3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

94章 語らい

 ユウキは自分の身体の変化に気が付き始めていた。
 妙に身体が熱い。レベルアップを急激に行うとその夜に酷い身体の痛みを起こすことは知っていた。
 今回のような物凄いレベルアップの経験はなかったのでその影響かな? と楽観視していた。
 以前に受けたレベルアップ痛は苦しかったので、今回のがどれだけひどいのか怖くもあった。

 「ここか・・・・・・」

 扉を開ければワタルが待っている。
 そう考えると身体が一層熱くなるのを感じる。
 ただ暑くなるのではなく体の芯から熱くなっていく。
 あの、ワタル、がこの扉の向こうにいるのだ。
 そう思うだけで顔が赤くなる。
 冷静のふりをするのも大変だった。
 隣にワタルがいる。優しい声をかけてくれる。笑顔を向けてくれる。
 ワタルにはたくさんの恋人がいるのはわかっている。
 皆勇者だ。それにくらべて自分は魔王、人類の忌むべき敵だ。
 自分がワタルの隣にいる資格はない、島を取り戻したら、また島へ引きこもろう。
 今が夢の様なものだ。
 ワタルの料理は美味しかったなぁー、お風呂も素敵だったし。
 死んでしまったと思っていたワタルにまた出会えた、
 それだけでもこれ以上ないくらいの奇跡。
 嬉しかったなぁ・・・・・・

 「・・・・・・あれ?」

 気がついたら一筋の涙が頬を伝っていた。

 「ユウキ?」

 背後から声をかけられる。ワタルはまだ部屋に入っていなかったんだ、
 かすかな風が彼から素敵な香りを運んでくる。
 振り返ることも出来ずにカレンは問いかける。

 「お風呂入ったんだねワタルも」

 「あ、ああ。別の拠点でささっとね。汗臭い男にマッサージされるなんて嫌だろ?」

 「そんなことない!!」

 思ったよりも大きな声が出てしまったことにユウキ自身が驚いていた。

 「お、おお、そうか、ま、まぁ男同士だもんな」

 ズキンと胸が傷んだ。
 完全に調子に乗っていた。
 そうだ、ワタルにとって私は『ユウキという名の男友達』なんだ。
 当たり前じゃないか。なにを期待していたんだ。

 「そうだね。じゃぁ、入ろうか」

 いつもの冷静な声を取り戻し、ユウキは扉を開ける。
 心は土砂降りの雨だ。

 「そしたらうつ伏せによこになってもらえるかな? あの痛み抑えるのは結構念入りにやらないといけないから、しんどかったら言ってね」

 「うん、ありがと」

 ワタルの優しさが辛い。
 ワタルがかけてくれる優しい声が辛い。
 ワタルが私を思ってかけてくれる言葉の内容が辛い。

 「じゃあ触るよー」

 ワタルが優しくしてくれる事がこんなに辛いなんて・・・・・・
 ワタルの手のひらから体温が伝わ、ん? なんか、すっごく・・・・・・
 気持いいいいいいいいいい!!!!!!

 「ちょ!!!! ちょっと待って!!」

 「ど、どうしたの!? びっくりした!!」

 「な、なんか滅茶苦茶に気持ちが良かったのですが何をなさったのですか!?」

 「い、いや普通に肩をもんだだけだけど・・・・・・」

 「そ、そう。ご、ごめんね、続けてください」

 「う、うん。そしたら続けるね」

 ぐはっ!!!! だめ!! き、きもちいいいいいい!!
 おか、おか、おかしく、おかしくなる!!

 「わ、ワタルゥ! き、きもちいいよぉ!」

 思わず雌の声が出てしまう。

 「こ、こってるからなぇ。せ、背中に移動してくね」

 心なしかワタルの吐息も激しい。

 「ああ、背中、背中すごいよぉ。そこ、そこ気持ちいい。ああ・・・・・・」

 「ユウキは昔から声綺麗だけど、今はもっと綺麗で完全に女性だね・・・・・・」

 嬉しい、ワタルに褒められて嬉しい。
 ワタルに触れられて嬉しい。

 「ワタルゥ、私今はもう女なんだよ、気持ち悪いかもしれないけど、女なんだよ」

 ワタルの手が止まる。というか私は今何を言った? ユウキ自身も混乱していた。
 ワタルのマッサージの快楽に完全に酔いしれてとんでもないことを口走ってしまった。

 「・・・・・・ユウキは女の子なの?」

 ワタルが重い口を開いた。

 「うん・・・・・・性同一性障害って言って。心は女なんだけど、身体は男。それが日本での自分。
 この世界では本来の魂の性別である女になれたの」

 二人の間に沈黙が流れる。

 「そしたらさ、俺は異常じゃないんだよね?」

 「え?」

 「俺、さっきからユウキのこと滅茶苦茶意識しちゃって、
 そんな自分が変なんだって・・・・・・」

 「嬉しい・・・・・・私にとってワタルは最後の希望だった。それが奪われて全てに絶望して、
 そしてこの世界に救われた。さらに再びワタルに出会えた。こんなに幸せなことはない」

