ユズリハあのね
「七夕」
――前略。
明日は7月7日ということで、地球では七夕ですね。
世界中の人が夜空を見上げ、星の数ほどの願いを祈る、ステキな日。
地球にいる頃は、一週間くらい前から七夕の話題になるのですが、緑星ではまったく話題になっていないということに気が付きました。
直前でようやく気が付くわたしもわたしですが、そこで一つ気になったので、明日にでも確かめてみたいと思います。
そのための準備も済ませましたし、明日が楽しみです。
セフィリアさん、喜んでくれるかな? 驚いてくれるかな?
ちょっぴりドキドキです。
それでは、またメールしますね。
森井瞳――3023.7.6
***
神隠し事件から三日ほど時は遡りまして、7月7日。
この日は【地球】では「七夕」と呼ばれる特別な日です。短冊にお願い事を書き、笹に吊るして夜空に願うという風習が広まっています。
では、【緑星】ではどうでしょうか?
気になった瞳は聞いてみました。
「セフィリアさん、『七夕』って知ってますか~?」
「『たなばた』? うーん……なにかしら……?」
頬に手を当て、《ヌヌ工房》の先輩は悩ましく考えます。もうこの反応でわかりますが、どうやら知らないようです。
【緑星】には「七夕」の文化は伝わっていないということがわかりました。
なので、教えてあげることにします。普段はあれやこれやと教えてもらってばかりの瞳ですが、このときばかりは立場逆転です。
「地球では7月7日は「七夕」って言ってですね~、お星様にお願い事をするとってもステキな日なんですよ~」
「まあ! そうだったの!」
いろいろと説明を端折り過ぎていますが、大筋は合っているので良しとしましょう。
夜空に煌めく織姫と彦星が年に一度だけ会えると言われている大切な日です。
この日は不思議と雨の日が多いので、二つの星の間に流れる「天の河」を望むことは以外と難しいのですが、そもそもここは【緑星】の〝森林街〟ユグードです。
空を見上げてもそもそも星空は見えません。星空のように見える陽虫なら見えますが。
天の河といえば、飛び去る姿が天の河のようであった星虫のヨウちゃんは元気にしているでしょうか?
今も空に光っている陽虫は、ヨウちゃんから生まれた陽虫かもしれません。
ヨウちゃん元気にしてるかなぁ~?
そんなことを思っていると、セフィリアが頷きました。
「ふふふ。せっかくだし、やってみましょうか♪」
「いんですか~!?」
「ええもちろん。地球の文化に触れられる、またとない機会だわ♪」
というわけで、瞳が言外に言おうとしていた「七夕をやりたい」という心の声をしっかりと汲み取ったセフィリアは、やっぱり大人な女性でした。
「それで、『たなばた』っていうのは、どうすればいいのかしら?」
「短冊っていうお札みたいな長方形の紙と、笹があれば~」
「うーん、たんざく? はなんとかなるとして……笹はあったかしらぁ?」
【緑星】は資源が豊富な惑星ですから、笹くらいはある――、と思ったのですが、そう簡単にはいきませんでした。
確かに【緑星】にはあります。しかし《ヌヌ工房》にはありません。
それは《ヌヌ工房》が木工品取扱店だからです。笹や竹は木ではないのです。
セフィリアが笹について悩んでいると、瞳は不敵な笑みを浮かべました。
「ふっふっふ~……こんなこともあろうかと、準備しておきました~!」
なんと、あの瞳が事前に準備を。森の葉が全て一瞬にして枯れ果てて、空から流星群が降ってくるかもしれません。
最初はなんとも頼りなくてどうしても心配になってしまう女の子でしたが、少しずつでも立派に成長しているようです。
瞳は一度お店の外に出ると、ガサガサと音を立てる立派な笹を引き摺りながら持って戻ってきました。恐らくお店の裏にでも隠してあったのでしょう。
いつの間に、と驚くセフィリアを尻目に、瞳はいたずらに笑いました。
「どうですかこれ~! お散歩してたらいい感じの見つけたので、ちゃんと許可もらって取ってきたんですよ~!」
