3人の勇者と俺の物語
79章 帝都への道
その日、一行は足止めを受けていた。
キャンピングカーの足回りを目立たぬ窪みのせいで損傷してしまっていた。
「ちょうどいいから車輪部分も全部一新させるわ~」
バッツが魔物の素材から足回りの改良を試みてくれている。
カイが魔法で車を持ち上げたり補助をしている、魔法を使えばジャッキや工具もいらないし、素材加工なんかの処理も全て出来てしまう。魔法の力って凄い!
ちょうど近くに森があったのでリク、クウ、カレンと一緒にパトロール兼狩りをしようという話になった。
魔法探知で変な動きをしている魔物がいないかをチェックする。
さっきの【黒】付きみたいに他の動物を襲ってるような魔物を見つけたら現場へ行ってみる。
もちろん肉食動物が草食動物を襲っていることもあるだろうけが、
放っておいて森の魔獣全部【黒】化しました。ってのも結局困ってしまう。
「ワタ兄、なんか一部探れないところがある」
「もしかしたら何かの種族の隠れ集落的な場所かもしれないです」
「女神様ってそういうとこまで加護をしてくれてるのかな?」
「ワタ兄、加護はないよ、あの護りは魔力感知でわかる。そのエリアに女神の気配は感じない」
「一応注意喚起した方がいいのかな、どう思うカレン?」
「そうですね、見つけてしまった以上確かめて【黒】について教えてあげたほうが、
ワタル様がすっきりすると思います」
「はは、そうだね。ありがとう。そしたら行こう、クウ道案内頼む。バッツーちょっと行ってくる!」
軽く準備をしてから森へ進入する、森に入ってからはカレンの精霊魔法でまるでワタル達を導いてくれるかのように道ができていく。
「カレン、凄いなこれ!」
「森の案内人に手伝ってもらっています、たぶん魔物に襲われることもないと思います」
「ワタ兄もう少し行くと探知が入れない場所になる」
カレンの周囲に2個の光がクルクルと回る。カレンはその光の声に耳を傾けるように目を閉じる。
森のなかで光に囲まれて佇むカレンはエルフの本領発揮で美しかった。
話を聞いているうちにカレンは険しい表情に変わっていく。
「ワタル様、もしかしたら最悪な事態になっているかもしれません」
カレンは目の前の結界に手をかざすと力づくで結界を破壊にかかった。
「お、おいカレン!? いいのか?」
「ワタル様、クウ様お力添えを、このまま結界に入ると出ることができなくなるようです、
しかも、内部は【黒】に汚染されています!」
「なんだって!?」
俺もクウも直ぐにカレンを補助するように結界に穴を作る。
確かにこの結界は見た目以上に、そして異常に強すぎる。
しかも入ることは容易だが、出ることは叶わない。檻のような罠になっていた。
「結界に穴を開けて固定化します、補助をおねがいします!」
カレンは結界を侵食し破壊、その後人が通過できる範囲で概念固定させて出入り口を形成した。
「念の為に緊急脱出用の陣を貼っておく、全員の身体にも陣を貼る。危ないと思ったら直ぐに外に脱出するぞ、わかったな!」
全員無言で頷く、そして結界の中へ飛び込んだ。
「こ、これは・・・・・・」
結界内部は酷い有様だった、木々は枯れはてており、そこら中に爪痕や血痕、食い散らかされた一部が放置され悪臭を放っていた。
「もし、ここが隠れ里だった場合は・・・・・・」
あまりの惨状にリクも顔色が悪い。
せめて匂いだけでも、ワタルが浄化と風魔法を組み合わせ周囲の空気を入れ替える。
「ワタ兄、あっちに反応がある、ただこの中は感知の感覚がおかしくてよくわからない」
「取り敢えず、行こう」
急いでその反応がある方向へ向かう、
「カレン! 上から状況を探ってくれ」
カレンは直ぐに木々を登っていく。弓手のカレンを高所に据えるのは戦術的にも期待できるという判断だ。
カレンは万里眼を駆使して前方の状況を確認する、
『ワタル様前方で戦闘! 先行して援護します!』
精霊を通じてカレンの言葉が伝えられる、
「俺らも最速で行くぞ、クロックアップ!!」
魔法で超高速行動に移行する、突然の会敵などリスクもあるが、一刻を争う可能性が高い!
