3人の勇者と俺の物語
136章 神の料理
目の前にはうず高く積まれた一面の食材。
周りにはこの世界の有数の料理人がずらりと並んでいる。
場所は帝都の王城の台所。設備は世界最高級。
ワタルの灰色の脳細胞は全力で回転していた。
神の料理人として最高の仕事ができる環境は揃っている。
熱く血液が燃え上がっている、興奮しているのがわかる。
自らの持つ全ての力をぶつけられる舞台を見つけられたのだ。
「それではみなさん。ご協力をお願いします」
「「「「「「「「「「「「「「ウィーーーームッシュ!!」」」」」」」」」」」」」」
ワタルの手によって各国の素晴らしい素材たちがその実力をいかんなく発揮して生まれ変わっていく、
ワタルが作業を見せて他のシェフたちが真似していく、
世界有数のシェフがこれだけ集まっていながらワタルの生み出す料理に感動をしていた、
その一挙一投足を目を皿のようにして盗む。
まるで魔法のように見たこともない組み合わせ、見たこともない料理が次々と生まれていく。
自分が一流と思っていた料理人達の根底さえ覆される新鮮な料理の数々。
その場にいる全ての人間が一人の例外もなく感動を覚えていた。
魚を捌くその一つをとっても学ぶことが多かった、包丁の動き、魚の押さえ方、大胆に走らせたと思った包丁が次の瞬間繊細な動きを見せる、その美しさに魅入られていると素晴らしい処置をされた素材が生まれている。ワタルの手によって一度死んだ生物が素材として生まれ変わっているようだった。
肉、魚、野菜、果実、香辛料、調味料、その全てが組み合わさり新しい奇跡がそこに誕生していく。
まさに奇跡に出会っている。この調理に参加した料理人は口をそろえてそう話すことになる。
夢の様な時間が過ぎ、目の前には一面の料理の海だ。
その一つ一つが輝き出すような魅力を放っている。
見ているだけで、香りを嗅いでいるだけで唾液腺を刺激してゴクリという音がそこら中でしている。
「さぁ、運びましょうか。皆さんが待っています。私達の結晶を皆さんに味わってもらいましょう!」
「「「「「「「「「「ウイームッシュ!!」」」」」」」」」」
来賓用の食堂では皇帝を中心に歓談がなされていた。
今日は体調がいいらしく皇帝も皆の冒険談を楽しそうに聞いており、ジークフリード皇子を喜ばせた。
盛り上がりを見せていた場に扉を開く音がすると自然と視線が集まる。
続々と運ばれてくる料理、その見た目も見たことがないほど美しく、
そしてその香りを人嗅ぎするだけで参加者の喉を唾液で潤し、お腹がなる。
ここ最近健康面で食欲の落ちていた皇帝さえも自らのあふれる唾液、そして動き出す腸に驚いていた。
「素晴らしい場所をお借りできつい張り切ってしまいました。
皆で作り上げました、ぜひ堪能下さい」
すっかりとシェフモードのワタルはコック帽を取り一礼する。
まずは皇帝が取り分けられた前菜に手を付ける。
「こ、これは!?」
皇帝の最近の体調不良を事前に聞いていたワタルは皇帝用の薬膳料理を用意していた。
皇帝の体調不良の原因は慢性貧血だった。
年齢も関連するものなのである程度は仕方がないことではあったが、
食が細くなり更に病状が進行してしまっていた。
ワタルは皇帝の体で起きていることを一目で見破り医食同源、様々な料理に貧血に対する栄養的なフォローをしていた。現代で言う鉄分補給とビタミン補強である。
そして、圧倒的な旨さ。それに勝るものはない。
皇帝の普段の姿を知っているものは驚いていた。
前菜をあっという間に平らげておかわりを要求していたのだ、
「皇帝陛下、まずは一通り食事をお楽しみいただいてからおかわりはお持ちいたします」
ワタルは従者に指示をしてフルコースを皇帝の前にすべて広げる。
「おお!」
まだ前菜を味わっている他のメンバーの目前にもすべての料理が広げられる。
すべての品が暴力的な魅力を放っている。
「も、もう我慢できん!」
理性の箍を最初に外したのは皇帝だった。
目の前に広げられた料理、最初に味わってしまった事による期待から、立場も忘れて貪り食べる。
それに習って皆ガツガツと食事に手を付ける。
料理人達も自分たちに用意された料理を貪るように食する。
一口ごとに世界の広がるほどの圧倒的スケールの料理、
食べた端から自らの血肉になり、幸せが訪れる料理。
これがワタルの本気であった。
「おかわりじゃぁ!!」
皇帝がすべての料理を平らげ更におかわりを要求する。
青白くコケた顔つきはすでにそこにはなく、往年の猛将であった頃の顔つきを取り戻していた。
「ええい、熱い!! こんなもの着ておれんわ!!」
皇帝の権威を表すマントをかなぐり捨てて持ってくる料理を次々と平らげていく、
錯覚ではなく全身の筋肉が隆起していく。
ジークフリード皇子も皇子の母である王女も久方ぶりに見る滾る皇帝の姿に感涙する。
未来の話だけど、皇子に妹ができるよやったね!
