまで元気そうだ。
サクラは日ごろからボーパルや他の戦闘タイプのウサギと共に遊びという名の稽古をしているからな。最古参だけあって、レベルもウサギ達の中じゃ最高だしな。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種族 桜魔法ウサギ(NEW)
名前 サクラ
性別 ♀
維持 1(0)
Lⅴ 48
体力 82
魔力 63
筋力 102
頑丈 32
敏捷 156
知力 97
精神 77
スキル
草食獣 魅了 桜魔法(NEW)
称号
ボーパルの眷属
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
サクラは魔法タイプなのに知力よりも筋力の方が高いんだがなんでだ?ボーパル達と殴り合いの稽古をしているからか?まぁ、筋力が高いからって知力が下がるわけじゃないからいいんだけどさ。というか敏捷が突出して高いなぁ・・・まぁ、ウサギだしな。
んー、でもこのステータスが見れても、比較対象が無いから強いかどうか分りにくいんだよね・・・そりゃ、産まれたばっかりよりかはかなり強くなってるけど、所詮は1ヶ月遊び半分に鍛えただけのウサギだしな・・・野生オオカミは全ステータス200がデフォです。とか言われたらどうしようもない。
「いいの、サクラ?あたちがついて行けるのはここまでなの。ここからはサクラが自分で考えてジュンを守るの」
「きゅい!」
「ジュンの言う事をよく聞いていい子にするの。でもジュンは、よわよわだからすぐ死んじゃうの。ジュンが死にそうになったらジュンの言う事を破っても助けるの!わかったの?」
「きゅい!」
「それじゃあ、ジュンを頼んだの!」
「きゅい!」
ボーパルとサクラが最後のお別れをするように、鼻の頭同士をちょこんとくっ付けた後、サクラがぴょこぴょこと俺の元へ歩いてくる。
大袈裟な奴らだな。ちょっと周りを見てくるだけで何も無ければすぐに帰ってくるって言ってるのに。
「・・・俺としては変えのきく俺の命よりもサクラの命の方を大事にして欲しいんだが?」
「・・・ジュンは蘇生に1000DMはかかるの。桜魔法ウサギは1DMで召喚できるの。その違いなの。でも、別の桜魔法ウサギは居てもサクラはサクラしか居ないの。だから無理はしちゃダメなの。約束なの」
「きゅい?」
「ずるいなぁ・・・そう言われたら無理できないじゃん。まぁ、元々する気も無かったけどね」
「なの!約束なの!」
「きゅい!」
3人でぎゅっと手を繋いで約束をする。
夜までに人が見つけられなかったら帰ってくるつもりだから、そんなに心配する必要も無いと思うけどね。
「あ、あと。これを買いたいの!」
「ん?なんだ突然に?」
ボーパルから承認申請が送られてきたのは小さなピンク色のリュックだ。
「サクラ用のリュックなの!折角だからダンジョンから持ってきた花びらを持っていくの!これから先も都合よく桜が咲いているとは限らないの!」
「だな。桜が無いと桜魔法は使えないもんな。んじゃ、購入っと。はい、サクラどうぞ」
「きゅい!」
DMで購入したピンクのリュックをサクラに背負わせると、ボーパルの登場と同時に飛び散っていた桜の花びらが自然と動き、サクラのリュックの中へと吸い込まれていった。
いや、自然と動いたわけじゃないな。サクラが魔法で動かしたんだから。
「万年桜は枯れないの。それは花びらになっても同じなの。でも、数日に1回はお水をあげるの!」
「いや、すぐに帰ってくるって言ってるだろ?それじゃあ行ってきます!」
「きゅい!」
「いってらっしゃいなの~~!」
何時までも手を振り続けるボーパルを背に、俺とサクラの2人旅が今始まる!
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「ただいま~」
「きゅい~」
「ジュンなの?おかえりなの!」
ダンジョンへと帰ってきた俺達が入り口の穴付近でボーパルを呼ぶと転移して迎えに来てくれた。
「どうしたの?忘れ物なの?まだ、出発してから半日も経ってないの」
ボーパルの疑問も尤もだろう。だって俺達はお昼前に出発して、お昼過ぎに帰ってきたのだから。
「・・・ダンジョンからな。30分程南に行ったら街道があってな。その街道沿いにまた30分ぐらい歩いたら町があったからお弁当食べて帰ってきた」
「きゅい!」
外出時間3時間程度で特に何にも会わずに散歩して、お弁当食べて帰ってきたとか、どう見てもピクニックです。本当にありがとうございます。
まぁ、でも場所はマップに記録したから次からは迷うことなく行けるぜ。
とりあえずまた明日、今度は朝1に出発しよう。そうしよう。
「なの~。安全第一なの~!」
「だよな。時間に余裕はありまくるしな。ゆっくり行こうか~」
「きゅい~」
こうして俺とサクラの初めての異世界散歩は幕を閉じた。
どうやらこの世界は思ったより俺に優しそうです。ダンジョンから徒歩1時間の位置に町がある事がいいことなのかは時と場合によると思うけどね。
え?イベントフラグにサクラの死亡フラグ?知らんな。
ウサギ1羽とウサギ以下1人で何ができると?俺達は安全第一でいかせてもらう。
商人の馬車がオオカミに襲われていても幼女が居なきゃ助けないぐらいには俺は安全第一で行くぞ!
ま、ともかく町に行くのは明日だな。今日はいっぱい歩いたら疲れた。ねむねむ・・・
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