「まあ! すごいわ瞳ちゃん! ……でも……ちょっと言いづらいんだけど、それはお店の外にお願いできるかしら……?」
「ですよね~……」
申し訳なさそうに言うセフィリアに、こちらも申し訳なさそうに答えました。
《ヌヌ工房》は必要最低限のスペースしかない小さめのお店です。巨木を横倒しにして作られた火華裡の修行先のガラス工房ほど大きくはないのです。
立派な笹は、セフィリアの手も借りて店先にいい感じに立てかけました。
瞳は中断していた説明を再開します。
「短冊にお願い事を書いて、この笹に吊るすんです~」
「それだけでいいのかしら?」
「あい~!」
「ふふふ。簡単でいいわね♪」
そういうわけで、さっそく短冊とペンを用意した二人は、お願い事を書くことに。
「瞳ちゃんはなんてお願い事をするのかしら?」
「えへへ~……わたしは……」
短冊にお願い事を書き書き。
その内容は――、
「〝ステキな出会いと思い出を〟です~!」
「ふふふ♪ 瞳ちゃんらしいお願い事ね♪」
考えようによってはすでに叶っているようなお願い事ではありましたが、どうやら彼女にとってはまだまだ物足りないようです。
瞳は意外と欲張りな女の子なのかもしれません。
「でも、私はてっきり〝早く一人前になる〟とか書くのかな? って思ったけど」
「え~? それはお願い事して叶えてもらうようなことじゃないですよ~? お願い事なんだから、自分の力だけではどうしようもないことをお願いしないとです!」
瞳の中では、〝早く一人前になる〟というのはただの目標であり、自分の力で掴み取るものです。それを神様にお願いしたところで、突然実力がグーンと上昇するわけがない、ということをしっかりとわかっていました。
「セフィリアさんはどんなお願い事をするんですか~? わたしとっても興味あります~!」
「ふふふ、そうねぇ……。私は……」
セフィリアも、瞳に続いて短冊にお願い事を書き書き。
その内容は――、
「〝代代円満〟……かしら?」
「だいだいえんまん? 四字熟語ですか~?」
「ううん、造語よ。人と人との繋がりが、どこまでもどこまでも伸びていって、やがて一つになって満たされますように……って感じかしら」
それから「なんだか恥ずかしいわねぇ」と言って、ふふふと小さく笑いました。
この段階で恥ずかしがっているようでは、笹に吊るしたときは人目につきますから、もっと恥ずかしい思いをすることでしょう。セフィリアは大人ですので、平気な顔をしていそうですが。
「おお~! なんともステキなお願い事じゃないですか~! さすがセフィリアさんです~!」
パチパチパチと拍手を送る瞳。セフィリアもまんざらではなさそうでした。
二人分のお願い事が書かれた短冊が笹に吊るされます。その真っ最中に――、
「セフィリアさんこんにちわ。瞳も、ヤッホー」
水色の髪を側頭部で輪っかに結った女の子、火華裡が軽く手を上げて挨拶をしながらやってきました。
「あら。こんにちわ、火華裡ちゃん」
「ヒカリちゃんだ~! やっほ~! 今日はどうしたの~?」
「少し通りがかっただけよ。何やってるのかなって思って」
セフィリアが七夕のことを知りませんでしたから、当然火華裡も知りません。学校の授業で七夕のことについては学ばなかったようです。
すると――、
「セフィリアさーん! 瞳さーん! こんにちわッスー!」
眩しい笑顔と金髪ショートの女の子が手を大きく振りながら駆け寄ってきています。
道行く人が思わず「何事だ?」と振り返ってしまうほどの大音量でした。
「ヒーナちゃんだ~! こんにちわだよ~!」
ヒーナは瞳の胸に飛び込むように抱き付いて、顔を上げました。
「ちょいとヒマだったんで遊びに来たッス! これはなんッスか?? なんだか楽しそうな匂いがするッス!」
興味津々な様子で目を輝かせながら聞いてきました。
「『七夕』っていう地球に伝わる風習だよ~。短冊にお願い事を書いて、笹に吊るすの。そうすると、そのお願い事が叶うって言われてるんだよ~」
「「へぇー」ッス」