その日の食事会は末永く語り継がれる伝説の食事会になった。
たくさんの宮廷料理人に新しいやる気の焔を灯し、
サウソレス王の元に子供ができたり。
教皇の腰痛が治ったり。
ノーザンラクト女王とタイラー提督が結婚するきっかけを作ったり。
世界に様々な影響を与えたことをワタルは知らなかった。
ワタルも夜とても楽しんだから彼も満足であろう。
周りにはこの世界の有数の料理人がずらりと並んでいる。
場所は帝都の王城の台所。設備は世界最高級。
ワタルの灰色の脳細胞は全力で回転していた。
神の料理人として最高の仕事ができる環境は揃っている。
熱く血液が燃え上がっている、興奮しているのがわかる。
自らの持つ全ての力をぶつけられる舞台を見つけられたのだ。
「それではみなさん。ご協力をお願いします」
「「「「「「「「「「「「「「ウィーーーームッシュ!!」」」」」」」」」」」」」」
ワタルの手によって各国の素晴らしい素材たちがその実力をいかんなく発揮して生まれ変わっていく、
ワタルが作業を見せて他のシェフたちが真似していく、
世界有数のシェフがこれだけ集まっていながらワタルの生み出す料理に感動をしていた、
その一挙一投足を目を皿のようにして盗む。
まるで魔法のように見たこともない組み合わせ、見たこともない料理が次々と生まれていく。
自分が一流と思っていた料理人達の根底さえ覆される新鮮な料理の数々。
その場にいる全ての人間が一人の例外もなく感動を覚えていた。
魚を捌くその一つをとっても学ぶことが多かった、包丁の動き、魚の押さえ方、大胆に走らせたと思った包丁が次の瞬間繊細な動きを見せる、その美しさに魅入られていると素晴らしい処置をされた素材が生まれている。ワタルの手によって一度死んだ生物が素材として生まれ変わっているようだった。
肉、魚、野菜、果実、香辛料、調味料、その全てが組み合わさり新しい奇跡がそこに誕生していく。
まさに奇跡に出会っている。この調理に参加した料理人は口をそろえてそう話すことになる。
夢の様な時間が過ぎ、目の前には一面の料理の海だ。
その一つ一つが輝き出すような魅力を放っている。
見ているだけで、香りを嗅いでいるだけで唾液腺を刺激してゴクリという音がそこら中でしている。
「さぁ、運びましょうか。皆さんが待っています。私達の結晶を皆さんに味わってもらいましょう!」
「「「「「「「「「「ウイームッシュ!!」」」」」」」」」」
来賓用の食堂では皇帝を中心に歓談がなされていた。
今日は体調がいいらしく皇帝も皆の冒険談を楽しそうに聞いており、ジークフリード皇子を喜ばせた。
盛り上がりを見せていた場に扉を開く音がすると自然と視線が集まる。
続々と運ばれてくる料理、その見た目も見たことがないほど美しく、
そしてその香りを人嗅ぎするだけで参加者の喉を唾液で潤し、お腹がなる。
ここ最近健康面で食欲の落ちていた皇帝さえも自らのあふれる唾液、そして動き出す腸に驚いていた。
「素晴らしい場所をお借りできつい張り切ってしまいました。
皆で作り上げました、ぜひ堪能下さい」
すっかりとシェフモードのワタルはコック帽を取り一礼する。
まずは皇帝が取り分けられた前菜に手を付ける。
「こ、これは!?」
皇帝の最近の体調不良を事前に聞いていたワタルは皇帝用の薬膳料理を用意していた。
皇帝の体調不良の原因は慢性貧血だった。
年齢も関連するものなのである程度は仕方がないことではあったが、
食が細くなり更に病状が進行してしまっていた。
ワタルは皇帝の体で起きていることを一目で見破り医食同源、様々な料理に貧血に対する栄養的なフォローをしていた。現代で言う鉄分補給とビタミン補強である。
そして、圧倒的な旨さ。それに勝るものはない。
皇帝の普段の姿を知っているものは驚いていた。
前菜をあっという間に平らげておかわりを要求していたのだ、
「皇帝陛下、まずは一通り食事をお楽しみいただいてからおかわりはお持ちいたします」
ワタルは従者に指示をしてフルコースを皇帝の前にすべて広げる。
「おお!」
まだ前菜を味わっている他のメンバーの目前にもすべての料理が広げられる。
すべての品が暴力的な魅力を放っている。
「も、もう我慢できん!」
理性の箍を最初に外したのは皇帝だった。
目の前に広げられた料理、最初に味わってしまった事による期待から、立場も忘れて貪り食べる。
それに習って皆ガツガツと食事に手を付ける。
料理人達も自分たちに用意された料理を貪るように食する。
一口ごとに世界の広がるほどの圧倒的スケールの料理、
食べた端から自らの血肉になり、幸せが訪れる料理。
これがワタルの本気であった。
「おかわりじゃぁ!!」
皇帝がすべての料理を平らげ更におかわりを要求する。
青白くコケた顔つきはすでにそこにはなく、往年の猛将であった頃の顔つきを取り戻していた。
「ええい、熱い!! こんなもの着ておれんわ!!」
皇帝の権威を表すマントをかなぐり捨てて持ってくる料理を次々と平らげていく、
錯覚ではなく全身の筋肉が隆起していく。
ジークフリード皇子も皇子の母である王女も久方ぶりに見る滾る皇帝の姿に感涙する。
未来の話だけど、皇子に妹ができるよやったね!
その日の食事会は末永く語り継がれる伝説の食事会になった。
たくさんの宮廷料理人に新しいやる気の焔を灯し、
サウソレス王の元に子供ができたり。
教皇の腰痛が治ったり。
ノーザンラクト女王とタイラー提督が結婚するきっかけを作ったり。
世界に様々な影響を与えたことをワタルは知らなかった。
ワタルも夜とても楽しんだから彼も満足であろう。
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