3人の勇者と俺の物語
106章 バッツとカレン
バッツとカレンは女神の盾の中で先輩としてよく話すことも多かった。
ハッキリ言ってしまえばワタルもリク、カイ、クウの三人も冒険者としては戦闘能力は申し分はないが、
まだまだ若い。人間関係や社会との関係は未熟だ。それをフォローしていたのはカレンでありバッツだった。
そのせいもあり二人はパーティにおける大人としての役割をになっている。
メディアスやバイセンの子どもたちを守りたいという温かい気持ちが二人に脈々と受け継がれている。
戦闘においてもバリバリの近接であるバッツと遠距離と魔法主体なカレンは相性がよく、
コンビネーションをとって戦うことも多いのだ。
現在斧アレスと手甲アレスに対しても二人は組んで相手をしている。
徒手空拳の手数はバッツの大剣ではやや対応が難しく、斧による強力な攻撃は弓使いのカレンには少々やっかいであった。二人が組んで戦うのは自然な流れだった。
バッツは大剣を手足のように使い二人の攻撃を捌いている、
バッツの剣技は剛の力を振るいながらも動きは静。
流れるような水のような動きで相手の攻撃を受け流し、疾風のように相手を斬りつける。
その立ち姿は山のように不動、しかしいざ攻めてに回ると烈火のように激しい。
剣術使いとしてのひとつの究極のような戦い方をする。
手甲アレスはその機動性を最大限に活用してバッツを自由に動かさせないようにしている、
そうして斧アレスが攻撃する機会を増やしていく、この二人も中身が同じだから当然だが抜群のコンビネーションを誇っている。
カレンはバッツの背後から彼を補佐する。
放つ弓撃は神速必中。魔力により七色の変化をしてどんな状況にも臨機応変に対応する。
異次元魔法も使い、精霊魔法も合わせて変幻自在な戦い方が可能だ。
ただ基本は後衛職なのでガンガン前衛に迫られるのは得意ではない。
バッツがタゲ管理をしてくれているのでバッツが動きやすいように援護を行っていけばいい。
手甲アレスは圧倒的な手数と機動力、攻撃の変化でバッツの一方的な攻勢を許さない。
少しでもバッツが攻勢に出ようとすれば斧の強力な攻撃が加えられる、
この辺りのコンビネーションは非常に完成度が高い、
カレンは出来る限り手甲アレスに自由な行動を与えないように移動範囲を限定させるように攻撃していく、斧アレスに対しても強力な攻撃力を十分発揮できないように間断なく攻撃する。
バッツ自身は守勢に回り一点の隙を虎視眈々と狙っていく。
異次元魔法は元がアレス神の世界の魔法なので対処は相手のほうが上手だ、
精霊魔法による援護とバッツへのバフをしっかりと行いながら弓による攻撃を主体に戦う。
バッツも珍しい格闘家との戦闘に最初はなかなか攻め手を欠いていたが少しづつ戦い方も理解してきていた。
ヒットアンドウェイの高速戦闘が格闘の肝だ。
防御も避けることを主眼に置いている。
相手の戦闘の意図が読めてくれば対応策も打てる、もちろんある意図に向かって積み重ねていく罠もあるから盲信は危険だ。
それでも何合も打ち合いを重ねて相手の動ける範囲やスピードの予想はついてきていた。
まずは相手を把握する。長いこと冒険者として生きてきた二人の共通した認識だった。
そのせいで他の若いメンバーの戦闘に思うこともあるが、勢いの重要性が伸び盛りのメンバーにとって大事ということも理解していた。
久しぶりにペアでの戦闘でしっかりと相手を見据えて戦闘が出来ている。
そして今情報は集まった。二人は一気に攻勢へ転じる。
「影狼、雷鳥、豪猿よ顕現せよ」
カレンは精霊魔法で使い慣れた精霊を呼び出す。この世界の精霊に異世界の理を用いてオリジナルの精霊をいくつも作り出していた。
その中でもお気に入りの3体が影狼、雷鳥、豪猿だった。
影に潜み奇襲を得意とする影狼、空中から雷を飛ばし自らを雷につつみ高速戦闘を得意とする雷鳥、
魔力を帯びた鋼の毛皮で身を包み剛力で壁として戦う豪猿。
この3体を呼び出しての戦闘をカレンは好んでいた。
バッツも戦闘時によく目にしており皆の動きは理解していた。そしてカレンが何をしようとするのかもよく理解していた。
バッツは迷うことなく全力で手甲アレスと向き合う。
カレンと精霊は斧アレスを食い止めてくれる、その間に目の前の敵を倒すのだ。
バッツは見に徹して護りを固めていたのを一気に攻勢に転じる。
もともとバッツは相手の魔法攻撃を封じていることの利点を利用して一気の殲滅を得意としている。
大きく息を吸い込み、弾けるように地面を蹴る。