二人に説明すると、見事にハモりました。さすがに「ッス」まではハモりません。
「よかったら二人もどおかな~?」
「ヒーナもいいんッスか?」
「もちろん~! 何人までとか、特に制限ないから~」
「んじゃ、遠慮なくやらせてもらおうかしらね」
新たに二人の短冊が笹に吊るされました。
そして気付くと――、《ヌヌ工房》の周りにはいつの間にか人集りが形成されていました。
何をやっているのか、興味本位で森の人たちが集まってきたようです。ヒーナの大声が人を呼び寄せたのでしょう。
「瞳ちゃんのお願い事が、さっそく叶っちゃったわね♪」
セフィリアは天使のように微笑みます。瞳はそれに、ほわわんと答えました。
「ほんとです~! でもセフィアさんもですよ~!」
 用意した笹には様々な人が書いた色とりどりの短冊が吊るされて、人の願いで彩られ、満たされました。
確かに叶う〝おまじない的な〟ものとして、七夕は密かに伝わったのでした。
***
――前略。
ユグードの人たちは、七夕を知りませんでした。
それで、説明も兼ねていざやってみたら、どんどん人が集まってきちゃって、笹に吊るすスペースが無くなっちゃったくらいなんですよ。
なんと森の人が新しく笹を追加投入までしてくれました。
いま、ヌヌ工房の前はたくさんの人の願いで満ちています。
ステキな出会いと思い出を。
わたしは短冊にそう書いたんですけど、あっという間に叶っちゃいました。
記念撮影もしたので、写真送りますね。
星のことはよくわからないけど、もしかしたら緑星は地球より天の河に近いところにあるのかもしれません。
ヨウちゃんが星虫になったときも、天の河みたいでキレイだったな……。
まだまだ、これからもたくさんのステキな出会いと思い出を見つけていきたいと思います。
それでは、またメールしますね。
森井瞳――3023.7.7
明日は7月7日ということで、地球では七夕ですね。
世界中の人が夜空を見上げ、星の数ほどの願いを祈る、ステキな日。
地球にいる頃は、一週間くらい前から七夕の話題になるのですが、緑星ではまったく話題になっていないということに気が付きました。
直前でようやく気が付くわたしもわたしですが、そこで一つ気になったので、明日にでも確かめてみたいと思います。
そのための準備も済ませましたし、明日が楽しみです。
セフィリアさん、喜んでくれるかな? 驚いてくれるかな?
ちょっぴりドキドキです。
それでは、またメールしますね。
森井瞳――3023.7.6
***
神隠し事件から三日ほど時は遡りまして、7月7日。
この日は【地球】では「七夕」と呼ばれる特別な日です。短冊にお願い事を書き、笹に吊るして夜空に願うという風習が広まっています。
では、【緑星】ではどうでしょうか?
気になった瞳は聞いてみました。
「セフィリアさん、『七夕』って知ってますか~?」
「『たなばた』? うーん……なにかしら……?」
頬に手を当て、《ヌヌ工房》の先輩は悩ましく考えます。もうこの反応でわかりますが、どうやら知らないようです。
【緑星】には「七夕」の文化は伝わっていないということがわかりました。
なので、教えてあげることにします。普段はあれやこれやと教えてもらってばかりの瞳ですが、このときばかりは立場逆転です。
「地球では7月7日は「七夕」って言ってですね~、お星様にお願い事をするとってもステキな日なんですよ~」
「まあ! そうだったの!」
いろいろと説明を端折り過ぎていますが、大筋は合っているので良しとしましょう。
夜空に煌めく織姫と彦星が年に一度だけ会えると言われている大切な日です。
この日は不思議と雨の日が多いので、二つの星の間に流れる「天の河」を望むことは以外と難しいのですが、そもそもここは【緑星】の〝森林街〟ユグードです。
空を見上げてもそもそも星空は見えません。星空のように見える陽虫なら見えますが。
天の河といえば、飛び去る姿が天の河のようであった星虫のヨウちゃんは元気にしているでしょうか?
