優しい希望をもたらすものは?
姉は乱読派、妹は戦国時代と幕末萌え
手を繋ぎ歩く姉妹の後ろで、二人はぎょっとした。
「あのね~、姉ちゃん。もうちょっと集中して読もうよ」
「えぇぇ?だって、戦国時代面倒じゃない?大きくさらっと……」
「駄目だよ‼『上杉謙信さま』とかちゃんと覚えないと‼」
『上杉謙信さま』?
顔を見合わせる主李に実里の前で、
「お姉ちゃんは、『三国志』にばっかり萌えて。戦国時代とか幕末とか人名覚えないと‼それに幕末の『池田屋事件』と『寺田屋事件』。どう違うか解る?」
「う~ん……そこら辺は……駄目だね~。興味湧かない。人名多すぎるし」
「受験に出たらどうするの?」
「あーうー」
あの優希に苦手なものがあった‼
それに驚いている。
「えーと、優希。日本史苦手だったっけ?」
「ううん……と言うか、得意な年代が兄弟によって違うの。竜樹は戦国時代と幕末得意で、お兄ちゃんは戦国時代?やっくんは戦国時代と幕末から第二次世界大戦まで」
「何で、戦国時代多いの?」
問いかけに、姉妹で、
「「お父さんが、有名なゲームしてるから」です」
「あー、あれか」
大作ゲームを思い浮かべる。
「それに、『三国志』もゲームで知りました。でも、もうひとつ、『人形劇平家物語』を見て、そうして調べてみたら、『人形劇三国志』って言うのがあって、人形がゾクゾクするほど綺麗でした‼図書館に人形の写真集があって、わぁぁ‼って。『趙雲』とってもかっこ良かったです‼」
「えー?私、『馬超ちゃん』‼」
「『ちゃん』‼」
実里は絶句する。
勇猛果敢な『三国志』の将軍をちゃん‼
「えっと……」
モジモジする妹のかわりに、
「あ、えっと、実里くん。竜樹。武将とかの鎧とか兜とか、武器とかに興味があって、何か、兜が、頭をかじってるみたいで……そうしたら、お父さんがしていたゲームに、魔物を仲間にして旅をするゲームがあって、その魔物に良く似てるのにかじられてるから、面白い~‼って」
その名前にも聞いたことがあり、(  ̄- ̄)になった。
魔物に頭かじられた『馬超』……しかもそれを見て好き……ずれている。
「で、『上杉謙信さま』の兜も好き~‼」
「あーうー、そうなんだ。詳しいんだ。凄いね」
実里のその言葉に、ぱぁぁと目を輝かせる。
「そうなんです‼それぞれ形が違って、意味があって、『伊達政宗さま』の兜も素敵なんです‼」
「たっちゃん‼落ち着いて~‼後で‼たっぷり聞いてあげるから」
「あ、ご、ごめんなさい……」
しゅーん、ウサギが耳を垂らしている。
姉は子犬だが……。
「あ、良いよ。俺もある程度詳しいつもり。今度教えて?」
「は、はい……だ、大丈夫ですか?先輩」
多分、姉も妹も、『構ってオーラ』を一気に放出するタイプらしい。
それに、姉妹揃って普通とはかなりずれた突撃と言うか、集中すると『わぁぁ~‼』となるらしい。
このみも少し違うお陰で、お互いセーブしあっているのだろう。
制御装置を外したら……手綱を外したら、『ウオリャァァ~‼』と飛び出すだろう。
「……主李。頑張れ」
「いや……一応一人しか見れないと思う……」
「……?」
余り似ていないがしぐさはそっくりである。
「でも、そういえば、今回の美術展大丈夫?」
「はい‼鎧に武器‼楽しみです‼」
「……武器……」
「あ、お姉ちゃんは暗殺武器見たいって。仕込み杖とか欲しいって」
「わー、やめて~‼それに、仕込み杖じゃなくてステッキっていってよ~‼」
大丈夫か?この姉妹。
不安になり、親友を見ると、
「大丈夫。入るまではキャハキャハ嬉しそうなんだけど、入ったら静かになるから」
悟ったような顔で告げる。
「そうなのか?武器の話を始めたけど……」
「た、多分……大丈夫だと思う」
語尾が小さくなる主李に、
「頑張れ‼」
「俺は優希見るから、お前竜樹見てろよ。って、ほら‼」
「おわぁっ‼」
話に盛り上がりすぎて、赤信号を突っ込んでいこうとした二人を引っ張り、
「優希‼焦らなくてもやってるから‼」
「竜樹も、注意力散漫、駄目だよ?」
「ご、ごめんなさい……」
「先輩、ごめんなさい」
ちんまりとした姉妹を見下ろし、実里は思った。
「いつのまにか、子ウサギの飼い主になってる⁉俺‼」
「あのね~、姉ちゃん。もうちょっと集中して読もうよ」
「えぇぇ?だって、戦国時代面倒じゃない?大きくさらっと……」
「駄目だよ‼『上杉謙信さま』とかちゃんと覚えないと‼」
『上杉謙信さま』?