『ワタル様、敵前方すぐです!!』
ワタル一同は魔法を解き直ぐに臨戦態勢になる、熊のような敵の背後に出た【黒】に侵食されている、
その数4体、2対は腹がえぐれていたり、すでに命はなさそうだ。その部分から【黒】が蠢いている。
すでにカレンの弓が刺さっているが意に介していない、
執拗に前方の獣人に攻撃を続けている。攻撃を受けている獣人はすでに防戦一方になっている。
「加勢に来た!! 皆行くぞ!!」
答える代わりにリクが敵の前に降り立つ。
「真・斧顎昇竜覇!!」
リクが奮う戦斧から龍のオーラが獣人に迫る魔物に食らいつく、ベキベキと腹に食いついた龍が獣人と魔物の間にスペースを作る。
クウも踊り出る、ワタルは獣人の治療に回る。
「真・竜撃流星双破斬!!」
クウの目にも留まらぬ2刀による斬撃が4体の敵全てに降り注ぐ、特に身体を損傷している2体はつなぎとめている【黒】を削り取っていく、
「炎を司る精霊よ、風の精霊と共に焔を起こし悪しき敵を灰燼と化せ!!」
豪炎が魔物を包み込むように巻き起こる、損傷の激しい二体の半身が灰となって一瞬のうちに消え失せる。
残った身体もべちゃりと地面に落ちて残り火にあぶられて消えていく。
残りの2体の魔物も炭化しているのか【黒】化しているのかわからない状態になっている。
「大丈夫か!? 聖域!」
ワタルは獣人達の傷を癒やす、設置型範囲回復魔法だ。
「ここにいろよ、他に怪我人はいるか!?」
獣人3人はフルフルと顔を横に振る。
「わかった、詳しくはあいつらを倒してから、!? 危ない!!」
ガギン!!
獣人の背後から振るわれた剣撃を間一髪で盾で防ぐ。
「ワタル様!!」
「ダイジョブだ、だが、こいつは・・・・・・」
片手剣をダランと構えて現れた【黒】に侵食された敵。その姿は今助けた3人と同じ獣人の姿だった。
「お、お父さん・・・・・・!?」
ワタルの耳に最悪の言葉が届いてきた。もっとも幼い獣人が発した残酷な現実をつきつける言葉。
「・・・・・・ごめん」
ワタルは3人の獣人を魔法で眠らせて転移魔法で外に飛ばす。護身と回復に精霊を一体つけておく。
「【黒】はすべて倒すぞ、あとの説明は、俺がする!」
絞りだすように全員に檄を飛ばす。
辛く、苦しい戦いが始まる。
キャンピングカーの足回りを目立たぬ窪みのせいで損傷してしまっていた。
「ちょうどいいから車輪部分も全部一新させるわ~」
バッツが魔物の素材から足回りの改良を試みてくれている。
カイが魔法で車を持ち上げたり補助をしている、魔法を使えばジャッキや工具もいらないし、素材加工なんかの処理も全て出来てしまう。魔法の力って凄い!
ちょうど近くに森があったのでリク、クウ、カレンと一緒にパトロール兼狩りをしようという話になった。
魔法探知で変な動きをしている魔物がいないかをチェックする。
さっきの【黒】付きみたいに他の動物を襲ってるような魔物を見つけたら現場へ行ってみる。
もちろん肉食動物が草食動物を襲っていることもあるだろうけが、
放っておいて森の魔獣全部【黒】化しました。ってのも結局困ってしまう。
「ワタ兄、なんか一部探れないところがある」
「もしかしたら何かの種族の隠れ集落的な場所かもしれないです」
「女神様ってそういうとこまで加護をしてくれてるのかな?」
「ワタ兄、加護はないよ、あの護りは魔力感知でわかる。そのエリアに女神の気配は感じない」
「一応注意喚起した方がいいのかな、どう思うカレン?」
「そうですね、見つけてしまった以上確かめて【黒】について教えてあげたほうが、
ワタル様がすっきりすると思います」
「はは、そうだね。ありがとう。そしたら行こう、クウ道案内頼む。バッツーちょっと行ってくる!」
軽く準備をしてから森へ進入する、森に入ってからはカレンの精霊魔法でまるでワタル達を導いてくれるかのように道ができていく。
「カレン、凄いなこれ!」
「森の案内人に手伝ってもらっています、たぶん魔物に襲われることもないと思います」
「ワタ兄もう少し行くと探知が入れない場所になる」
カレンの周囲に2個の光がクルクルと回る。カレンはその光の声に耳を傾けるように目を閉じる。
森のなかで光に囲まれて佇むカレンはエルフの本領発揮で美しかった。
話を聞いているうちにカレンは険しい表情に変わっていく。
