リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

釣りに行こう(着いた後)


「うわぁ凄いね瀧。川に魚泳いでるよ!」
「おう……そうだな……」
俺がいる地域は寒波に襲われ、尋常じゃない程の寒さが身に染みている。
そんな中、リンのわがままにより魚釣りをすることになってしまった。細かい経緯は割愛するが、とにかく寒い。
「しかし……皆用事なんて凄い偶然だよな……結局俺と美優と真優しか来れないなんて」
「私は暇だったからね……お姉ちゃんも暇だったし……」
「私はまゆちゃんと遊ぼうかと思ってたのよねぇ」
「皆ごめんね。私テレビで魚釣り見てたらどうしてもしたくなっちゃって……」
申し訳なさそうな顔をするリンを真優は微笑みながらフォローする。
「良いの良いの!私も一回してみたかったし!さぁやろう!」
「そうよぉ。私達自分で決めて来たんだもの……気にしないでね?」
「………………さて、始めるか」
完全に部外者扱いの瀧は持参した釣り道具を取り出す。父親の趣味で揃えられた釣り道具は初心者である瀧にはもったいないくらいである。
「うわぁ……瀧の凄いね。私の、お父様が使ってるやつだから古いんだよね……」
そう言ってリンが取り出したのは勿論高級かつ高性能な釣り道具達。
「わーすごーい(棒)」
そして俺はそれを軽く流す。
「瀧、私にも釣り道具貸してくんない?」
そう言って俺に頼るのは真優。どうやら釣り道具を持ってきてないらしい。
前々から話は聞いていたので、一応家にある釣り道具でいいやつを選抜してきた。
「そこの二つから選んでくれ」
「はいよー…………お姉ちゃんーどっち使う?」
「んー私はこっちかなぁ……」
「おっけー。なら私はこっちね…………あ、そうだ瀧―」
「はいはい?」
釣竿を選び終えた真優が再度俺に問いかける。俺は餌をつける作業をしながら応答した。
「釣りってどうすんの?」
真優の言葉に手元が狂い、鋭い部分が指に刺さる。
「お、おぉおぉぉおおおぉお!?」
「ちょ、瀧!大丈夫!?」
「あらあら〜たっくん大丈夫?」
急いで指を口でくわえる瀧。
「ほふぁふぇほぉんはほぉほぉふぉふぃふぁはふぃふぇふぉふぉふぃふぃふぁほふぁふぉ!」
訳:お前そんなことも知らないでここに来たのかよ!
「あーもうっ!なんて言ってるか全っ然分かんない!とりあえず絆創膏ばんそうこう
ゴソゴソと真優は持参したバックから絆創膏を取り出す。
「ほら。手だしなさいよ」
「…………」
口から離した指を真優に向ける。
何故だろう……今の真優が女の子の顔をしている。無言で手際よく行われた応急処置は短く感じた。
「……はい。出来たわよ」
「……ありがと」
「良いわよ別に……私のせいでもあるんだし……」
ちょっとなんですかこの展開。すっごい気恥しいんですけど……。
「ふふ〜ん」
美優はそんな俺達をニヤニヤしながら見ていた。
「な、何お姉ちゃん」
「いやぁ、なんだかんだ言ってまゆちゃんもたっくんが大好きなんだなぁって……ふふっ」
「なっ……」
「ななっ……」
即座に真優に視線を向ける。真優は顔真っ赤にして涙を浮かべていた。そして王道の一言
「べ、別にあんたの事なんて好きじゃないんだからねっ!」
いただきました。

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