リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

クリスマスパーテー~蒼愛~

本日はクリスマス。何かと騒がしい俺の周りは、やはりこの日も騒がしくなった。
白凪姉妹、リン、華恋、蒼愛、俺、愛華、あと1人知らない男でパーティーを行っていた。
「ちょっと待て、なんで俺だけ雑なんだよ!晃だよ晃!ちゃんと名前があるんだからちゃんと説明しろよ!」
「うるっせぇな!人の心の中読んでるんじゃねぇよ!あとお前呼んだ覚えねぇからな!」
ぎゃあぎゃあ騒いでいる晃と俺を無視してリンは元気そうに微笑んでいた。
「こういうの楽しいよねぇ!私お父さんとお母さんとこういうのしてたけどやっぱり日本はいいなぁ!」
「リンちゃんのお家はお金持ちだからこんなのより豪華じゃないの?」
真優の一言に俺は口を挟む。
「おい、今こんなのと言ったな、、言ったよな!」
「でもリンちゃんお家はいいのぉ?こんなのより豪華だったりするんでしょぉ?」
「おまっ美優。お前までこんなのと言うのか!」
「ははっ。瀧は忙しいね」
こんな俺のやり取りを華恋は苦笑しながら眺めていた。
「愛華ちゃん。このチキンはどうしたらいいの?」
「あ、蒼愛さん。それは私がやりますからこのアップルパイをオーブンにかけてください」
キッチンの方は愛華と蒼愛の2人がしてくれている。美味しそうな匂いがしてきた。
「俺も何か手伝おうか?」
俺はキッチンへ向かい、なにか手伝うことは無いか問うと、大量に載せられた皿を渡された。
「瀧君はこれを並べて。あ、あと、、、」
渡された皿を両手で抱え、疑問を浮かべた顔を浮かべると、蒼愛は急に顔を近づけてきた。
「後で話があるから、、、ね?」
ドキッとしたのもつかの間。蒼愛はすぐに元の位置に戻る。
「は、話って、、?」
「ふふっ。秘密だよ」
悪戯な笑みを浮かべる蒼愛に疑問を生じながら皿を並べる。気になって仕方ない俺に、晃がちょっかいをかけてきた。
「ほらっ瀧」
「あ?あぁ、、はいはい凄いねぇうん」
晃が出してきたのはトカゲのようなリアルなおもちゃ。俺はそれを冷たく流すと、晃が不満そうな顔をする。
「何だよお前ノリ悪いぞ」
「うるっせぇな。俺はそんなしょうもないことに付き合ってる暇はないの。分かったから手伝ってくれ」
俺の言葉に晃は「ちぇっ」とブツブツ言いながらも俺の手伝いをしてくれる。
「ねぇねぇたっくん見てみてー」
「ん、、、ひゃっ!?」
美優に呼ばれ振り返ってみるとそこに居たのはサンタコスのリン。リンは照れることもなくハキハキとしていた。
「どうどう瀧?似合ってるでしょ?」
これはどう見ても犯罪だってくらいエロい格好に思わず言葉を失ってしまう。
「どうかしたかよたっっっき!?」
振り返ろうとする晃に目潰しをして当て身をする。晃が力なく倒れた事を確認して現状確認。
「ちょっとまて!お前達何してんの!?早く着替えろ!でなきゃ我が家には露出変態コスプレイヤーがいると思われるじゃねぇか!」
「えぇーでもたっくん見惚れてたじゃない」
「そうよ瀧。あんたリンちゃんのサンタコスにデレーっと鼻の下のばしてたわよ」
「そ、それは、、、」
言い訳ができない。見惚れてたのは確かだしもしかしたら鼻の下をのばしたりなんかもしたかもしれない。否定出来ない自分が悔しい。
そんな俺に美優と真優は更なる追い打ちをかける。
「そんな瀧にもう一つ!華恋ちゃんせんぱーい」
は?華恋(´・ω・`;)
「だから僕は男だって!」
ちょ、ちょっとまてまて(゜ω゜;)
「おいちょっと待っ―」
気恥ずかしそうに物陰から出てきたのは先程のリンと同じサンタコスの、、、華恋。
「な、な、なに(((;゜;Д;゜;)))」
率直に言うとめちゃくちゃ可愛かった。リンのサンタコスと男である華恋が張るほどである。相当なものだった。
驚愕を浮かべている俺に華恋はもじもじとしながら顔を真っ赤にしている。
真優と美優もこれは想定外と言わんばかりに言葉を失っていた。
「兄さん」
「はっ:(´◦ω◦`):」
恐る恐る声がした方へ顔を向けると、そこに居たのは笑顔の愛華だった。
、、、ちなみに愛華の背後には何やら殺気の様なものが漂っている。
「何してるの?」
「こ、コレハデスネ、、な、ナンデモナイデスハイ((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル」
「ご飯だから支度して?」
「は、はいぃぃぃい!ウヒィィ(;゜;Д;゜;)ィィイィ!!」
かくしてリンと華恋のサンタコスが原因で俺は愛華に冷ややかな目で見られたのだった。

「う、うーん、、、ここは?」
「えいっ!」
「ぐ、ぐおぉぉぉぉ!」
パタッ。
目を覚ました晃はリンの目潰しによって再度気を失った。
「リンー?何してんの?」
「さっき瀧がした事だよー!」
「??何のことかは分からんが無理はするなよ」
「はーい」

