ボーイ・ミーツ・ガール・バイ・ザ・シー
004
「何じゃい、勝手に人の家に入りおって!」
声が聞こえた。
じいちゃんの声だった。
じいちゃんの声といっしょに複数人の声と足音が聞こえる。硬い足音なので、革靴か何かだろうか。それにしてもいったい誰だっていうのだろうか。
「失礼する」
そしてついにその声が、僕と女性がいる部屋までやってきていた。
迷彩服を着た人だった。強面のように見える、とても怖い風貌の人だった。ブロンドの髪に顔には大きな傷がついている。
「まさかこんなに早く見つかるとはね……、ゴルーダ」
「姫様、まさかここに居るとは思いもしませんでしたよ」
姫様? ゴルーダ?
どうやらお互いにお互いのことを知っているようだった。
「それに無関係な少年の家に居るなんて……」
「無関係じゃないわ。海賊の家よ。そして、少年はその子供」
「海賊……。まだあの海図のことを考えているのですか。姫様はほんとうに物好きで……。国王陛下の考えも少しは考慮してはいただけないのでしょうか?」
「いやよ。お父様はいつも私に女らしく振舞え、って! ロマンがあるのよ、海には!」
「だから、それがだめだと仰っているのです! 姫様にはもっとこの世界のために勉強していただかないといけないことがたくさん……」
「あなただって、ゴルーダだっていつもそう! 二言目には勉強、勉強……。それがもう嫌なのよ! どうして自分の好きなことも出来ないのよ! 私は絶対に諦めない、好きなことをさせてもらうんだから!」
「……それが、その海賊の秘宝探し、ということですか……。そもそもそれもほんとうにあるかどうか解らないというのに……。それに、その秘宝だってデタラメかもしれませんか。海賊なんて時代遅れですよ」
「時代遅れ……?」
僕は、ずっと『姫様』とゴルーダの話を聞いているだけだった。
けれど、その言葉が耳に入って――話が変わった。
「今、時代遅れって言いましたか……?」
「う、うん? あ、ああ、そうだったか。海賊は君の父親だったか? ……まあ、何度でも言ってあげよう。海賊なんて時代遅れの職業だよ。海賊がどうやって自らの生計を立てているのか。それを知っているかい? 他者からものを奪うことで生活できている。自らで何も生み出せない、クズだよ。クズ。あのような職業が衰退していくことは当然のことだし、寧ろ当たり前のことだと思うけれどね」
「オイ、そこのお前!」
僕が言い出すよりも前に、背後に立っていたじいちゃんが声を出した。
ゴルーダは踵を返して、じいちゃんと向かい合った。
「……おやおや、ご老人。何か御座いましたか?」
「何か御座いましたか、ではない。勝手にわしの家に入り込んで、やることがわしの家族の批判か。どこの国の人間かは知らぬがいい度胸しておるのう。土足でこの島に上がり込んで、ただで済むと思うなよ?」
「……老害が、粋がりやがって。解りましたよ、急に上がり込んできて私もちょっと精彩を欠いていましたね。……では、こうしましょう姫様。また明日伺います。その時にはどう抗おうともあなたを本国に連れて帰りますから、そのつもりで」
そうしてゴルーダは彼と一緒にやってきた軍人を連れて、挨拶もせずにそのまま姿を消すのだった。
声が聞こえた。
じいちゃんの声だった。
じいちゃんの声といっしょに複数人の声と足音が聞こえる。硬い足音なので、革靴か何かだろうか。それにしてもいったい誰だっていうのだろうか。
「失礼する」
そしてついにその声が、僕と女性がいる部屋までやってきていた。
迷彩服を着た人だった。強面のように見える、とても怖い風貌の人だった。ブロンドの髪に顔には大きな傷がついている。
「まさかこんなに早く見つかるとはね……、ゴルーダ」
「姫様、まさかここに居るとは思いもしませんでしたよ」
姫様? ゴルーダ?
どうやらお互いにお互いのことを知っているようだった。
「それに無関係な少年の家に居るなんて……」
「無関係じゃないわ。海賊の家よ。そして、少年はその子供」
「海賊……。まだあの海図のことを考えているのですか。姫様はほんとうに物好きで……。国王陛下の考えも少しは考慮してはいただけないのでしょうか?」
「いやよ。お父様はいつも私に女らしく振舞え、って! ロマンがあるのよ、海には!」
「だから、それがだめだと仰っているのです! 姫様にはもっとこの世界のために勉強していただかないといけないことがたくさん……」
「あなただって、ゴルーダだっていつもそう! 二言目には勉強、勉強……。それがもう嫌なのよ! どうして自分の好きなことも出来ないのよ! 私は絶対に諦めない、好きなことをさせてもらうんだから!」
「……それが、その海賊の秘宝探し、ということですか……。そもそもそれもほんとうにあるかどうか解らないというのに……。それに、その秘宝だってデタラメかもしれませんか。海賊なんて時代遅れですよ」
「時代遅れ……?」
僕は、ずっと『姫様』とゴルーダの話を聞いているだけだった。
けれど、その言葉が耳に入って――話が変わった。
「今、時代遅れって言いましたか……?」
「う、うん? あ、ああ、そうだったか。海賊は君の父親だったか? ……まあ、何度でも言ってあげよう。海賊なんて時代遅れの職業だよ。海賊がどうやって自らの生計を立てているのか。それを知っているかい? 他者からものを奪うことで生活できている。自らで何も生み出せない、クズだよ。クズ。あのような職業が衰退していくことは当然のことだし、寧ろ当たり前のことだと思うけれどね」
「オイ、そこのお前!」
僕が言い出すよりも前に、背後に立っていたじいちゃんが声を出した。
ゴルーダは踵を返して、じいちゃんと向かい合った。
「……おやおや、ご老人。何か御座いましたか?」
「何か御座いましたか、ではない。勝手にわしの家に入り込んで、やることがわしの家族の批判か。どこの国の人間かは知らぬがいい度胸しておるのう。土足でこの島に上がり込んで、ただで済むと思うなよ?」
「……老害が、粋がりやがって。解りましたよ、急に上がり込んできて私もちょっと精彩を欠いていましたね。……では、こうしましょう姫様。また明日伺います。その時にはどう抗おうともあなたを本国に連れて帰りますから、そのつもりで」
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