3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

110章 クウとのデート♪

 「おはようリク」

 「ん~~、ワタルおはよー!」

 清々しい朝だ、ワタルは今日も最高な一日になりそうな予感を感じて幸せを噛み締めていた。

 「今日はクウとデートだよね、楽しんできてね」

 「うん、リクありがとう」

 待ち合わせの時間はお昼前、まだ余裕がある。
 朝風呂に入って、バッツのコーディネートに着替えて出発してちょうどいいくらいだ。
 ワタルは昨日からの幸せの余韻に浸りながら朝風呂を満喫する。

 「はぁ~~、なんだか幸せすぎてヤバイな・・・・・・」

 ワタルがいた日本ではこんなことは考えもしなかった。
 異世界に来て5人もの女性と付き合って、しかも女性同士の関係も良好。
 まさに、ハーレムだ。

 「でも、ユウキはどう思ってるんだろ・・・・・・」

 同じ地球の日本の価値観を持つユウキは実際はどう思っているんだろう。
 どうしてもワタルはそれが気になっていた。

 「明後日にちゃんと聞かないとな、まぁ、今日はクウと楽しまないと」

 全員を大事にする。ワタルは皆とそういうことになった時にそう決めている。
 皆公平に、そして自分の全てをかけて全員を幸せにしよう。と。
 まぁ、当たり前ですよね。アレだけの美女たちに囲まれていつも幸せそうにしていちゃいちゃもしてみんな相手にしたりもう男の夢のような日々を送ってるんだから。逆にこれで大切にしなかったら全世界の人間が許さないですよ、ええ、絶対。

 今日のワタルのコーディネートは上半身は少し大人っぽく白のYシャツにブレザー、足元は逆に崩してダメージジーンズ風パンツにブーツ。全てバッツに要望を伝えて作ってもらった物だ。
 大人っぽくそれでいて遊び心を忘れないコーディネートなんだそうだ。
 約束の場所へ向かうと少し人だかりができていた。
 約束の時間までもう少しだけどまだクウの姿はなかった、キョロキョロと見回しているとワタルは声をかけられる。

 「ワタ兄こっちこっちー」

 声は人だかりからする。よく見るとブンブンと手を振られている、
 ざざっと人垣が割れてクウが姿を現す、周囲の人だかりはみんな男で苦々しくワタルを睨みつける。

 「ねー、だから言った。時間の無駄。私の相手はワタ兄だけ」

 ゾワッと周囲の男から明確な殺意が沸き立つのがわかる。
 ひそひそと、アイツ昨日別の女と・・・・・・って声も聞こえるがワタルとクウには聞こえていない。
 これもワタルに起きる受難のきっかけになることを後のワタルは知らない。

 人垣が出来るのも無理は無い、クウの格好は胸元を強調し体のラインを強調するシャツにホットパンツ。似合っているからいいようなものの刺激的すぎると言っていい。
 クウはワタルに駆け寄るとその腕をとり、所謂当ててんのよポジションで腕を組む。
 さらに殺気は強まる。

 「いこ、ワタ兄」

 どす黒い感情が渦巻く場所から颯爽と歩き去る美男美女。
 残されたのは敗北感と嫉妬心が渦巻く辛気臭い男たちであった。
 格差社会がここに存在した。確かにここに。

 「昨日と同じように今日は私が全部決めたからワタ兄は任せてね」

 「わかった。楽しみにしてる。ところでさっきのアレは・・・・・・?」

 「なんか変なのいっぱい寄ってきた。人待ってるって言ったのにあんな騒ぎになった」

 「ああ・・・・・・まぁ仕方ないよね。今日のクウ凄い魅力的だから」

 「え・・・・・・うん。ありがとう。ワタ兄もなんかいつもと違ってカッコいいよ」

 「はは、ありがと」

 クウがセクシーな路線でいっているのでワタルが大人っぽくまとめているおかげで非常にバランスよく見える二人、この辺りもバッツの優れたセンスが十二分に発揮されている。
 いまのとこリクとクウが来てくるであろう洋服を的中させる当たりもデキる男である。

 いちゃいちゃしている二人が向かったのはオークション会場側に特設されている遊園地のような場所。
 サーカスやいろいろな遊具が広場に所狭しと並べられている。

 「おお、こんなの出来てるんだ! ジェットコースターあるかなぁ・・・・・・」

 「ジェットコースター? それってどういうの?」

 「うーん、なんか二人乗りの椅子にのってレールの上をすごいスピードで旋回したり登り降りしたりーって言えばいいのかな?」

 「ああ、ライドゴーみたいな感じかな?」

 「ライドゴー?」

 「うん、あれ」

 クウが指差す先にあったものはジェットコースターとは違うものではあったが、
 遥かに恐ろしい遊具だった。
 なんと板の上に立って凄まじい勢いで空をビュンビュンと飛んでいる。よく見ると板の下にはキラキラとした道がひかれていてそれにそって飛んでいることがわかる。

 「うっわ、何アレ!? てか、あの人逆さまで、うっわ! 落ちないの!?」

 「風魔法と土魔法使ってるらしい、はず。乗る?」

 「え? あれ? めっちゃ怖いよね?」

 「へーきへーき」

 ぐっとワタルの腕を掴む手に力が入り心地よい柔らかさが押し付けられる、
 鼻の下を伸ばしている間にライドゴーと呼ばれるオソロシイ遊具まで連れてこられる。
 人気があるらしいが次から次へと板に乗せられ出発していくので回転は早い。
 あっという間に二人の順番になる。

 「こ、これちゃんと固定されてるよね、離れないよね?」

 「もう、ワタ兄早く乗って」

 「いや、だってこれすうううううううううううああああああああああああ・・・・・・!!」

 あっという間に上空へ発射されるワタル、クウはさっと板に乗りその後へと続く、

 「あ、足がこ、固定されてて逆にこ、こわうううううあああああああああ!!」

 一転して急降下、急旋回、回転、ひねり、また急上昇。
 全て終わり発着所に着いたワタルは5歳位年をとっていた。

 「あーーー久しぶりに乗った-たのしー!」

 クウが珍しく喜びを全開で表現している。

 「あ・・・・・・はははは・・・・・・すごかった、こう、ぎゅわんってぐわんって・・・・・・」

 「もう一回乗ろうよ!」

 「え!? いやー、僕はいいかなぁ・・・・・・」

 「え~~乗ろうよ~~」むぎゅ~~

 上目遣いからの当ててんのよコンボ。男は死ぬ。

 こうしてクウが満足するまで幾度も乗るハメになるワタルであった。
 クウは当初の目的をすっかり忘れて、その後も楽しさ一杯で全ての遊具を制覇していくのでありました。

 まぁ、夜はとっても仲良しに過ごして、幸せそうなクウの姿に一日の苦労も全て吹っ飛んでラブラブしているワタルでありました。

 

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