「ドラァ!!」
普段の静かな剣技とは似ても似つかない凄まじい一振り、
突然の突進に虚を突かれた手甲アレスはその強力な一撃を受けることは不可能と判断し、
大きく身を翻し避けようとする。
実際バッツの一撃は強力でこの判断は正しいのだが、別に渾身の一撃でもなく力任せの一撃でもないことを読み取れなかったのは致命的であった。
バッツは冷静に敵の反応を捉え、不敵に笑う。
「それは悪手よぉ~」
先ほどの大ぶりで生じた衝撃波が突風を引き起こしている中、バッツは静かに構え直し身を崩した手甲アルスへと二の太刀を放つ、鋭く、静かな刃筋。いつものバッツの最速の剣。
手甲アルスもその剣撃にはまだ反応できている、しかし体制が崩れ大きく避けることが出来ない、
手甲による防御しか選択肢を与えてもらえなかった。
しかしバッツの刃はすでに次を放っている、三の太刀、四の太刀、五の太刀、六の太刀、次から次へと襲いかかる刃、その間隔、剣撃の鋭さはどんどん増していく、
体勢を直す隙も与えられず必死に受けようとするも肩を斬られ脇を斬られ太腿を斬られどんどんボロボロになっていく、それでもなお剣速は鈍ることもなく光の渦となって手甲アレスを飲み込んでいく。
「九十九嵐月」
光が包み込みその存在を消し去ったあと、佇むバッツが静かに呟き戦闘の終わりを告げる。
「カレン今行くわよ~」
そう告げて斧アレスへと走りだす。
斧アレスは体中に矢を受けてハリネズミのようになっていた、
すでにこちらの戦闘も終わりを告げようとしていた。
安全策を取って牽制を続けていたがバッツの戦闘が終わったことで思い切った攻撃を放つことができる。
「天弓破城剛爪弓」
無数の矢を放つと空中に水面でもあるがごとく空間にその矢が消えていく。
敵を包む無数の水面から一斉にその矢が四方八方から襲いかかる、
いかに斧で振り払おうともその全てを避けることは出来ない、
カレンは強大な力を込めてたトドメの一撃を放つ。
正面から迫るエネルギーの塊、斧アレスは自らを滅ぼしうるその一撃に全ての防御を傾ける、
全力の一振りがその一撃を打ち払う、
しかし、その一振りは虚しく空を切り裂き、水面に消えた一撃は直上からその身を貫いていた。
こうしてカレンの戦闘も終わりを告げた。
ハッキリ言ってしまえばワタルもリク、カイ、クウの三人も冒険者としては戦闘能力は申し分はないが、
まだまだ若い。人間関係や社会との関係は未熟だ。それをフォローしていたのはカレンでありバッツだった。
そのせいもあり二人はパーティにおける大人としての役割をになっている。
メディアスやバイセンの子どもたちを守りたいという温かい気持ちが二人に脈々と受け継がれている。
戦闘においてもバリバリの近接であるバッツと遠距離と魔法主体なカレンは相性がよく、
コンビネーションをとって戦うことも多いのだ。
現在斧アレスと手甲アレスに対しても二人は組んで相手をしている。
徒手空拳の手数はバッツの大剣ではやや対応が難しく、斧による強力な攻撃は弓使いのカレンには少々やっかいであった。二人が組んで戦うのは自然な流れだった。
バッツは大剣を手足のように使い二人の攻撃を捌いている、
バッツの剣技は剛の力を振るいながらも動きは静。
流れるような水のような動きで相手の攻撃を受け流し、疾風のように相手を斬りつける。
その立ち姿は山のように不動、しかしいざ攻めてに回ると烈火のように激しい。
剣術使いとしてのひとつの究極のような戦い方をする。
手甲アレスはその機動性を最大限に活用してバッツを自由に動かさせないようにしている、
そうして斧アレスが攻撃する機会を増やしていく、この二人も中身が同じだから当然だが抜群のコンビネーションを誇っている。
カレンはバッツの背後から彼を補佐する。
放つ弓撃は神速必中。魔力により七色の変化をしてどんな状況にも臨機応変に対応する。
異次元魔法も使い、精霊魔法も合わせて変幻自在な戦い方が可能だ。
ただ基本は後衛職なのでガンガン前衛に迫られるのは得意ではない。
バッツがタゲ管理をしてくれているのでバッツが動きやすいように援護を行っていけばいい。
手甲アレスは圧倒的な手数と機動力、攻撃の変化でバッツの一方的な攻勢を許さない。
少しでもバッツが攻勢に出ようとすれば斧の強力な攻撃が加えられる、
この辺りのコンビネーションは非常に完成度が高い、
カレンは出来る限り手甲アレスに自由な行動を与えないように移動範囲を限定させるように攻撃していく、斧アレスに対しても強力な攻撃力を十分発揮できないように間断なく攻撃する。