「ふぅーお腹いっぱい。美味しかったな」
「そうだね!愛華ちゃんや蒼愛さんやっぱり料理上手だよね」
「そうよねー私とお姉ちゃんじゃこんなの作れないわ」
「そうよねぇー私達も頑張らなくっちゃねぇ」
夜ご飯を食べ終え、片付けへと移っている最中。
「ん?あれは、、、」
蒼愛が廊下に続く扉からじっと俺を見つめていた。
「来いってことか?」
目的は分からないがとりあえず行ってみると、蒼愛は玄関に立っていた。どうやら外で話したいらしい。
「、、、、?」
流れに流され靴を履いて外へ出ると、真面目な顔をした蒼愛が居る。
「あっ、、」
そこで思い出したのは先程キッチンで言われた事。『後で話があるから』というもの。多分これはそれだろう。
「あ、あのね!瀧君!」
「お、おう、、、」
何故だか恥ずかしい空気になる。蒼愛のこの顔を見たところ話の内容は、、
「け、結婚の事なんだけど、、、」
「、、、、」
俺は蒼愛と幼い頃に結婚の約束をしていたらしい。しかし俺はその事を全く覚えていない。でも蒼愛はそんな約束を長い間覚えていた。長い長い間。
でも俺には好きな人がいた。蒼愛とは別の、、本当に大切だと思える人が。
「わ、私まだ心の準備が出来てないんだけど、、、その、、瀧君―」
「蒼愛」
ここで言わなければこのまま蒼愛はずっとこの約束のせいで縛られてしまう。俺はそんな事が嫌だった。いつかは正直にならなければいけないと思っていた、、、。それを実践するのが今だ。
「な、何?」
寒さのせいか顔を赤く火照らせ、蒼愛は問いかける。俺は深く呼吸をして口を開いた。
「俺には、、、好きな人がいるんだ、、蒼愛じゃない別の人で、、、」
「え、、、」
言葉をつまらせる蒼愛。それもそのはずだ。俺は蒼愛と再開して結婚の約束を覚えていると言ったのだ。そしてそれをその場で否定しなかったと言う事は結婚の約束は果たされるものと勘違いしてしまうのも仕方ない。
「それと、、、俺は結婚の約束を覚えていないんだ、、。久しぶりに蒼愛と会えて俺も気が動転してたんだと思う。記憶にもない事を言っちゃったんだ」
「、、、、、、」
言葉を失う蒼愛。気まずい空気が漂っていた。
こうなる事は分かっていてもこれだけは伝えなければならない。覚えていない約束を果たす事なんて出来ないのだ。
「瀧君」
「うん」
「瀧君は私の事好き?」
「あぁ好きだよ。蒼愛は優しくて可愛くて、、、誰にも渡したくないって思ってた」
「じゃあ―」
「でも俺にはもっと好きな人がいる」
俯く蒼愛。体感的には長い間が空き、蒼愛が再度口を開いた。
「私ずっと瀧君が好きだった、、、優しくて面白くて自分よりも周りのことを思う瀧君が大好きだった、、、だから―」
暗い表情を浮かべていた蒼愛が一変して可憐な笑みを浮かべた。俺は意外性に目を見開いてしまう。
「ありがとう瀧君!私を大切にしてくれて」
素直に返事が出来ない。悪いのは俺の方なのに何で蒼愛が泣かなくちゃいけないのだ。この明るい表情だって無理をしているに決まってる。
「蒼愛、、、俺は」
「瀧君がそんなに素直になれる人は凄いなぁ。私じゃ勿体ないくらいだね。私じゃ、、、足りないよ」
「蒼愛、、、俺は―」
「瀧君」
俺の言葉は蒼愛に遮られる。
涙を流している蒼愛は泣きながらも強くこう言った。
「大丈夫。私は大丈夫だから、、、頑張ってね?」
「蒼愛、、、ありがとう、、、ごめん」
俺がそう言うと蒼愛は安心したように笑みを浮かべた。そして涙を拭い、口を開く。
「あ、そうそう。最後にこれ見てよ。私と瀧君が婚約してたって証拠だよ」
「証拠?蒼愛は俺と口頭で約束したんじゃないのか?」
蒼愛が出したのは1枚の婚姻届。そこにはこう書かれていた。
新婦:青風蒼愛
新郎:佐々波真也
、、、、、、は?
「あ、あれ!?何かよく見たら新郎って瀧君のお、おおお父さんだよね!?」
「あっのやろぉ!また紛らわしいことしやがって!」
そして数秒の間が空き、、。
「これは瀧君悪くないって事だよね?」
「そ、そうなるな」
「わ、私の早とちり?」
「そう、、なんじゃないの?」
「うわぁぁぁぁあん!」
「あ、蒼愛!?」
その場でうずくまって泣き出す蒼愛。俺は挙動不審になりながらフォローを入れる。
「ほ、ほらあれだ!人間誰にだって勘違いくらいあるさ!だから蒼愛もそんなに気にする事ないって!だから―」
「瀧君」
フォローを入れている最中、唐突に名前を呼ばれる。
蒼愛はゆっくりと顔を上げてこう言った。
「私まだ諦めなくても良いみたい」
悪戯な笑みを浮かべながら蒼愛はこう言ったのだった。

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