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男の娘ですがばれないように復讐心を養っております。

稜さん@なろう)

初めてのダンジョン

  熱を出し倒れてから数日が経った。俺、ヤイバは二人から、特にエレンからの看病によって熱が完治していた。

「本当、迷惑かけたな。二人ともありがとう」

「なーに心配すんな。あと、きついときはしっかりと報告するんだぞ?」

「あぁ、わかったよ。本当にありがとうな、ライト」



「いまのヤイバもいいけど熱のヤイバも可愛かったわ」

「ちょ、エレン!? 熱のときはどうかしてたんだって! 忘れてよ!」

「えーどうしようかしら?」

  っく! なんて楽しそうな顔でいじってくるんだ。でもエレンにも感謝しないとな……あんなに心配して看病してくれてたんだから。本人には直接言えないけどな。


「それでだ、ヤイバが復活した事だから目的のダンジョンに行きたいんだがどうだ?」

「ダンジョン……」

  * ダンジョン……魔物もんすたーが生息する場所。入るたびに地形が変わり、長いダンジョンによっては十階層ごとにワープ機が設置されている。最終層にはボス級魔物もんすたーがいる。


「こんな街にダンジョンなんてあるわけないじゃない。頭でも打ったの? ライト」

「打ってねーよ。いやぁ、冒険者ギルドに入った時に聞いてきたんだよ。あとほら」

  そう言ってライトは3枚のカードのようなものを取り出した。 そのカードをよく見てみると俺の名前が書かれていた。
 
「なんだこれ? 」

「ぬふふふ」

「気持ち悪い。話すなら早く言いなさい」

「うるせえ!」

  「悪いライト。俺もキモいと思った」

「……こほん。さて、気を取り直してこのカードはギルドカードだ。お前たち二人分のカードも作ってきた」

「ふぅん。ライトにしては気がきくわね」

「あ、ありがとう。でも俺らがいなくてよく作れたね」

「あれ、知らねーのか? ギルドカードは普通に配ってるぜ? 名前を書いたカードに魔力を込めたらギルドで使えるようにんだよ」

「へぇ、知らなかった。……っと、本当だカードの色が虹色になった」

「あら、わたしは赤紫ね」

「俺は黄色か。この色は自分の使える属性を表してるらしい。えーとヤイバは全属性でエレンは炎と闇か」

「それじゃあライトは光?」

「光属性だな」

 
  光属性か、まるで勇者のような属性だな。もしかしたらライトは本当は勇者なんじゃないか? いや、考えすぎか。

「おーい、どうした? まだ具合が悪いか?」

「いや、大丈夫。ギルドカードに登録が済んだんだから早くダンジョンに行こうよ」

「そうね、ヤイバの言う通り早く行くわよ」

「あいあいっと」


   



ダンジョンに向かう道中特にこれといったことはなく無事にダンジョンまでたどり着いた。 そういえば最近はあの変な影共の視線を感じなくなったな。

「ヤイバ、どうした? まだ本調子じゃないのなら街に戻るぞ?」

「いやただの考えことだよ。さぁ、ダンジョンに乗り込もうぜ!」

   
  そう言って俺は二人を置いてダンジョンの入り口に駆け込んだ。あぁ、胸が弾む、こんな気持ちいつ以来だろうか。

「ちょっと! ヤイバったら」

「走るほど嬉しかったんだな……よかった」

「二人ともはやく! 」
 

「おーい! そんなな慌てなくてもダンジョンは逃げねぇよ!」

「あ、こら! 待ちなさい!」


  そうして俺たち三人はダンジョンに潜っていた。






  ◇ 

   〜闇が蠢く場所〜

そこには三つの影がいた。そのうちの一つの影が喋りだした。

「あーあ。ヤイバちゃんったらあんなにはしゃいで、そんなにダンジョンが好きならたくさん作ってあげようかしら?」

  その影は女のような形をしており何かを覗いているようだ。
 それを見ていた大柄の男のような影が口を開いた。

「貴様も飽きないものよな。あの小僧、観られていることを勘付いているというのに」
 
 自身の趣味のようなものに口を出され女の影は男の影を睨みつけた。

「うっせーんだよ。人の趣味に口出してんじゃねーよ。ダンジョンの餌にでもしてやろうか?  ア゛ァ?」

 そんな二つの影見ていた老人のような影が口を開いた、

「ほほほほ、まぁまぁ。落ち着きなされ。【ダンジョンマスター】」

 ダンジョンマスターと呼ばれた女の影は舌打ちをすると闇に飲まれて消えていった。
それを機に男の影も闇に飲まれて消えると老人の影が一つ残った。  

「ほほほ、若いモンはすぐに反抗的になるのぅ。まぁよいか」


  ほほほという不気味な笑い声を残し老人の影も消えていってしまった。 後に残ったのはただただ暗い闇だった。




つづく

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