顔を見合わせる主李に実里の前で、
「お姉ちゃんは、『三国志』にばっかり萌えて。戦国時代とか幕末とか人名覚えないと‼それに幕末の『池田屋事件』と『寺田屋事件』。どう違うか解る?」
「う~ん……そこら辺は……駄目だね~。興味湧かない。人名多すぎるし」
「受験に出たらどうするの?」
「あーうー」
あの優希に苦手なものがあった‼
それに驚いている。
「えーと、優希。日本史苦手だったっけ?」
「ううん……と言うか、得意な年代が兄弟によって違うの。竜樹は戦国時代と幕末得意で、お兄ちゃんは戦国時代?やっくんは戦国時代と幕末から第二次世界大戦まで」
「何で、戦国時代多いの?」
問いかけに、姉妹で、
「「お父さんが、有名なゲームしてるから」です」
「あー、あれか」
大作ゲームを思い浮かべる。
「それに、『三国志』もゲームで知りました。でも、もうひとつ、『人形劇平家物語』を見て、そうして調べてみたら、『人形劇三国志』って言うのがあって、人形がゾクゾクするほど綺麗でした‼図書館に人形の写真集があって、わぁぁ‼って。『趙雲』とってもかっこ良かったです‼」
「えー?私、『馬超ちゃん』‼」
「『ちゃん』‼」
実里は絶句する。
勇猛果敢な『三国志』の将軍をちゃん‼
「えっと……」
モジモジする妹のかわりに、
「あ、えっと、実里くん。竜樹。武将とかの鎧とか兜とか、武器とかに興味があって、何か、兜が、頭をかじってるみたいで……そうしたら、お父さんがしていたゲームに、魔物を仲間にして旅をするゲームがあって、その魔物に良く似てるのにかじられてるから、面白い~‼って」
その名前にも聞いたことがあり、(  ̄- ̄)になった。
魔物に頭かじられた『馬超』……しかもそれを見て好き……ずれている。
「で、『上杉謙信さま』の兜も好き~‼」
「あーうー、そうなんだ。詳しいんだ。凄いね」
実里のその言葉に、ぱぁぁと目を輝かせる。
「そうなんです‼それぞれ形が違って、意味があって、『伊達政宗さま』の兜も素敵なんです‼」
「たっちゃん‼落ち着いて~‼後で‼たっぷり聞いてあげるから」
「あ、ご、ごめんなさい……」
しゅーん、ウサギが耳を垂らしている。
姉は子犬だが……。
「あ、良いよ。俺もある程度詳しいつもり。今度教えて?」
「は、はい……だ、大丈夫ですか?先輩」
多分、姉も妹も、『構ってオーラ』を一気に放出するタイプらしい。
それに、姉妹揃って普通とはかなりずれた突撃と言うか、集中すると『わぁぁ~‼』となるらしい。
このみも少し違うお陰で、お互いセーブしあっているのだろう。
制御装置を外したら……手綱を外したら、『ウオリャァァ~‼』と飛び出すだろう。
「……主李。頑張れ」
「いや……一応一人しか見れないと思う……」
「……?」
余り似ていないがしぐさはそっくりである。
「でも、そういえば、今回の美術展大丈夫?」
「はい‼鎧に武器‼楽しみです‼」
「……武器……」
「あ、お姉ちゃんは暗殺武器見たいって。仕込み杖とか欲しいって」
「わー、やめて~‼それに、仕込み杖じゃなくてステッキっていってよ~‼」
大丈夫か?この姉妹。
不安になり、親友を見ると、
「大丈夫。入るまではキャハキャハ嬉しそうなんだけど、入ったら静かになるから」
悟ったような顔で告げる。
「そうなのか?武器の話を始めたけど……」
「た、多分……大丈夫だと思う」
語尾が小さくなる主李に、
「頑張れ‼」
「俺は優希見るから、お前竜樹見てろよ。って、ほら‼」
「おわぁっ‼」
話に盛り上がりすぎて、赤信号を突っ込んでいこうとした二人を引っ張り、
「優希‼焦らなくてもやってるから‼」
「竜樹も、注意力散漫、駄目だよ?」
「ご、ごめんなさい……」
「先輩、ごめんなさい」
ちんまりとした姉妹を見下ろし、実里は思った。
「いつのまにか、子ウサギの飼い主になってる⁉俺‼」
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