今も空に光っている陽虫は、ヨウちゃんから生まれた陽虫かもしれません。
ヨウちゃん元気にしてるかなぁ~?
そんなことを思っていると、セフィリアが頷きました。
「ふふふ。せっかくだし、やってみましょうか♪」
「いんですか~!?」
「ええもちろん。地球の文化に触れられる、またとない機会だわ♪」
というわけで、瞳が言外に言おうとしていた「七夕をやりたい」という心の声をしっかりと汲み取ったセフィリアは、やっぱり大人な女性でした。
「それで、『たなばた』っていうのは、どうすればいいのかしら?」
「短冊っていうお札みたいな長方形の紙と、笹があれば~」
「うーん、たんざく? はなんとかなるとして……笹はあったかしらぁ?」
【緑星】は資源が豊富な惑星ですから、笹くらいはある――、と思ったのですが、そう簡単にはいきませんでした。
確かに【緑星】にはあります。しかし《ヌヌ工房》にはありません。
それは《ヌヌ工房》が木工品取扱店だからです。笹や竹は木ではないのです。
セフィリアが笹について悩んでいると、瞳は不敵な笑みを浮かべました。
「ふっふっふ~……こんなこともあろうかと、準備しておきました~!」
なんと、あの瞳が事前に準備を。森の葉が全て一瞬にして枯れ果てて、空から流星群が降ってくるかもしれません。
最初はなんとも頼りなくてどうしても心配になってしまう女の子でしたが、少しずつでも立派に成長しているようです。
瞳は一度お店の外に出ると、ガサガサと音を立てる立派な笹を引き摺りながら持って戻ってきました。恐らくお店の裏にでも隠してあったのでしょう。
いつの間に、と驚くセフィリアを尻目に、瞳はいたずらに笑いました。
「どうですかこれ~! お散歩してたらいい感じの見つけたので、ちゃんと許可もらって取ってきたんですよ~!」
「まあ! すごいわ瞳ちゃん! ……でも……ちょっと言いづらいんだけど、それはお店の外にお願いできるかしら……?」
「ですよね~……」
申し訳なさそうに言うセフィリアに、こちらも申し訳なさそうに答えました。
《ヌヌ工房》は必要最低限のスペースしかない小さめのお店です。巨木を横倒しにして作られた火華裡の修行先のガラス工房ほど大きくはないのです。
立派な笹は、セフィリアの手も借りて店先にいい感じに立てかけました。
瞳は中断していた説明を再開します。
「短冊にお願い事を書いて、この笹に吊るすんです~」
「それだけでいいのかしら?」
「あい~!」
「ふふふ。簡単でいいわね♪」
そういうわけで、さっそく短冊とペンを用意した二人は、お願い事を書くことに。
「瞳ちゃんはなんてお願い事をするのかしら?」
「えへへ~……わたしは……」
短冊にお願い事を書き書き。
その内容は――、
「〝ステキな出会いと思い出を〟です~!」
「ふふふ♪ 瞳ちゃんらしいお願い事ね♪」
考えようによってはすでに叶っているようなお願い事ではありましたが、どうやら彼女にとってはまだまだ物足りないようです。
瞳は意外と欲張りな女の子なのかもしれません。
「でも、私はてっきり〝早く一人前になる〟とか書くのかな? って思ったけど」
「え~? それはお願い事して叶えてもらうようなことじゃないですよ~? お願い事なんだから、自分の力だけではどうしようもないことをお願いしないとです!」
瞳の中では、〝早く一人前になる〟というのはただの目標であり、自分の力で掴み取るものです。それを神様にお願いしたところで、突然実力がグーンと上昇するわけがない、ということをしっかりとわかっていました。
「セフィリアさんはどんなお願い事をするんですか~? わたしとっても興味あります~!」
「ふふふ、そうねぇ……。私は……」
セフィリアも、瞳に続いて短冊にお願い事を書き書き。
その内容は――、
「〝代代円満〟……かしら?」
「だいだいえんまん? 四字熟語ですか~?」