バッツ自身は守勢に回り一点の隙を虎視眈々と狙っていく。
異次元魔法は元がアレス神の世界の魔法なので対処は相手のほうが上手だ、
精霊魔法による援護とバッツへのバフをしっかりと行いながら弓による攻撃を主体に戦う。
バッツも珍しい格闘家との戦闘に最初はなかなか攻め手を欠いていたが少しづつ戦い方も理解してきていた。
ヒットアンドウェイの高速戦闘が格闘の肝だ。
防御も避けることを主眼に置いている。
相手の戦闘の意図が読めてくれば対応策も打てる、もちろんある意図に向かって積み重ねていく罠もあるから盲信は危険だ。
それでも何合も打ち合いを重ねて相手の動ける範囲やスピードの予想はついてきていた。
まずは相手を把握する。長いこと冒険者として生きてきた二人の共通した認識だった。
そのせいで他の若いメンバーの戦闘に思うこともあるが、勢いの重要性が伸び盛りのメンバーにとって大事ということも理解していた。
久しぶりにペアでの戦闘でしっかりと相手を見据えて戦闘が出来ている。
そして今情報は集まった。二人は一気に攻勢へ転じる。
「影狼、雷鳥、豪猿よ顕現せよ」
カレンは精霊魔法で使い慣れた精霊を呼び出す。この世界の精霊に異世界の理を用いてオリジナルの精霊をいくつも作り出していた。
その中でもお気に入りの3体が影狼、雷鳥、豪猿だった。
影に潜み奇襲を得意とする影狼、空中から雷を飛ばし自らを雷につつみ高速戦闘を得意とする雷鳥、
魔力を帯びた鋼の毛皮で身を包み剛力で壁として戦う豪猿。
この3体を呼び出しての戦闘をカレンは好んでいた。
バッツも戦闘時によく目にしており皆の動きは理解していた。そしてカレンが何をしようとするのかもよく理解していた。
バッツは迷うことなく全力で手甲アレスと向き合う。
カレンと精霊は斧アレスを食い止めてくれる、その間に目の前の敵を倒すのだ。
バッツは見に徹して護りを固めていたのを一気に攻勢に転じる。
もともとバッツは相手の魔法攻撃を封じていることの利点を利用して一気の殲滅を得意としている。
大きく息を吸い込み、弾けるように地面を蹴る。
「ドラァ!!」
普段の静かな剣技とは似ても似つかない凄まじい一振り、
突然の突進に虚を突かれた手甲アレスはその強力な一撃を受けることは不可能と判断し、
大きく身を翻し避けようとする。
実際バッツの一撃は強力でこの判断は正しいのだが、別に渾身の一撃でもなく力任せの一撃でもないことを読み取れなかったのは致命的であった。
バッツは冷静に敵の反応を捉え、不敵に笑う。
「それは悪手よぉ~」
先ほどの大ぶりで生じた衝撃波が突風を引き起こしている中、バッツは静かに構え直し身を崩した手甲アルスへと二の太刀を放つ、鋭く、静かな刃筋。いつものバッツの最速の剣。
手甲アルスもその剣撃にはまだ反応できている、しかし体制が崩れ大きく避けることが出来ない、
手甲による防御しか選択肢を与えてもらえなかった。
しかしバッツの刃はすでに次を放っている、三の太刀、四の太刀、五の太刀、六の太刀、次から次へと襲いかかる刃、その間隔、剣撃の鋭さはどんどん増していく、
体勢を直す隙も与えられず必死に受けようとするも肩を斬られ脇を斬られ太腿を斬られどんどんボロボロになっていく、それでもなお剣速は鈍ることもなく光の渦となって手甲アレスを飲み込んでいく。
「九十九嵐月」
光が包み込みその存在を消し去ったあと、佇むバッツが静かに呟き戦闘の終わりを告げる。
「カレン今行くわよ~」
そう告げて斧アレスへと走りだす。
斧アレスは体中に矢を受けてハリネズミのようになっていた、
すでにこちらの戦闘も終わりを告げようとしていた。
安全策を取って牽制を続けていたがバッツの戦闘が終わったことで思い切った攻撃を放つことができる。
「天弓破城剛爪弓」
無数の矢を放つと空中に水面でもあるがごとく空間にその矢が消えていく。
敵を包む無数の水面から一斉にその矢が四方八方から襲いかかる、
いかに斧で振り払おうともその全てを避けることは出来ない、
カレンは強大な力を込めてたトドメの一撃を放つ。
正面から迫るエネルギーの塊、斧アレスは自らを滅ぼしうるその一撃に全ての防御を傾ける、
全力の一振りがその一撃を打ち払う、
しかし、その一振りは虚しく空を切り裂き、水面に消えた一撃は直上からその身を貫いていた。
こうしてカレンの戦闘も終わりを告げた。
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