最弱の英雄

皐月 遊

二章 10話 「俺探し」

「あ、そのライトさんって人の特徴を聞いてもいいですか?」

俺たち6人は、一度話し合おうという事になり、近くの公園に来ていた。

アリスの質問にセレナが

「ライトさんは…外見は黒髪黒目で、背の高さは…ちょうどラットさんと同じくらいです」

「黒髪黒目…? それって… 」

ヤバイ、アリスが俺の方を見てる! 
そりゃさっき黒髪は珍しいって話をしたばかりだしな…

どうしよう…とりあえず話題を変えなければ!

「へ、へー! 黒髪って珍しいらしいな! でも全員で探せばすぐ見つかるんじゃないか?」

無理矢理話題を逸らした、それにセレナが

「そうだといいんですが…王都は広いですからね」

と言ってくる。 いつも話すたびに毒を吐かれていたので、毒舌じゃないセレナは新鮮だった。

「じゃ、じゃあさ! ちょうど6人居るんだし3人ずつ別れて探せばいいんじゃないか?」

セレナ達といるといつボロがでるか分からないので、早めに別れておきたかった。

だが…

「なるほど、それはいい考えですね。 じゃあどういう風に分けますか?」

「え? どういう風にって…さっきと変わらずでいいんじゃないか?」

「それはダメだよラット、もしそれで僕達がライトさんを見つけても、ライトさんからしたら僕達は他人だ、怪しまれてしまうよ」

「な、なるほど…」

そして次にファリアがとんでもない事を口に出す

「ねぇ、別に3人ずつじゃなくて、2人ずつでもいいんじゃない? それなら3組できるし」

なんだと⁉︎  
2人になったら嫌でも話をしなければいけなくなってしまう。

「ボクはそれ賛成かな」

「私も賛成です!」

「アリス様が賛成なら、僕も賛成です」

「私も別に構いませんよ」

皆が賛成してしまったので、俺も仕方なく

「……俺も…賛成」

賛成してしまった。
だがまだ諦めてはいない! 
ペアを組む相手がソラだったらまだ希望がある。

ソラとペアになれば俺は自分の正体を明かし、ソラに協力を仰ぐことが出来るかもしれない。

神様頼むソラとペアにしてくれ! 頼むお願いします神様ーー!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「………………」

「では、よろしくお願いしますね? ラットさん」

「…あ、はい…」

俺とペアになったのはセレナだった。

組み合わせはファリアが決め、俺たちは「セレナが気軽に話せてたから」だそうだ。

よりによってセレナかよ…きまずい…

「せ、セレナさん? あの、ライトさんが行きそうな場所とか心当たりはないんですか?」

自分の名前をさん付けで呼ぶのは違和感が半端なかった。
俺の問いにセレナは落ち込みながら

「…すみません、私実はライトさんの事あまり知らないんです…」

まぁそりゃそうか、こんな質問をした俺がバカだった。

「それよりラットさん、私の事は呼び捨てで構いませんよ?」

「え…でも、いいんですか?」

「はい、私の名前を呼ぶ時、なんか無理してる感じでしたから。 あと、敬語もいいですよ」

事実だ、ずっとセレナを呼び捨てで呼んでいたのでいきなりさん付けで呼ぶのはめっちゃ大変だったのだ。

「分かった、じゃあセレナって呼ぶわ」

「はい、そうしてください」

「じゃあまずは…適当に王都を歩き回ってみるか?」

「…………あっ、そうですね、そうしましょう」

「どうかしたか?」

明らかに間があったので俺は疑問に思った

「いえ…なんか…あなたの話し方がライトさんに似ていたもので…」

そりゃ本人ですから…っといかんいかん、ならば話し方を変えなければ

「そ、そうでござるか」

「ぶっ! 」

話し方を変えようと思ったが中々思いつかなったので、適当に言ってみたらセレナが笑い出した。 
どうやらツボだったらしい

「な、なんで話し方を変えるんですか?」

「え、いや面白いかなと思って」

そんな会話をしながら、王都での俺探しは続いた。

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あれから俺らは1時間程王都を歩き回った

「いませんねぇ…」

「まぁ王都は広いし、そう簡単には見つからないだろうな」

「……やっぱり…怒ってるのかな…」

セレナがそんな事を口にだす。

まさかセレナがそんな風に考えていたとは思わなかった、あれは完全に俺が悪いのに。

セレナは自分が悪いみたいに考えているらしい。

もういっそ正体を明かしてしまおう、流石にもう意地をはるつもりはない、ちゃんと謝って、仲直りをしよう。

そう思い、俺はフードに手をかけながら

「せ、セレナ」

「はい?」

「あのな…実は俺が…」

フードを取ろうとした瞬間、王都にアナウンスのようなものが流れる。

『国民の皆様、急な放送をしてごめんなさいね?』

「な、なんだこれ?」

「この声は…王女様?」

どうやらこのアナウンスは今のこの国の王女様によるものらしい。

『突然ですが、お呼びしたい人物がおります。 今から名前を呼びますので、呼ばれた者は王城へいらしてくださいね』

「王女様からの呼び出し? なにがあるんだ?」

『まずは、ファリアとセレナ』

「セレナ、呼ばれたぞ?」

「な、なんで私達が…?」

『次に、アリスとカイン』

「え⁉︎ あいつらも⁉︎」

次々に知り合いの名前が呼ばれていく、そして…

『最後に、ライトさんと、ソラさん。 この6名は王城へいらしてください。 以上です』

……は? 
今、ライトって言ったか⁉︎ 
なんで俺の名前が王女様に知られてんだ⁉︎ 

「ライトさんも王女様に…? いったいなにが…」

それはこっちのセリフだ、何があるんだ?
それを知るには王城に行けばいいだけなのだが…

今の状況じゃ行けねぇよ…!  
どうすればいいんだ⁉︎ さっき正体を明かそうと思った瞬間にアナウンスきやがるし! 

おかげでタイミング失ったわ!

『あ、言い忘れてましたが』

ん? またアナウンス? 言い忘れたことってなんだ?

『わたくしは今水晶であなた達を見ています。 だからライトさん、あなたが今どこにいるかも分かりますよ?  』

「なっ⁉︎」

「ライトさんの場所が⁉︎」

王女様が今俺たちを見てる⁉︎ 

って事は…!

『今はラットと名乗っているのでしたね、セレナ、横に居るのがライトさんですよ? あなた達は遅れてきても構いませんので、ちゃんと仲直りしてきてくださいね?』

と言って王女様のアナウンスは終わる。

セレナがずっと俺の方を見ている。

「ほ、本当なんですか…? あなたが…ライトさん?」

「……悪い、王女様の言ったとおり、俺がライトだ」

俺はフードを取り、セレナに顔を見せる。
するとセレナは驚いた顔をして

「な、なんで今まで黙って…」

「最初はすぐに打ち明けようと思ったよ、でも、度胸がたりなかったんだ」

「私…ライトさんに会ったら、言いたいことがいっぱいあったんです」

「………あぁ」

「とりあえず、座りませんか? 」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺たちは直ぐ近くのベンチに腰を下ろした。

「………………………………」

「………………………………」

な、なんだこの間は… 

「えっと…」

「あの…」

両方同時に喋り出してしまい、お互いまた黙り込む。

どうしようか…

すごくきまずい

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