3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

112章 ユウキとのデート♪

 「カレン、おはよう」

 まだ眠そうなカレンの頬に優しくキスをするワタル。

 「わ、ワタル様すみません私のほうが先に起きなければいけないのに・・・・・・」

 「昨夜はちょっと無理させちゃったかな?」

 昨夜のことを思い出して赤面するカレン。さぞお楽しみだったのでしょう。
 直ぐに起きだしてハーブティーと昨日の魚をフライにしたサンドイッチを手早く作る。
 その姿にワタルはカレンはいい奥さんになるなぁとニヤニヤと妄想を広げていた。
 優雅に朝食を頂いてから帝都へ戻る。
 今日はユウキとのデートだ。
 昨日の罵詈雑言からワタルは待ち合わせ場所を女神の盾商会に変更していた。
 まぁ、街歩けば『あの最低男絶対に許さない隊』に見つかるので無駄なのだけど、
 ワタルはそんな隊ができていることを知らないので仕方がない。

 ユウキとのデートのコーディネートはなんと学生服だ。
 これはユウキからバッツに頼まれていたらしい。
 学生デートがしたいとのユウキの提案からワタルの学校の詰め襟の学生服を作ってもらった。
 ユウキの制服姿かぁ・・・・・・
 今のユウキは目を見張る美少女だけどどうしても頭の片隅に昔の男だった時の姿がかぶるんだよねぇ、
 中性的なイケメンだったからなぁ、とワタルがボーッとしてると後ろから目を押さえられる。

 「だーれだ?」

 「うーん、ユウキかな?」

 「あったりー」

 振り返ると絶世の美少女がいた。
 もう、なんていうか、天使? どこのアイドルだよってセーラー服の女子高生がそこに立っていた。

 「か、かわいいなぁ・・・・・・」

 思わず漏れるワタルの本音、ユウキは少し照れくさそうにエヘヘって笑ってクルッと回る。

 「あんまりスカートはかないからちょっと落ち着かないけど、ワタル君もカッコいいよ!」

 照れ隠しはバレバレだけど、それでもワタルは嬉しかった。

 「今日は学生らしくショッピングしてブラブラしよー!」

 「おー!」

 ユウキは目に見えて浮かれていた。ワタルもなんだか楽しくなって来ていた。
 そりゃそうだ、絶世の美女がセーラー服を着ている、ちょっと胸の部分の主張が強すぎる気もするがワタルは大好物だ。その子が楽しそうに隣を歩いている。これでテンションが上がらない男がいるだろうか? いやいない。

 「ワタル君あれ買おうよ!」

 いろんな屋台でクレープみたいなのや串焼きなどを買いながらお店を冷やかして回る、
 時々洋服をお互い選んで買ったり、今日の記念だとアクセサリーをプレゼントしたり、
 まさに王道デート、しかも制服。ワタルには効果抜群だ!

 「あー、楽しい。ごめんね私のほうが楽しんじゃってるね!」

 「そんなことないよ俺も楽しいよ、楽しそうにしてるユウキ見るのも嬉しいし」

 「あ・・・・・・もう、なんでワタル君はそういう嬉しいことサラっというかなぁ」

 二人は少しはしゃぎすぎたので喫茶店に入る。
 実は回りにいる客の何人かはずっと二人を監視している。
 そもそも二人の格好はこの世界だと非常に目立ってしまう。

 余談ではあるけど、この二人の服装が一部の人の間で人気になって、
 世界中に広がっていくのはまた別の話だ。

 次から次へと美しい女性と歩いている色男の噂は今帝都で一番ホットな話題だった。
 すれ違う人が、あーアレが噂の、と言った感じチラチラ見てくる。
 二人は大体の事情は理解していたけど、気にしても仕方ないのでもう気にしないことにした。

 「私達が良ければそれでいいでしょワタル君」

 「まぁ、そうだね!」

 その後もウィンドウショッピングやら買い食いなどをしながらお祭りを堪能した二人。
 ユウキが抑えていたレストランへ向かう。
 買い食いで膨れたお腹はもったいないけど魔法にて夜ご飯を食べるのに適した状態へさせてもらう。

 「ほんと魔法っていいよね、代謝上げたりできるからダイエットも簡単だね」

 「まぁ肉体に作用する魔法はコントロールが難しいからねぇ、万能ってわけじゃないけど」

 「でもワタル君は万能でしょ?」

 いたずらっぽく笑いかけるユウキ、お店の照明と合わせてその美しさがより際立つ。

 「どうしたの?」

 その美しさに言葉を失ってしまっていたワタル、

 「い、いやー。ユウキが素敵すぎて言葉失ってた」

 ポリポリと頭をかくワタル。でも実際には恥ずかしかったのはユウキの方だ。

 「ほんとに・・・・・・ワタル君は女の子泣かしてそうだよね」

 「え? な、なんか酷いこと言った? ごめん」

 「ううん、違うの。・・・・・・私、本当に今日強く思った。
 この世界にこれてよかった。
 前の場所ではなんか落ち着かなかった。自分がここにいるのが嘘みたいで、
 自分自身も周りもみんなどうでも良かった、
 でも、ワタルは違かった。ぼんやりとした世界でワタルだけハッキリと見えていた。
 自分の気持に気がついて、自分のこころとからだの問題に気がついて、
 ワタルが死んだって聞いて、もうぐちゃぐちゃだった時にすがるようにこの世界に来てしまったけど、
 今ははっきりと言える。本当にこの世界に来れてよかった。
 こうしてワタルに再会出来た。女としてワタルの側で生きていける。
 こんなに素晴らしいことが世界にあったんだぁって今本当に・・・・・・幸せなんだ」

 ユウキの片頬を一筋の跡をつける。

 「俺も、ユウキに出会えて救われて。向こうの世界では死んじゃって。
 よくわかんないまんまこの世界でいろんなことに巻き込まれたけど。
 ユウキに再会したとき、ああ、このためにこうなったのかな? ッて思ったよ。
 俺がこれからユウキを幸せにしていくよ、君が色を付けてくれた僕の人生を君の側で使うよ」

 すでにユウキはボロボロと泣き出してしまっていた。
 自分にこんな幸せが訪れるなんて思っていなかった。
 自分はこのままいじめられ続けていつか耐えられずに死ぬと思っていた、
 何の価値もない人生が美しく道がひかれて手を引いてくれる人が現れた。
 こんな幸せなことはなかった。

 食事を終えた二人はペルセポネの館でそれはもう幸せな時間を過ごすのでありました。
















 制服だからね、そりゃぁもうね。

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