男の娘ですがばれないように復讐心を養っております。

稜さん@なろう)

  ライトと村を出てから数日が過ぎた。
俺たちは今、町を目指すために森を歩いていた。

「なぁ、ライト、ここでもし迷ったら終わりだな。それにこの森ってさ、出るらしいぜ?」
「縁起でもないことを言うのはやめろ!」
「ビビるなって。それにもしかしたら、俺らの後ろをついてきてるかもしれないしな」
 俺は冗談でそんなことを言っていた。まさか本当にこの目で見ることになるとは知らずに……


「なあ、ヤイバ」
 歩きにくい森を歩くこと一時間ぐらいがたった頃だろうか、先ほどの会話から黙り込んでいたライトが不意に口を開いた

「な、なんだよ」
「俺らさっきから……後ろけられてる」
そんなわけがあるかよ、と言って俺は後ろを見た。そこには二つの人の形をした影が揺らめいていた。

「ライト、いつ気づいた?」
「お前が変な話をしていたころぐらいからだよ!」
「まじかよ。本当にいたんだな。幽霊って」
「なあ、ヤイバ、どうする?」
「逃げる、全力で逃げる」
「お、おう」
 なんで、こいつドン引きしてるんだ? まぁいい、いまは全力で走る!






 走り始めてから数十分がたっただろうか。何かが変だ……なんだ? この違和感

「ライト! 停まれ!」
「っ!? いきなり止める馬鹿がいるか!」
「ご、ごめん。って何かがおかしい」
「あ? まて俺ら前に走っていたよな?」
「あぁ、走っていたはずなんだけどな」
「なんで、元の場所に戻ってきてるんだ?」
「そういえばライト」
「あん?」
「歩いてるとき目印つけていたよな」
「あぁ、たしかつけていたけど……まさか」
「あったぜ。どうやら俺らとんでもないのに憑かれたみたいだな」
「まじかよ。後ろの奴は一定間隔でついてきてるし……」
「なぁ、逆に俺らが近づくってのはどうだ?」
「うーん。物は試しだ」

「っと、近づけみたいだな」
「お前たちは何なんだ?」
 俺が影に向かって叫ぶと『くすくす』と影が笑い俺達の前から消滅した。

「なんだったんだ、あれ」
「わかんねえ」
 俺はライトの顔を見ると頷き早歩きでその場から去り無事に森を抜けることができた。



 二人が去った後二つの影が揺らめいていた。

「怖がってたね♪」
 少女の形になった影は男の形になった影に笑いかけた。

「お前は何をしているんだ、まったく」
 そして、男の形をした影は呆れながらヤイバ達が向かっていった方向を見つめていた。

「ねえねえ! まだ、つけるの?」
 ケラケラと五月蝿い少女のような影に男は
「黙れ、追いかけるぞ」と言って消えた。
 残された少女のような影はクスクスと笑いながら消えた。



 森を抜けたヤイバ達は無事小さな町をみつけたが……


つづく




「ライト、町があるな」
「あぁ、燃えてるけど」

つづく

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