「ううん、造語よ。人と人との繋がりが、どこまでもどこまでも伸びていって、やがて一つになって満たされますように……って感じかしら」
それから「なんだか恥ずかしいわねぇ」と言って、ふふふと小さく笑いました。
この段階で恥ずかしがっているようでは、笹に吊るしたときは人目につきますから、もっと恥ずかしい思いをすることでしょう。セフィリアは大人ですので、平気な顔をしていそうですが。
「おお~! なんともステキなお願い事じゃないですか~! さすがセフィリアさんです~!」
パチパチパチと拍手を送る瞳。セフィリアもまんざらではなさそうでした。
二人分のお願い事が書かれた短冊が笹に吊るされます。その真っ最中に――、
「セフィリアさんこんにちわ。瞳も、ヤッホー」
水色の髪を側頭部で輪っかに結った女の子、火華裡が軽く手を上げて挨拶をしながらやってきました。
「あら。こんにちわ、火華裡ちゃん」
「ヒカリちゃんだ~! やっほ~! 今日はどうしたの~?」
「少し通りがかっただけよ。何やってるのかなって思って」
セフィリアが七夕のことを知りませんでしたから、当然火華裡も知りません。学校の授業で七夕のことについては学ばなかったようです。
すると――、
「セフィリアさーん! 瞳さーん! こんにちわッスー!」
眩しい笑顔と金髪ショートの女の子が手を大きく振りながら駆け寄ってきています。
道行く人が思わず「何事だ?」と振り返ってしまうほどの大音量でした。
「ヒーナちゃんだ~! こんにちわだよ~!」
ヒーナは瞳の胸に飛び込むように抱き付いて、顔を上げました。
「ちょいとヒマだったんで遊びに来たッス! これはなんッスか?? なんだか楽しそうな匂いがするッス!」
興味津々な様子で目を輝かせながら聞いてきました。
「『七夕』っていう地球に伝わる風習だよ~。短冊にお願い事を書いて、笹に吊るすの。そうすると、そのお願い事が叶うって言われてるんだよ~」
「「へぇー」ッス」
二人に説明すると、見事にハモりました。さすがに「ッス」まではハモりません。
「よかったら二人もどおかな~?」
「ヒーナもいいんッスか?」
「もちろん~! 何人までとか、特に制限ないから~」
「んじゃ、遠慮なくやらせてもらおうかしらね」
新たに二人の短冊が笹に吊るされました。
そして気付くと――、《ヌヌ工房》の周りにはいつの間にか人集りが形成されていました。
何をやっているのか、興味本位で森の人たちが集まってきたようです。ヒーナの大声が人を呼び寄せたのでしょう。
「瞳ちゃんのお願い事が、さっそく叶っちゃったわね♪」
セフィリアは天使のように微笑みます。瞳はそれに、ほわわんと答えました。
「ほんとです~! でもセフィアさんもですよ~!」
 用意した笹には様々な人が書いた色とりどりの短冊が吊るされて、人の願いで彩られ、満たされました。
確かに叶う〝おまじない的な〟ものとして、七夕は密かに伝わったのでした。
***
――前略。
ユグードの人たちは、七夕を知りませんでした。
それで、説明も兼ねていざやってみたら、どんどん人が集まってきちゃって、笹に吊るすスペースが無くなっちゃったくらいなんですよ。
なんと森の人が新しく笹を追加投入までしてくれました。
いま、ヌヌ工房の前はたくさんの人の願いで満ちています。
ステキな出会いと思い出を。
わたしは短冊にそう書いたんですけど、あっという間に叶っちゃいました。
記念撮影もしたので、写真送りますね。
星のことはよくわからないけど、もしかしたら緑星は地球より天の河に近いところにあるのかもしれません。
ヨウちゃんが星虫になったときも、天の河みたいでキレイだったな……。
まだまだ、これからもたくさんのステキな出会いと思い出を見つけていきたいと思います。
それでは、またメールしますね。
森井瞳――3023.7.7
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