リアルの幼馴染みがこんなに萌えないものだなんて

石原レノ

愛華との関係を、、

「こっちかな」
「兄さんそこはこれ飾るんじゃないの?」
クリスマスを控えた日、俺と愛華は後日に備えているクリスマスパーティーの為の準備をしていた。
「あら、これはこっちか、、、愛華、画鋲取ってくれ」
「はい、、、兄さんお腹空かない?」
愛華の一言で、時刻が昼頃だということに気がつく。そしてタイミングを測ったように俺の腹の虫も鳴った。
「ふふっ。兄さんは正直だね」
「いや恥ずかしい」
こんなやりとりでさえ愛華は笑ってくれる。非常に可愛らしく見えるのは仕方が無いことだ。
「じゃあ私パパッと作ってきちゃうね」
愛華は腕をまくり、無邪気に微笑んだ。
「あぁ、、。頼む」
俺は微笑みながらそう言うと、再び作業に戻る。
愛華がこの家にやってきてもう何年が経つだろうか。ここに来る経緯は俺の記憶にしっかりと残っている。
まだあの頃のことは忘れられない。忘れてはならないのだ。
愛華の両親の代わりには足りないが、俺は愛華の傍にいる。そう決めた日から俺は愛華が好きだった。
だから守ろうと、一緒にいようと言った。
「、、、なんか照れくさいな、、、よしっ」
ある程度の作業が終わり、俺は脚立から降りた。キッチンの方を見ると、愛華は鼻歌を歌いながら料理を作っている。
俺は残りの作業を片付けようとテーブルの傍で腰掛ける。
「今年は少し頑張ってみるか、、、兄貴だしな」
そんな一言をポツリと漏らす。思えば愛華も来年は高校一年生。俺は高校三年生である。志望先は俺と同じ高校らしい。理由を聞くと「言わない」の一点張り。口を割ってはくれなかった。
愛華もまた大人になる。その為にも俺は全力で愛華をサポートしてやろうとそう決めた。
いつも頼りっぱなしではかっこ悪い。そう思ったから。
「はい兄さん。今日のお昼はそう麺だよ」
「いやまてまて愛華。もしかして俺の事嫌いになった?『頼りにならないお兄ちゃんなんて氷漬けになっちゃえば良いんだ!』的なノリ?ヤンデレ?」
俺の一言に愛華は悪戯な笑みを浮かべる。
「冗談だよ。はい、本当はオムレツでした」
そう言って出てきたのは何ともまぁ極上な1品。
「おぉ!愛華も料理どんどん上手くなるなぁ。お兄ちゃん大喜び」
「そんな事ないよ。私だってまだまだ分かんない事ばかりだしね」
愛華も最初から料理が上手かった訳では無い。俺と一緒に学んで実践して失敗して、上手くなっていったのだ。
「、、そっか。まぁ愛華は可愛いからな。きっといいお嫁さんになるよ」
「っ、、そ、そんな、、お嫁さん、だなんて、、」
顔を朱に染めながらブツブツと呟いている。
「本当に、、、可愛いな」
「っもう!からかわないで!」
「悪かった、、悪かったよ」
今日も俺の妹は元気いっぱいだった。

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