「ワタル様、もしかしたら最悪な事態になっているかもしれません」
カレンは目の前の結界に手をかざすと力づくで結界を破壊にかかった。
「お、おいカレン!? いいのか?」
「ワタル様、クウ様お力添えを、このまま結界に入ると出ることができなくなるようです、
しかも、内部は【黒】に汚染されています!」
「なんだって!?」
俺もクウも直ぐにカレンを補助するように結界に穴を作る。
確かにこの結界は見た目以上に、そして異常に強すぎる。
しかも入ることは容易だが、出ることは叶わない。檻のような罠になっていた。
「結界に穴を開けて固定化します、補助をおねがいします!」
カレンは結界を侵食し破壊、その後人が通過できる範囲で概念固定させて出入り口を形成した。
「念の為に緊急脱出用の陣を貼っておく、全員の身体にも陣を貼る。危ないと思ったら直ぐに外に脱出するぞ、わかったな!」
全員無言で頷く、そして結界の中へ飛び込んだ。
「こ、これは・・・・・・」
結界内部は酷い有様だった、木々は枯れはてており、そこら中に爪痕や血痕、食い散らかされた一部が放置され悪臭を放っていた。
「もし、ここが隠れ里だった場合は・・・・・・」
あまりの惨状にリクも顔色が悪い。
せめて匂いだけでも、ワタルが浄化と風魔法を組み合わせ周囲の空気を入れ替える。
「ワタ兄、あっちに反応がある、ただこの中は感知の感覚がおかしくてよくわからない」
「取り敢えず、行こう」
急いでその反応がある方向へ向かう、
「カレン! 上から状況を探ってくれ」
カレンは直ぐに木々を登っていく。弓手のカレンを高所に据えるのは戦術的にも期待できるという判断だ。
カレンは万里眼を駆使して前方の状況を確認する、
『ワタル様前方で戦闘! 先行して援護します!』
精霊を通じてカレンの言葉が伝えられる、
「俺らも最速で行くぞ、クロックアップ!!」
魔法で超高速行動に移行する、突然の会敵などリスクもあるが、一刻を争う可能性が高い!
『ワタル様、敵前方すぐです!!』
ワタル一同は魔法を解き直ぐに臨戦態勢になる、熊のような敵の背後に出た【黒】に侵食されている、
その数4体、2対は腹がえぐれていたり、すでに命はなさそうだ。その部分から【黒】が蠢いている。
すでにカレンの弓が刺さっているが意に介していない、
執拗に前方の獣人に攻撃を続けている。攻撃を受けている獣人はすでに防戦一方になっている。
「加勢に来た!! 皆行くぞ!!」
答える代わりにリクが敵の前に降り立つ。
「真・斧顎昇竜覇!!」
リクが奮う戦斧から龍のオーラが獣人に迫る魔物に食らいつく、ベキベキと腹に食いついた龍が獣人と魔物の間にスペースを作る。
クウも踊り出る、ワタルは獣人の治療に回る。
「真・竜撃流星双破斬!!」
クウの目にも留まらぬ2刀による斬撃が4体の敵全てに降り注ぐ、特に身体を損傷している2体はつなぎとめている【黒】を削り取っていく、
「炎を司る精霊よ、風の精霊と共に焔を起こし悪しき敵を灰燼と化せ!!」
豪炎が魔物を包み込むように巻き起こる、損傷の激しい二体の半身が灰となって一瞬のうちに消え失せる。
残った身体もべちゃりと地面に落ちて残り火にあぶられて消えていく。
残りの2体の魔物も炭化しているのか【黒】化しているのかわからない状態になっている。
「大丈夫か!? 聖域!」
ワタルは獣人達の傷を癒やす、設置型範囲回復魔法だ。
「ここにいろよ、他に怪我人はいるか!?」
獣人3人はフルフルと顔を横に振る。
「わかった、詳しくはあいつらを倒してから、!? 危ない!!」
ガギン!!
獣人の背後から振るわれた剣撃を間一髪で盾で防ぐ。
「ワタル様!!」
「ダイジョブだ、だが、こいつは・・・・・・」
片手剣をダランと構えて現れた【黒】に侵食された敵。その姿は今助けた3人と同じ獣人の姿だった。
「お、お父さん・・・・・・!?」
ワタルの耳に最悪の言葉が届いてきた。もっとも幼い獣人が発した残酷な現実をつきつける言葉。
「・・・・・・ごめん」
ワタルは3人の獣人を魔法で眠らせて転移魔法で外に飛ばす。護身と回復に精霊を一体つけておく。
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