 「俺だってユウキに命を救われた。俺の世界に色を付けてくれたのはユウキだった。
 ユウキは誰よりも大事な人だよ」

 ユウキはワタルの方へ向き直る。
 ベッドの上で見つめ合う二人。
 ワタルは自分に起きている症状から自分にされたことを理解していたが、
 あえて魔法などでそれを解毒などは行わなかった。
 彼自身もその状況を利用していた。

 「つ、続けていいかな。手を貸してもらっていい?」

 ユウキは静かに頷くとその美しい手をワタルに差し出す。
 ワタルは優しく手のひらからマッサージをしていく。まるで恋人同士の愛撫のように優しく。
 やさしく触れる指先からワタルの体温がユウキに、ユウキの体温がワタルに伝わる。
 ワタルの目を見つめる、少し照れくさそうにそれでもまっすぐとユウキのことを見る。

 「あっ・・・・・・」

 ユウキは必死に快感を我慢しているが時折漏れる声と、
 我慢している姿がワタルを最高に興奮させていた。

 手のひらから腕、腰から太もも。ワタルが織りなす快感の波にユウキは完全に巻き込まれていた。

 「ワタルゥ、もう、もう・・・・・・」

 「最後足先まで我慢して」

 「ワタル、いぢわる・・・・・・」

 ずっきゅーーーんって音がするくらいワタルのど真ん中な表情をするユウキ。
 ワタルの理性の糸が切れるまでは秒読みであった。

 「はい、これで夜の痛みはほとんど起きないはずだング!?」

 ユウキは自分自身にこのような野獣のような一面があることに驚いていた。
 ワタルを組み敷いてその唇を奪っていた、始めは驚いていたワタルであったが、
 直ぐにお互いの舌を絡めあいお互いを求め合った。

 翌朝までハッスル(死語)しました。

 ワタルからユウキにいろいろなものが流れ込んで(下ネタ)女神の盾の一員となりました。


 ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■

  イチノセ ワタル
 Lv87 【目覚めし勇者】
 HP 16364 
 MP 9524 
 Str 603 
 Agi 618 
 Vit 589 
 Dex 867 
 Int 1046 
 Luk 398 

 【スキル】 女神と神獣の盾 勇者の力【覚醒】 深謀遠慮 神算鬼謀  明鏡止水 
 古今無双Lv10 神の料理人 神のマッサージ師 農畜産業の神 建築技工の真髄 
 酒神との会話 言語理解 麟子鳳雛 行動最適化Lv10 魔導の真髄Lv10 不朽不滅
 異次元魔法Lv10 護る力 農業魔法Lv10 生活魔法Lv10 激龍気 
 生殺与奪 聖剣操作Lv9 罠 幸運Lv5 詠唱破棄 円環の理

 【称号】 聖剣の聖女との絆 苦痛と快楽の申し子 ドラゴンスレイヤー 覚醒した勇者
 神々の加護 リクとの絆 カイとの絆 クウとの絆 カレンとの絆 バッツとの絆 ユウキとの絆New!
 魔の真髄を知りし者 激・龍脈の加護 酒神バッカスに愛されし者 女たらしNew!


  カスガ ユウキ
 Lv92 【真・魔王】
 HP 28745
 MP 15454 
 Str 1841 
 Agi 1974 
 Vit 1241 
 Dex 3474 
 Int 2796 
 Luk 1212 

 【スキル】 異世界知識New! 多列思考Lv10New! 円環の理New! 戦略兵器New! 
 近代兵器New! 魔獣懐柔Lv10New! 魔物言語New! 魔力支配Lv10New! 
 因果操作New! 剣技Lv10New! 槍術Lv10New! 狙撃Lv10New! 銃火器使用Lv10New! 
 アイテムBOX【無限】New! 激・龍気New! 概念魔法Lv10New!

 【称号】真・勇者との絆New! 魔物を統べるものNew! 激・龍脈の加護New! 一人武器庫New!
 一途New!

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